ホーム スポーツ 【森保一監督の戦術と采配】3-4-2-1の強みとブラジル戦で露呈した限界

【森保一監督の戦術と采配】3-4-2-1の強みとブラジル戦で露呈した限界

黒岩 雅也 黒岩 雅也 • 更新: • 公開: • 読了約 13 分
目次


2026年大会監督

基本戦術:3-4-2-1

戦術的特徴:前線からのプレス、素早い攻守転換、複数ポジションの連動

森保監督のチーム作りは、選手個々の特徴を組み合わせながら、相手に応じて守備と攻撃のバランスを調整するスタイルにある。

2026年大会でも、基本布陣の3-4-2-1を軸に、相手のビルドアップを制限し、ボールを奪った瞬間に前方へ展開する戦い方が採用された。

3バックを採用するメリット

3-4-2-1の最大の利点は、守備時に5バックへ移行しやすく、攻撃時には両サイドの選手を高い位置に配置できることだ。

日本代表の場合、次のような役割分担が機能した。

- 3バック:中央の守備とビルドアップを担当。
- ウイングバック:サイドの守備と攻撃参加を両立。
- ダブルボランチ:ボール奪取と前線への配球。
- シャドー:相手中盤と最終ラインの間で攻撃を組み立てる。
- 1トップ:前線でボールを収め、ゴールを狙う。

オランダ戦では、この構造を生かして相手の守備を揺さぶった。チュニジア戦では前線からのプレスが機能し、攻撃への切り替えも速かった。

しかし、ブラジル戦では同じ戦術の弱点が表面化する。

ブラジルの修正に日本が対応できなかった理由

ブラジルは後半、ボランチが日本の中盤と最終ラインの間に入り、サイドの選手が幅を取る形へと修正した。

その結果、日本の守備ブロックは徐々に後退。クロスへの対応に追われ、セカンドボールを回収できない時間が増えていった。

つまり、前半に機能したコンパクトな守備が、後半には自陣に押し込まれる守備へ変化してしまったのだ。

この問題は、単に走力や個人能力の差だけでは説明できない。相手の戦術変更に対し、守備の基準点や選手間の距離をどう修正するかという、チーム全体の判断の問題でもある。

JFAの試合レポートも、ブラジルが中盤の立ち位置とサイド攻撃を修正したことで、日本が自陣に押し込まれた経緯を伝えている。

【ブラジル戦1-2敗退の真相】日本が勝ち切れなかった3つの要因

サッカーw杯日本代表

2026年6月30日(日本時間)、日本代表はラウンド32でブラジルと対戦した。

ブラジルはFIFAワールドカップを5度制した強豪。日本にとって、世界のトップレベルにどこまで迫れるかを測る重要な一戦だった。

1.先制後に攻撃の主導権を維持できなかった

前半29分、日本は佐野海舟が中盤でパスをカット。自ら前進し、ペナルティーエリア手前から低いシュートを決めた。

このゴールは、日本がブラジルの攻撃を受けるだけでなく、相手のミスを誘発して得点につなげられることを示した。

日本は前半を1-0で折り返す。

しかし後半、ブラジルが攻撃のギアを上げると状況が変わった。中盤でボールを保持する時間が減り、守備から攻撃へ切り替える機会も限られた。

2.セットプレーとクロスへの対応が甘かった

56分、ブラジルのカゼミーロが同点ゴールを決めた。

日本の守備陣は人数をそろえていたものの、右サイドから供給されたクロスに対して、ゴール前のマークを徹底できなかった。

森保監督は後日のインタビューで、この場面について守備の責任範囲や相手へのプレッシャーの不足を指摘している。

特に注目したいのが、単純に人数をかけるだけでは守り切れないという問題だ。

相手に自由にクロスを上げさせないこと、ゴール前で相手選手を見失わないこと、セカンドボールを拾える位置に選手を配置すること。これらの細部が強豪国との試合では決定的な差になる。

3.終了間際の失点を防げなかった

試合は延長戦に進む可能性も見えていたが、後半追加時間の90+5分、ガブリエウ・マルティネッリが決勝ゴールを決めた。

日本は最後まで守備を続けたものの、ボールを奪われた後の対応から決定的な失点を許した。

最終スコアはブラジル2-1日本。日本は再びベスト16の壁を越えられなかった。

森保監督自身が振り返った敗因

大会後、森保監督はスポルティーバのインタビューで、先発メンバーと交代策について踏み込んだ説明をしている。

「結果の責任はすべて監督にあるので、こうすればよかったと言われるのは当然です」

監督は、ブラジル戦では先行して勝ち切ることを最優先に考え、経験のある選手をできるだけ長く起用する方針だったと説明した。

実際、66分には堂安律と中村敬斗を交代。菅原由勢と鈴木淳之介を投入して守備を立て直そうとした。

しかしブラジルの攻撃圧力は弱まらず、78分には鎌田大地と伊東純也も交代することになった。

加えて、マルティネッリの決勝ゴールについては、冨安健洋が中央のカバーを意識した結果、マルティネッリとの距離が開いたことを問題として挙げている。

これは日本の守備指導で重視される「チャレンジ&カバー」の原則が、強豪相手には逆にマークのずれを生む場合があるという指摘だ。

森保監督は、守備の連係そのものを否定したのではない。カバーを意識しすぎるあまり、一人ひとりが相手を捕まえる責任を十分に果たせなくなる点に課題を見いだした。

この分析は、ブラジル戦を単なる決定力不足や運の問題として片付けられないことを示している。

【歴代W杯日本代表と比較】2026年のベスト16進出はなぜ遠かった?

日本代表は1998年フランス大会で初めてW杯本大会に出場して以来、着実に国際舞台で実績を積み重ねてきた。

これまでの歴代成績を振り返ると、グループステージ突破と決勝トーナメント初戦突破の間に、大きな壁が存在していることがわかる。

歴代大会の最終成績

開催年 大会 日本の最終成績
1998年 フランス グループリーグ敗退
2002年 日韓 ベスト16
2006年 ドイツ グループリーグ敗退
2010年 南アフリカ ベスト16
2014年 ブラジル グループリーグ敗退
2018年 ロシア ベスト16
2022年 カタール ベスト16
2026年 北中米 ラウンド32敗退

出典:FIFAの日本代表大会歴史資料、JFAの大会記録。

2026年は過去のベスト16と同じではない

ここで注意したいのが、2026年大会からの大会方式の変更だ。

2026年大会は参加国が48か国に拡大され、グループステージの後にラウンド32が設けられた。

2002年から2022年までの大会では、グループを突破すると直接ラウンド16に進んでいた。

しかし2026年は、グループを突破した後にもう一度ノックアウトステージの初戦を勝ち抜かなければならない。

したがって、日本代表が2026年にラウンド32へ進出したことは、過去の大会のベスト16進出と同じ意味ではない。

日本は過去4回、ノックアウトステージへ進出しているが、そのすべてで初戦敗退。2026年も5度目の挑戦で同じ壁にぶつかった。

日本代表がベスト16の壁を越えるための4つの課題

① 強豪国の戦術変更に対応する能力

ブラジル戦で明らかになった最大の問題だ。相手が攻撃の配置を変えた際に、守備ブロックの形を素早く修正する必要がある。

② セットプレーの守備強化

カゼミーロのヘディング弾のように、ゴール前で一瞬のマークのずれが失点につながる。守備の人数だけではなく、相手の動きに対する責任を明確にしなければならない。

③ 攻撃の選択肢を複数持つこと

相手に押し込まれた際、カウンターだけに依存するのではなく、ボールを保持して相手を押し戻す攻撃力が必要だ。

④ 選手交代後も戦術の質を維持すること

先発メンバーが消耗した後も、途中出場の選手が試合の流れを変えられるか。特定の選手に依存しない戦力層の厚さが問われる。

日本の課題は、単に欧州や南米の強豪国より個人能力が劣ることではない。互角の展開を作った後、最後の局面で試合を支配し、勝ち切る能力を身につけられるかにある。

【2026年11月の日本代表と今後の展望】次のW杯に向けた新たな挑戦

2026年11月現在、森保ジャパンはW杯後の強化期間に入っている。

JFAの試合記録では、9月から10月にかけて次の結果を残した。

- 9月24日:日本 3-1 ウルグアイ
- 9月28日:日本 2-1 ベネズエラ
- 10月1日:日本 0-0 エクアドル(PK5-4)
- 10月5日:日本 2-1 ニュージーランド

W杯で露呈した課題を抱えながらも、南米勢や欧州勢との対戦を通じてチームの成熟を図っている。

11月はブラジル、パラグアイとの連戦

11月4日に発表された最新の28人には、負傷から復帰した南野拓実と町田浩樹、初招集の福田師王が含まれた。

11月14日にはブラジル、17日にはパラグアイとシンガポールで対戦する予定だ。

W杯で敗れたブラジルとの再戦は、単なるリベンジマッチではない。後半に押し込まれたときの対応や、相手の攻撃を受け止めながら自分たちの攻撃を続けられるかを確認する重要な機会になる。

また、福田師王のような若手の招集は、次の大会を見据えた競争の広がりという点でも注目される。

なお、2027年1月に予定されていたAFCアジアカップは、11月3日にAFCから開催延期が発表された。日本代表の今後の大会準備にも影響する動きだ。

【サッカーW杯日本代表に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:2026年W杯の日本代表は何位で終わりましたか?

A1:グループFを勝ち点5の2位で突破し、ラウンド32でブラジルに1-2で敗れました。最終的な成績はラウンド32敗退です。

Q2:日本対チュニジア戦の得点者は誰ですか?

A2:鎌田大地、上田綺世(2得点)、伊東純也です。日本は4-0で勝利し、W杯における1試合最多得点記録を更新しました。

Q3:日本対ブラジル戦で日本の得点を決めた選手は誰ですか?

A3:佐野海舟です。29分に先制ゴールを決めましたが、カゼミーロとマルティネッリの得点で逆転されました。

Q4:久保建英は2026年W杯で活躍しましたか?

A4:オランダ戦で中村敬斗のゴールをアシストしました。一方、チュニジア戦は負傷で欠場するなど、大会を通じた出場機会は限られました。

Q5:堂安律の2026年W杯での見どころは何ですか?

A5:右サイドでの攻守両面の貢献です。特にスウェーデン戦では前田大然の先制ゴールをアシストし、チャンスメーク能力を発揮しました。

Q6:日本代表のW杯最高成績は何ですか?

A6:ベスト16です。2002年、2010年、2018年、2022年の4大会で記録しています。2026年はラウンド32で敗退したため、最高成績の更新には至っていません。

まとめ:2026年の敗退を次の世界大会への財産にできるか

2026年のサッカー日本代表は、グループFでオランダに2-2、チュニジアに4-0、スウェーデンに1-1と、1勝2分けの無敗で2位通過を果たした。

チュニジア戦の4得点は、日本代表の攻撃力の成長を象徴する結果だった。久保建英、堂安律、鎌田大地、上田綺世らがそれぞれ異なる形でチームに貢献し、複数の得点パターンを生み出した。

しかし、ブラジルとのラウンド32では、先制後に試合の主導権を失い、後半の守備対応と終盤の失点によって1-2で敗れた。

今回の敗退から学ぶべきことは明確だ。

グループステージを突破できるチームから、世界の強豪をノックアウトステージで倒せるチームへ。

そのためには、戦術の柔軟性、守備の個人責任、交代選手の質、そして試合終盤の判断力を高めなければならない。

11月のブラジル戦・パラグアイ戦、そして次世代選手の台頭は、その課題に取り組む重要な機会となる。

森保ジャパンが2026年大会で得た経験を、次の国際大会でどのような成果につなげるのか。日本代表が目指す「世界の頂点」への挑戦は、まだ終わっていない。

記事基準日:2026年11月6日

同じカテゴリの記事

黒岩 雅也

全記事の校正と事実確認を担当。固有名詞・日付・数値を公開情報と突き合わせ、誤りは訂正日時を明記して更新します。

おすすめの関連記事