日本相撲協会の公式案内によると、懸賞金は1本7万円(税込み)です。内訳は、勝ち力士の獲得金額が6万円、協会の手数料が1万円となっています。
ここで注意したいのが、6万円すべてが土俵上で現金として渡されるわけではないという点です。2025年5月の夏場所から支給方法が変わり、現在は1本につき1万円が現金、5万円が力士本人名義の口座への振り込みとなっています。
懸賞金7万円の内訳を一覧で確認
| 項目 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| スポンサー負担額 | 70,000円 | 懸賞1本の料金(税込み) |
| 日本相撲協会の手数料 | 10,000円 | 取組表掲載料・場内放送料 |
| 勝ち力士の獲得額 | 60,000円 | 力士に帰属する金額 |
| 土俵上での現金支給 | 10,000円 | 勝ち名乗りの際に受け取る |
| 本人名義口座への振込 | 50,000円 | 納税などに備える預り金 |
※2025年5月以降の支給方法。税務上の最終的な手取り額とは異なります。
具体例:懸賞10本を獲得した場合
人気力士の取組では、懸賞が10本、20本と集まることがあります。1本7万円の懸賞を10本獲得した場合、次のようになります。
- スポンサーが提供した総額:70万円
- 協会の手数料:10万円
- 力士の獲得額:60万円
- 土俵上で受け取る現金:10万円
- 本人名義口座への振込:50万円
つまり、懸賞10本を獲得すれば、力士には合計60万円が帰属します。
20本なら120万円、30本なら180万円です。懸賞の多い結びの一番で勝つことが、力士にとって大きな収入につながる理由が分かります。
日本相撲協会の公式サイトでは、1本7万円と勝ち力士の獲得金額6万円が明示されています。
【2025年5月に何が変わった?】懸賞金の現金支給3万円から1万円への変更

懸賞金の仕組みを理解するうえで、見逃せないのが2025年5月の変更です。
以前は、1本7万円のうち協会手数料1万円を差し引いた6万円について、3万円を土俵上で現金支給し、残り3万円を力士本人名義の口座に預ける仕組みでした。
ところが、2025年5月の夏場所から、土俵上で渡す現金が1万円に減額されました。
変更の背景は安全対策と事務負担の軽減
2025年5月9日、日本相撲協会は懸賞袋に入れる現金を3万円から1万円に変更すると発表しました。
背景にあったのは、大量の現金を持ち歩くことによる盗難などのセキュリティー上の懸念です。
日刊スポーツの2025年5月9日の報道によれば、協会側は懸賞金だけで約7000万円もの現金を管理していたといいます。
懸賞本数の増加に伴い、1袋ずつ現金を用意する作業も負担になっていました。
変更後は、現金1万円を袋に入れ、残る5万円を本人名義の口座に振り込む方式になりました。
変更前と変更後の比較
| 項目 | 2025年5月より前 | 2025年5月以降 |
|---|---|---|
| 懸賞金総額 | 70,000円 | 70,000円 |
| 協会手数料 | 10,000円 | 10,000円 |
| 力士の獲得額 | 60,000円 | 60,000円 |
| 現金支給 | 30,000円 | 10,000円 |
| 本人名義口座への振込 | 30,000円 | 50,000円 |
大切なのは、変更されたのは受け取り方であり、力士の獲得額そのものではないということです。
積立金5万円は引退まで引き出せない?
5万円の預り金は、単純に協会に没収されるお金ではありません。
従来から設けられている本人名義の預り金は、納税に備える目的を持っています。報道によれば、引退後に発生する税金や、スーツの仕立て、全国へのあいさつ回りなど、引退後の生活に必要な費用への備えという側面もあります。
また、所定の手続きを踏めば引き出すことも可能です。
したがって、5万円は自由に使える現金とは異なりますが、失われるお金でもありません。
【懸賞旗・懸賞幕の正体】企業はなぜ相撲にスポンサー料を出すのか
大相撲の取組前、呼出しがスポンサー名の入った旗を掲げて土俵を一周します。
この旗が「懸賞旗」です。「懸賞幕」と呼ばれることもあります。
日本相撲協会の公式案内では、懸賞旗のサイズは横70cm、縦120cmとされています。
旗は協会が用意するのではなく、懸賞を提供する企業や団体が制作して持ち込みます。土俵上で使用するため、デザインには一定の制限があります。
懸賞旗が登場するタイミング
懸賞旗は、懸賞が設定された取組の直前に登場します。
日本相撲協会の2024年12月の公式クイズでは、呼出しが懸賞旗を掲げて土俵を回るのは、力士が塵浄水を終えた後と説明されています。
懸賞が付いた取組では、次のような流れになります。
1. 力士が土俵に上がる。
2. 塵浄水を行う。
3. 呼出しが懸賞旗を掲げて土俵を一周する。
4. 力士が仕切りを行い、取組が始まる。
5. 勝った力士が勝ち名乗りの際に懸賞金を受け取る。
勝ち力士は、行司が軍配に乗せて差し出した懸賞金を手刀を切って受け取ります。
この一連の動作は、大相撲ならではの見どころです。
企業が得られる3つの広告効果
懸賞金は単なる力士への賞金ではありません。企業にとっては、大相撲という大規模な興行を活用した広告宣伝でもあります。
日本相撲協会の公式案内によると、懸賞を提供した企業には次の機会があります。
1. 懸賞旗による視覚的な宣伝
取組前に企業名や商品名が入った旗が土俵を回るため、会場の観客に強く印象づけられます。テレビ中継でも懸賞旗が映る機会があります。
2. 場内放送による企業名の紹介
取組直前に提供者名が読み上げられます。企業にとって、会場内で名前を認知してもらう機会になります。
3. 取組表への企業名掲載
当日の会場入場者に配布される取組表にも、提供者名が掲載されます。
懸賞は、旗・音声・印刷物という複数の媒体を組み合わせた広告になっているのです。
【2026年最新】懸賞金を出せる取組とスポンサーの申込条件・費用
懸賞は、すべての力士の取組に自由に設定できるわけではありません。
日本相撲協会の公式ルールでは、対象は幕内の取組に限定されています。
企業や団体は、希望する取組や応援したい力士の取組を指定して懸賞を申し込みます。
懸賞を申し込める条件
公式サイトに掲載されている主な条件は次のとおりです。
- 1日1本以上の申し込み
- 1場所15本以上の申し込み
- 追加申し込みは1本から可能
- 提供者名の原稿は15文字以内
- 懸賞旗は提供者側で制作して持ち込む
15日間の本場所で最低15本を申し込む場合、懸賞金だけで105万円(税込み)です。
| 申込本数 | 懸賞金の合計 |
|---|---|
| 1本 | 70,000円 |
| 5本 | 350,000円 |
| 10本 | 700,000円 |
| 15本 | 1,050,000円 |
| 30本 | 2,100,000円 |
| 50本 | 3,500,000円 |
このほか、懸賞旗の制作費などが必要になります。
旗の制作費は業者やデザインによって異なり、日本相撲協会の公式料金には含まれていません。
企業以外でも懸賞を出せる?
懸賞の提供者は一般企業だけではありません。
力士の後援団体や学校、各種団体なども申し込むことができます。
2026年5月の夏場所では、ニトリホールディングス、一蘭、叙々苑、アメリカ大使館などが新たに懸賞を提供しました。新規申し込み企業は30社に上っています。
また、2026年9月の秋場所では、拓殖大学が出身力士に懸賞を申し込みました。地元企業による熱海富士への応援も目立ちました。
このように、懸賞は企業の広告だけでなく、出身地や母校、地域社会から力士を応援する手段にもなっています。
2026年の懸賞申込方法
申し込みを検討する企業・団体は、日本相撲協会の懸賞係に問い合わせることができます。
公式案内に掲載されている問い合わせ先は次のとおりです。
- 窓口:公益財団法人日本相撲協会 懸賞係
- 電話:03-3623-5111
- 住所:東京都墨田区横網1-3-28
懸賞旗のデザインや制作についても、申し込み前に協会へ確認する必要があります。
【2026年の懸賞事情】過去最多4241本を記録した背景とは?
2026年の大相撲では、懸賞の申し込みが大きく増えています。
2026年5月の夏場所では、15日間の懸賞申し込みが4241本に到達しました。日本相撲協会が発表した数字として、過去最多の記録です。
申し込み企業数は152社で、新規企業は30社。幕内力士全員に懸賞が付くという状況も生まれました。
続く2026年9月の秋場所でも、申し込みは141社、合計3895本。夏場所に次ぐ歴代2位の規模となりました。
2026年の注目データ
2026年5月の夏場所では、力士指定の懸賞申し込み本数で横綱・大の里が408本と最多でした。
大関・安青錦が245本、横綱・豊昇龍が222本と続いています。
一方、2026年9月の秋場所では、横綱・大の里への懸賞申し込みが399本で最多。関脇・熱海富士が213本で2位となりました。
熱海富士には「熱海プリン」や熱海ガスなど、地元にゆかりのある企業からの申し込みが集まりました。
加えて、秋場所では大の里が698本の懸賞を獲得。1本6万円で換算すると、合計4188万円に相当します。
申込本数と実際に掲出される本数は違う
懸賞の数字を見る際には、申し込み本数と実際に土俵で掲出される本数を区別する必要があります。
2026年5月の夏場所は、申し込み4241本に対して実際の掲出は3563本でした。
2026年9月の秋場所も、申し込み3895本に対して実績は3688本となっています。
力士の休場などによって、予定されていた懸賞が取り下げられる場合があるためです。
懸賞の人気を判断するときは、申し込み本数だけでなく、実際の掲出本数や力士別の獲得本数も確認する必要があります。
【懸賞金の歴史と由来】平安時代から続く勝者への贈り物
大相撲の懸賞には、長い歴史があります。
現在のように企業が現金を提供する仕組みが始まる前から、勝った力士に品物を贈る習慣がありました。
平安時代は米や布地が懸賞だった
日本相撲協会の公式クイズによると、平安時代の相撲節会では、勝った力士に麻や絹などの織物、衣類、米などが贈られていました。
当時は現在のような現金ではなく、生活に役立つ品物が賞品だったのです。
武家相撲の時代にも、勝者に弓や矢、刀などを贈る習慣がありました。
現在の千秋楽の「これより三役」で勝った力士に矢や弦が贈られる儀式には、こうした歴史の名残があります。
江戸時代には「纏頭(はな)」が広まる
江戸時代には、力士に対する祝儀として「纏頭(はな)」と呼ばれる習慣が広まりました。
感動した取組に対して、観客が自分の着物などを土俵に投げ入れ、後に持ち主へ返す際に祝儀を渡すというものです。
この投げ纏頭は明治42年(1909年)に禁止されました。
現在、金星などの場面で座布団が舞う光景を見かけることがありますが、これは投げ纏頭の名残とされています。なお、観戦時の座布団投げは禁止されており、危険を伴う行為です。
現在の懸賞金制度は1955年に始まった
現在のような賞金形式が確立したのは昭和30年(1955年)です。
日本相撲協会の公式説明では、当時は懸賞を一律1万円、または1万円以上の商品とする基準が定められました。
その後、賞金額は時代とともに引き上げられ、現在の1本7万円という制度につながっています。
昔は勝者への贈り物だった懸賞が、現在ではスポンサー企業と力士、観客を結びつける仕組みに変化したのです。
【相撲の懸賞金と税金】6万円はそのまま自由に使えるのか?
懸賞金について、もう一つ気になるのが税金です。
1本6万円を獲得したとしても、それがそのまま税引き後の最終的な手取りになるわけではありません。
力士の懸賞金は事業所得として扱われる
税理士による力士の課税に関する解説では、スポンサーから受け取る懸賞金は事業所得として整理されています。
一般の懸賞や福引きで受け取る賞金は、国税庁の説明では一時所得の例に挙げられています。ただし、業務に関して受けるものは除外されています。
職業として相撲に取り組む力士が、スポンサーから取組の勝利に対して受け取る懸賞金は、一般の懸賞当選とは性質が異なるのです。
5万円の預り金と税金の関係
懸賞金から協会手数料を差し引いた6万円のうち、5万円は本人名義の口座に振り込まれます。
この預り金は、納税充当金としての役割を持ちます。
ただし、口座に振り込まれた時点で税金の納付がすべて完了するわけではありません。
実際の税額は、力士個人の年間所得や必要経費などによって変わります。
したがって、懸賞金の獲得額6万円と、税金を精算した後の最終的な手取り額は区別して考える必要があります。
【相撲の懸賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:相撲の懸賞金は1本いくらですか?
A1:2026年11月現在、1本7万円(税込み)です。勝ち力士の獲得額は6万円で、協会の手数料が1万円です。
Q2:懸賞金を1本もらうと現金はいくら受け取れますか?
A2:2025年5月の夏場所から、土俵上で受け取る現金は1本1万円です。残り5万円は本人名義の口座に振り込まれます。
Q3:懸賞金は十両や幕下の取組にも付きますか?
A3:日本相撲協会の制度では、懸賞を設定できるのは幕内の取組です。十両以下の取組は対象外です。
Q4:企業が懸賞を出すには最低いくら必要ですか?
A4:基本条件は1日1本以上、1場所15本以上です。15日間の本場所なら懸賞金だけで105万円(税込み)となり、別途、懸賞旗の制作費などが必要です。
Q5:懸賞金の積立金5万円は引き出せますか?
A5:本人名義の預り金であり、所定の手続きを踏めば引き出すことができます。納税や引退後の生活に備える目的もあります。
まとめ:相撲の懸賞金は金額だけでなく仕組みを知ると面白い
2026年現在、大相撲の懸賞金は1本7万円(税込み)です。
勝った力士の獲得額は6万円で、協会の手数料が1万円。さらに2025年5月から支給方法が変更され、現金1万円と本人名義口座への振込5万円という形になりました。
観戦時に注目したい要点は次の3つです。
- 懸賞旗の数からスポンサーの期待や注目度が分かる。
- 勝ち力士が受け取る6万円は、現金と預り金に分けて支給される。
- 企業だけでなく、地域や学校なども懸賞を通じて力士を応援している。
2026年5月の夏場所では懸賞申し込みが過去最多の4241本に達し、9月の秋場所も3895本を記録しました。
懸賞は単なる勝者への賞金ではありません。力士の実力、企業の広告戦略、地域の応援、そして大相撲の伝統が交差する独特の制度です。
次に大相撲を観戦するときは、懸賞旗の数や提供企業にも目を向けてみてください。土俵上の勝負だけでは見えない、もう一つの大相撲の楽しみ方が見つかるはずです。
主な根拠資料(公式発表・報道)
- 日本相撲協会「懸賞について」:料金、対象取組、申込条件、懸賞旗の仕様。
- 日本相撲協会「大相撲クイズ」:懸賞金の内訳と歴史。
- 日刊スポーツ、2025年5月9日・11日:現金支給変更と預り金の仕組み。
- スポニチ、2026年5月・9月:懸賞申込数と力士別の動向。
- 国税庁「No.1490 一時所得」および税理士による力士の課税解説。