奈良県警本部長は、奈良県内の警察活動を統括する最高責任者です。
ただし、警察本部長が独立してすべてを決定できるわけではありません。警察法に基づき、奈良県公安委員会の管理の下で警察組織を運営します。
本部長が担う主な仕事
具体的には、次のような業務を統括します。
1. 県警察全体の指揮監督
奈良県警察本部の各部門や県内警察署を含め、警察職員を指揮監督します。
2. 犯罪捜査と防犯対策の推進
刑事事件の捜査態勢や犯罪抑止活動、特殊詐欺対策などについて、組織全体の運営を統括します。
3. 交通安全と事故防止
交通事故の抑止、交通違反の取締り、道路交通の安全確保などを担います。
4. 警備・災害対応
重要施設の警備、要人警護、災害発生時の警察活動などを統括します。
5. 人材・組織管理
警察職員の配置や教育、組織の業務改善、県民からの信頼確保にも責任を負います。
警察法第48条第2項では、本部長について、警察本部の事務を統括し、所属する警察職員を指揮監督すると定めています。
奈良県公安委員会との違い
ここは誤解されやすいポイントです。
奈良県公安委員会と奈良県警本部長は、同じ組織の上下関係にある単純な役職ではありません。それぞれ異なる役割を担っています。
- 奈良県公安委員会: 県警察を管理する行政委員会。警察運営の基本方針や監督に関わる。
- 奈良県警本部長: 公安委員会の管理の下で、警察本部の事務を統括し、警察職員を指揮監督する。
つまり、公安委員会が管理・監督を担い、本部長が警察組織の実務を統括するという関係です。
また、警察法第50条では、警察本部長の任免は国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て行うと規定されています。
そのため、奈良県知事が単独で本部長を任命する仕組みではありません。
警察庁長官との関係は?
警察庁長官と奈良県警本部長も、役割が異なります。
警察庁は全国的な警察行政を担い、広域組織犯罪への対応態勢や犯罪鑑識、犯罪統計など、所掌事務について都道府県警察を指揮監督します。
一方、奈良県警本部長は奈良県内の警察組織を統括する立場です。
警察庁と地方警察が連携しながら、それぞれの法的な権限と役割に基づいて警察活動を進める仕組みになっています。
【奈良県警察本部の組織体制】飯崎本部長が統括する規模とは?

飯崎氏が率いる奈良県警察は、約2,900人の職員を抱える組織です。
奈良県警察が2026年4月1日現在のデータとして公表している職員数は、次のとおりです。
奈良県警察の組織規模2,901人
2026年4月1日現在の職員数
警察官 2,566人
その他 335人
12
77
62
奈良県警察本部を構成する主な部門
奈良県警察本部には、警察業務を専門分野ごとに担当する部門が設けられています。
警務部
人事、総務、会計、監察、施設管理、情報管理、広報相談など、警察組織の基盤を支えます。
生活安全部
防犯活動、少年問題、人身安全対策、地域警察、特殊詐欺対策、サイバー犯罪対策などを担当します。
刑事部
殺人や窃盗などの刑事事件、組織犯罪、捜査支援、鑑識、科学捜査などを担当します。
交通部
交通事故防止、交通違反の取締り、交通規制、運転免許、交通機動隊などを担当します。
警備部
公安、警備、警衛・警護、外事、機動隊などを担当します。
このほか、警察学校や県内12警察署が組織を構成しています。
本部長の仕事は、これらの部門を単に管理することではありません。
例えば、特殊詐欺事件では生活安全部と刑事部の連携が必要になります。サイバー犯罪では専門部署の技術力と刑事捜査の能力が大切です。
加えて、重要施設の警備や災害対応では警備部や地域警察などとの連携が欠かせません。
こうした異なる専門部門を横断して、県警全体としての対応力を高めることが本部長の重要な役割です。
【飯崎準本部長の就任後】2026年の奈良県警が直面する重要課題
新しい本部長の仕事を評価するうえで、注目したいのが奈良県内の治安情勢です。
2026年の奈良県警察は、特殊詐欺の被害拡大や県民の防犯意識の向上など、重要な課題に直面しています。
特殊詐欺被害は深刻な状況
2026年9月15日に開催された奈良県、奈良県警察、奈良県金融機関防犯協議会の共同記者会見では、県内の特殊詐欺被害について具体的な数字が公表されました。
| 対象期間 | 被害件数 | 被害額 |
|---|---|---|
| 2025年(年間) | 535件 | 約58億円 |
| 2026年1~8月 | 395件 | 約47億円 |
2025年の被害額は、人口当たりで算出すると全国ワースト1位だったと県側が説明しています。
さらに2026年も8月末までに約47億円の被害が確認され、前年を上回るペースで被害が拡大していました。
特に問題となっているのが、次の3つの手口です。
- SNS型投資詐欺
- オレオレ詐欺
- 警察官や検察官を装う偽警察詐欺
従来は高齢者が被害者の中心でしたが、SNSを利用した詐欺の拡大によって、幅広い年齢層に被害が広がっています。
飯崎本部長が示した対策方針
9月15日の共同記者会見では、飯崎本部長自身が県警の取組について説明しました。
主な方針は次の2つです。
1. 捜査と取締りの強化
詐欺事件の実行犯である受け子・出し子の検挙に加え、その背後にいる中枢の被疑者の検挙や犯罪グループの実態解明を進める方針です。
2. 被害防止のための情報発信
犯人からの電話を遮断する取組や、特殊詐欺対策アプリの普及、県警の安全・安心アプリ「ナポリス」の周知などを進めます。
特に、国際電話を利用した詐欺電話への対策として、固定電話の国際電話利用休止や携帯電話向け対策アプリの活用を呼びかけています。
また、奈良県、奈良県警察、県内金融機関の3者は特殊詐欺非常事態宣言を発出しました。
「ならみんなでSTOP!特殊詐欺ゼロ運動」は、2026年10月1日から2027年2月28日まで実施する計画です。
警察だけでなく、行政や金融機関、地域団体が連携する取組であり、飯崎体制の初期における重要な課題の一つとなっています。
県民からの信頼回復と警察官の育成
飯崎氏が重視するもう一つのテーマが、県民目線の警察活動です。
2026年9月24日に行われた奈良県警察学校の卒業式では、初任科短期課程の警察官46人が卒業しました。
この式で飯崎本部長は、警察官に対して次の趣旨の訓示を行っています。
「県民目線で職務に取り組む積み重ねが、警察に対する信頼の礎になる」
警察への信頼は、重大事件の解決だけで生まれるものではありません。
日々の相談対応、地域のパトロール、交通安全指導、被害者への支援など、一つひとつの活動の積み重ねによって築かれます。
2026年11月2日には、飯崎本部長が一日文化財保安官の委嘱状を大学生に手渡したことも奈良テレビが報じています。
文化財保安官は、文化財を犯罪被害から守るために全国で唯一、奈良県警に配置されている制度として紹介されました。
歴史的建造物や国宝などの文化財を数多く抱える奈良県ならではの警察活動も、地域の安全を守る重要な仕事です。
飯崎体制の評価では、犯罪の検挙だけでなく、こうした地域に根差した防犯活動にも注目する必要があります。
【奈良県警本部長に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在の奈良県警本部長は誰ですか?
A1:飯崎準氏です。2026年9月7日に着任し、警察庁が公表した11月1日現在の幹部名簿でも奈良県本部長として掲載されています。
Q2:奈良県警本部長の前任者は誰ですか?
A2:宮西健至氏です。2024年3月29日に本部長に着任し、2026年9月の人事異動で警察庁情報技術解析課長に異動しました。
Q3:飯崎準氏は警察庁でどのような役職を務めていましたか?
A3:奈良県警本部長への就任直前は、警察庁警備局の警備第二課長でした。それ以前には、茨城県警捜査第二課長、警視庁組織犯罪対策部の管理職、警察庁外事情報部調査官、埼玉県警刑事部長などを経験しています。
まとめ:飯崎準本部長の今後は奈良県の治安対策が焦点
2026年11月現在、奈良県警本部長を務めているのは飯崎準氏です。
今回の人事を整理すると、要点は次のとおりです。
- 2026年9月7日、飯崎準氏が奈良県警本部長に就任。
- 前任の宮西健至氏は警察庁情報技術解析課長に異動。
- 飯崎氏は2000年に警察庁へ入庁し、刑事・組織犯罪対策・警備分野などを経験。
- 奈良県警は約2,900人の職員と12警察署を擁する組織。
- 特殊詐欺対策、県民の信頼確保、地域の防犯活動が重要な課題。
【プロの結論】
奈良県警本部長の人事を見る際に大切なのは、単に誰が就任したかだけで判断しないことです。
本部長の経歴、警察庁での担当分野、前任者との異動関係、そして着任後にどのような警察運営を進めているかを合わせて見る必要があります。
飯崎氏の場合、警備第二課長からの就任という経歴に加え、刑事・組織犯罪対策の経験も持っています。
今後の評価では、特殊詐欺被害の減少、事件の検挙、サイバー犯罪への対応、警察官の育成、県民からの信頼向上といった具体的な成果が判断材料になります。
奈良県警のトップ交代は、県民の安全を守る警察組織の新たな運営体制が始まったことを意味します。今後も警察庁の幹部人事、奈良県公安委員会の公表情報、県警の活動実績を追うことで、飯崎体制の方向性がより明確になるでしょう。