相撲中継で耳にする「三役揃い踏み」と「これより三役」。似た言葉ですが、意味は異なります。
三役揃い踏みとは6人の力士が行う儀式
三役揃い踏みとは、千秋楽の結び三番を前に、東西それぞれ3人、合計6人の力士が土俵に上がって四股を踏む儀式です。
日本相撲協会の観戦案内では、東西の力士が扇の形に並び、正面を向いて3人そろって四股を踏むと説明されています。
通常の三役が大関・関脇・小結を意味するのに対し、この儀式では横綱も登場します。
ここが、三役という言葉の意味を混同しやすいポイントです。儀式の名称にある三役は、番付上の厳密な階級区分だけを示しているわけではありません。
これより三役とは何を指す?
「これより三役」とは、千秋楽で結びの一番を含めた最後の3番の取組を指します。
この3番は「役相撲」とも呼ばれます。
整理すると、次のようになります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 三役 | 大関・関脇・小結の総称 |
| 三役揃い踏み | 東西3人ずつ、計6人で行う四股の儀式 |
| これより三役 | 千秋楽の結びを含む最後の3番 |
| 役相撲 | これより三役の3番の取組 |
加えて、最後の3番には伝統的な儀式が関係しています。
- 1番目の勝者には「矢」が贈られる。
- 2番目の勝者には「弦」が贈られる。
- 結びの勝者に与えられるはずの「弓」は、弓取式を行う力士が代わりに受け取る。
これは、武家時代に弓や矢などが勝者への贈り物として使われていた名残とされています。
日本相撲協会の公式クイズでも、この一連の仕組みが紹介されています。
三役揃い踏みは何時に見られる?
2026年11月場所の日本相撲協会公式観戦案内では、三役揃い踏みは17時15分頃が目安です。
ただし、千秋楽のみの儀式であり、当日の取組進行によって時間は前後します。
現地観戦ではもちろん、テレビ中継でも千秋楽の終盤を象徴する場面として注目したいところです。
【待遇と給与を比較】大関を除く三役は何が違う?

三役という言葉が難しく感じられる最大の理由は、番付上の分類と待遇上の分類が一致していないことです。
2026年の三役の月給はいくら?
2026年11月時点での関取の月額給与について、報道されている金額を整理すると次のとおりです。
| 地位 | 2026年12月まで | 2027年1月から |
|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 330万円 |
| 大関 | 250万円 | 275万円 |
| 関脇・小結 | 180万円 | 200万円 |
| 前頭 | 140万円 | 155万円 |
| 十両 | 110万円 | 120万円 |
2026年7月30日、日本相撲協会は理事会で力士の給与・手当の改定を発表しました。
日刊スポーツなどの報道によると、関取の月給改定は2019年以来8年ぶりで、2027年1月場所から適用されます。
この改定によって、関脇・小結の月給は180万円から200万円へと20万円増額されます。大関は250万円から275万円、横綱は300万円から330万円となります。
大関と関脇・小結では待遇が異なる
日本相撲協会の説明では、給与の区分は次の3段階です。
1. 横綱
2. 大関
3. 三役(関脇・小結)
つまり、待遇の分類では大関が三役から独立しています。
この区分は月給だけの問題ではありません。
協会の公式説明によると、年寄名跡の襲名・継承に関しても、横綱・大関と関脇・小結では条件が異なります。
そのため、相撲の記事で「三役力士」と書かれていても、給与や制度の話なのか、番付上の総称なのかによって対象者が変わります。
月給だけで力士の収入は決まらない
力士の収入には、月給以外にも複数の要素があります。
- 力士褒賞金
- 幕内優勝賞金
- 三賞の賞金
- 懸賞金
- 各種手当
2026年7月の改定では、幕内優勝賞金や三賞賞金などの見直しも発表されました。
したがって、関脇・小結の月給が同じ180万円だからといって、実際の年間収入まで同じになるわけではありません。
本場所での成績や優勝争いへの参加、懸賞金の獲得状況などによって、力士ごとの収入には差が生まれます。
【歴代三役力士】三役を経験した力士と注目すべき記録
三役は、横綱や大関を目指す力士にとって重要な通過点です。
歴代の大関・横綱にも、関脇や小結を経験して上位へ進んだ力士が数多くいます。
歴代の代表的な力士
代表例として、日本相撲協会の公式クイズに掲載されている2015年三月場所の三役揃い踏みの写真には、次の力士の名前が記されています。
- 日馬富士:第70代横綱。モンゴル出身の横綱。
- 琴奨菊:元大関。日本出身力士として長く上位で活躍。
- 豪栄道:元大関。力強い相撲で幕内上位を支えた力士。
この顔ぶれからも分かるように、三役揃い踏みという儀式は、現在の番付上の三役だけで構成されるものではありません。
横綱や大関が参加することもあり、千秋楽の最後を飾る特別な伝統として受け継がれています。
三役の価値は一場所の勝ち越しだけでは測れない
三役は、前頭上位とは異なる厳しい対戦環境に置かれます。
関脇・小結は横綱や大関と対戦する機会が多く、相手の実力も高い傾向があります。そのため、同じ10勝でも、どの地位で誰を相手に挙げた勝ち星なのかによって評価の意味合いが変わります。
2026年11月場所の藤ノ川も、前場所に3大関全員を破って11勝4敗を記録しました。新関脇としての実績を積み、今後の大関昇進を期待される存在です。
また、熱海富士は4場所連続関脇、美ノ海は新小結、義ノ富士は再小結と、それぞれ異なる立場で三役に臨みます。
【プロの結論】三役を理解するなら3つの視点を持つ
三役という言葉を正しく理解するには、次の3つを区別することが大切です。
第一に、番付上の意味。
大関・関脇・小結をまとめて三役と呼びます。横綱は最高位として別格です。
第二に、制度・待遇上の意味。
給与や年寄名跡などの説明では、大関を除いた関脇・小結を三役とする場合があります。
第三に、千秋楽の儀式としての意味。
三役揃い踏みやこれより三役は、番付上の三役という言葉から派生した伝統的な用語ですが、参加する力士や対象となる取組は厳密には別の概念です。
この3つを分けて理解すれば、相撲中継やニュースで使われる三役という言葉を正確に読み取れるようになります。
【相撲の三役とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:相撲の三役とは具体的に何ですか?
A1:一般的には大関・関脇・小結の3階級をまとめた呼び名です。横綱は別格の最高位として扱われます。
Q2:三役と大関はどちらが上ですか?
A2:大関は三役に含まれる地位です。序列では大関が関脇・小結より上位です。ただし、待遇面では大関と関脇・小結が別のカテゴリーになります。
Q3:三役揃い踏みはいつ見られますか?
A3:千秋楽の結び三番の前に行われます。東西3人ずつ、合計6人が土俵上で四股を踏む儀式です。2026年11月場所の公式案内では17時15分頃が目安となっています。
Q4:新三役とは何ですか?
A4:初めて関脇または小結に昇進した力士を指します。2026年11月場所では美ノ海が新小結となりました。
Q5:三役になるには何勝必要ですか?
A5:関脇・小結への昇進に一律の勝ち星基準はありません。前頭上位での好成績や番付全体の状況などを踏まえて決まります。大関昇進では三役で直近3場所33勝程度が目安として知られています。
まとめ:相撲の三役は番付と伝統をつなぐ重要な地位
相撲の三役とは、通常、大関・関脇・小結を指します。横綱が含まれないのは、明治42年に横綱が正式な最高位として独立した歴史的背景があるためです。
一方、給与や年寄名跡などの待遇を説明する場合には、大関を除いた関脇・小結だけを三役と呼びます。
2026年11月場所では、美ノ海が沖縄県出身初の新三役となり、藤ノ川や熱海富士、義ノ富士らとともに上位陣を形成しています。
相撲を見るときは、次のポイントを確認しましょう。
- 番付上の序列は横綱、大関、関脇、小結、前頭の順。
- 同じ地位では東が西より上位。
- 三役の人数は場所ごとに変動する。
- 新三役は初めて関脇・小結に昇進した力士。
- 三役揃い踏みは千秋楽の伝統儀式で、これより三役は最後の3番の取組。
三役は単なる番付上の名称ではありません。力士の実力、昇進への挑戦、相撲の歴史と伝統が交わる重要な地位です。
次に大相撲を観戦するときは、番付の東西や千秋楽の三役揃い踏みにも注目すると、取組の背景まで一段と深く楽しめます。