「私は奈良派」という言葉を目にして、近鉄の観光キャンペーンなのか、奈良好きの人たちの呼び名なのか、気になった人も多いのではないだろうか。正式には、近鉄グループが2017年から展開している奈良観光プロモーション「わたしは、奈良派。」を指す。2026年秋編では、俳優の杏を起用し、世界文化遺産に登録された「飛鳥・藤原の宮都」を中心に、奈良の歴史と風景を紹介している。
今回の企画が注目される理由は、単なる観光地の宣伝にとどまらない点にある。2026年7月26日に世界遺産登録が決まった飛鳥・藤原地域を舞台に、藤原宮跡、橘寺、石舞台古墳という異なる歴史的背景を持つ場所をつなぎ、日本の古代国家が形づくられた過程を旅として伝えている。京都と奈良のどちらが魅力的かという単純な比較では見えてこない、奈良ならではの観光価値が今回のキャンペーンには込められている。
【私は奈良派とは?】近鉄グループが展開する奈良観光キャンペーンの正体

2017年から続く「わたしは、奈良派。」
「わたしは、奈良派。」は、近鉄グループホールディングスが2017年から展開している観光プロモーションだ。
ポスター、テレビCM、公式ウェブサイト、SNSなどを活用し、奈良の歴史、文化、自然、食、地域の人々との交流などを紹介してきた。
特徴的なのは、奈良の有名観光地を並べるだけではなく、実際に旅をする人の視点から奈良の魅力を伝える構成である。
キャンペーンの中心にあるのは、「奈良を訪れることで、自分なりの好きな場所や時間を見つける」という考え方だ。
そのため、奈良に何度も訪れている人だけでなく、修学旅行以来、奈良を訪れていない人や、京都観光を中心に旅行先を考えてきた人にも訴求する内容になっている。
杏が奈良観光のイメージキャラクターに起用された理由
2024年秋から、近鉄グループは俳優の杏をイメージキャラクターとして起用している。
近鉄グループの発表によれば、杏という一人の旅人を通じて、奈良の歴史や文化に触れ、地域の人々と交流しながら、少しずつ奈良の魅力を発見していく姿を描くことが企画の狙いだ。
杏のプロフィールは次のとおり。
- 生年月日:1986年4月14日
- 出身地:東京都
- デビュー:2001年
- 主な出演作:NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』、『花咲舞が黙ってない』シリーズ、『競争の番人』など
2026年秋のCMでも杏が飛鳥・藤原地域を巡る旅人として登場する。
また、キャンペーンの音楽には大橋トリオの「青い口笛」が採用されている。映像と音楽を組み合わせ、古代の歴史を扱いながらも、現代の旅行者が自然に共感できる雰囲気をつくっている。
2026年秋のCMは何を伝えている?
今回のCMで印象的なのは、日本の始まりという歴史的なテーマと、現代を生きる個人の感覚を重ねていることだ。
公式サイトでは、次のメッセージが掲げられている。
ここで、未来を夢見た人がいた。
ここで、未来を願う私がいる。
歴史は、つながっている。
過去の人々が新しい国の形を模索した場所で、現代の旅行者が自分の未来に思いを巡らせる。こうした時間の重なりが、2026年秋編の中心的な演出となっている。
CMは15秒版と30秒版があり、メイキング映像も公式サイトで公開されている。
単に杏が観光名所を訪れる映像ではなく、歴史的な場所を自分の感覚で受け止める姿が、キャンペーンのブランドイメージを形づくっている。
【2026年秋キャンペーンの核心】飛鳥・藤原の宮都が世界遺産になった意味
2026年7月26日に世界文化遺産登録が決定
今回のキャンペーンを理解するうえで欠かせないのが、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録だ。
2026年7月26日、韓国・釜山で開催された第48回ユネスコ世界遺産委員会において、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産一覧表への記載が正式に決定した。
文化庁やユネスコ日本政府代表部の発表によると、この遺産は日本における古代国家の形成過程を示す文化遺産として評価されたものだ。
対象となるのは、6世紀末から8世紀初頭にかけて政治や文化の中心となった飛鳥・藤原地域。
中国大陸や朝鮮半島との交流によってもたらされた技術や文化を取り入れながら、日本独自の中央集権的な国家体制が形成されていった過程を示している。
構成資産は全部で19件。橿原市、明日香村、桜井市の3市村にまたがっている。
これは一つの宮殿や寺院だけを評価した登録ではない。宮殿、役所、寺院、古墳などが相互に関係しながら残されていることに大きな意味がある。
近鉄が世界遺産登録を秋キャンペーンの中心に据えた理由
近鉄グループは、世界遺産登録を記念して2026年8月5日から秋キャンペーンを展開した。
今回の企画は第五弾で、飛鳥・藤原地域を「日本の始まりの舞台」として紹介している。
宣伝展開の主な日程は以下のとおり。
| 日程 | キャンペーンの展開内容 |
|---|---|
| 2026年8月5日 | 特設サイト公開、CM動画の先行公開 |
| 2026年8月8日 | 関東・関西・中部などでテレビCMを順次公開 |
| 2026年8月17日 | 東京駅でJR東海・奈良県との共同企画を開始 |
| 2026年8月30日 | 東京駅での共同企画終了 |
| 2026年9月28日 | 東京駅・品川駅などで広告展開を開始 |
| 2026年10月1日 | 近鉄各駅・車内でポスター掲出を開始 |
特に注目されたのが、JR東海の「いざいざ奈良」と奈良県を含めた3者共同企画だ。
2026年8月17日から30日まで、東京駅八重洲コンコースのイベントスペースに、石舞台古墳を実物の2分の1スケールで再現した展示が登場した。
また、近鉄キャンペーンのイメージキャラクターである杏と、JR東海の「いざいざ奈良」のイメージキャラクターである鈴木亮平からのお祝いメッセージも展示された。
鉄道会社同士がそれぞれのキャンペーンを連携させ、奈良への旅行需要を首都圏から取り込もうとする取り組みだ。
今回の企画は、単独の広告キャンペーンというより、世界遺産登録を契機に奈良観光全体の認知を高める地域連携型のプロモーションとして捉えると理解しやすい。
【奈良観光おすすめスポット】藤原宮跡・橘寺・石舞台古墳の見どころ
2026年秋のキャンペーンで中心的に紹介されているのが、藤原宮跡、橘寺、石舞台古墳の3か所だ。
それぞれ異なる時代や歴史的役割を持ち、同じ飛鳥・藤原地域でも見学する楽しみが違う。
1. 藤原宮跡:日本初の本格的な都城の面影
藤原宮跡は、現在の奈良県橿原市に位置する史跡で、かつて藤原京の中心に置かれていた藤原宮の跡地だ。
藤原宮は694年から710年まで都が置かれた時代の政治の中心だった。
宮の規模は一辺約1キロメートル。内部には大極殿、朝堂院、天皇の住まいである内裏などが配置されていた。
現在の皇居、国会議事堂、官庁街を合わせたような機能を持つ場所だったと考えると、その重要性が分かりやすい。
近鉄のキャンペーン公式サイトでは、広大な敷地と朱色の列柱を通じて、当時の都の姿を想像できる場所として紹介されている。
藤原宮跡のもう一つの魅力は、四季の花と景観だ。
- 春:菜の花
- 夏:ハス
- 秋:コスモスやキバナコスモス
周囲には大和三山が広がり、古代の都の跡と自然の景観を同時に楽しめる。
特に秋は、歴史的な遺構を見学した後に花畑を歩くという、奈良らしいゆったりした観光を楽しめる季節だ。
2. 橘寺:聖徳太子誕生の地と伝わる古寺
橘寺は、明日香村にある聖徳太子ゆかりの寺院だ。
聖徳太子がこの地で生まれたと伝えられており、飛鳥時代の歴史を知るうえで重要な場所となっている。
見どころは大きく二つある。
一つ目は、境内にある二面石。
善と悪という人間の二面性を表現したと伝えられる石造物で、飛鳥の歴史的な謎を感じさせる存在だ。
二つ目は、往生院の天井画。
近鉄の公式キャンペーン紹介では、現代作家たちによって描かれた260点もの花々が天井を彩ると紹介されている。
古代の寺院建築と現代の芸術表現が同じ境内に存在する点も興味深い。
また、橘寺は単に聖徳太子の伝承を知るためだけの場所ではない。飛鳥地域における仏教文化の広がりや、当時の国際交流を考える手掛かりにもなる。
3. 石舞台古墳:30数個の巨石が生み出す圧倒的な存在感
石舞台古墳は、明日香村を代表する古墳の一つだ。
国内最大級の方墳で、30数個の巨大な石を積み上げて構築された横穴式石室を持つ。
特に印象的なのは、地上に露出した巨大な石室だ。
通常の古墳では墳丘に覆われている部分が大きいが、石舞台古墳では巨石の構造を外から見ることができ、内部に入って石の大きさを体感することもできる。
被葬者については、飛鳥時代の有力豪族である蘇我馬子の墓とする説が有力視されている。ただし、確定した人物として扱うことはできない。
蘇我馬子は、飛鳥時代の政治に大きな影響力を持った人物だ。彼の墓であるという説を踏まえて見学すると、当時の権力構造や豪族の勢力を考えるきっかけになる。
近鉄グループが2026年秋の東京駅イベントで、この古墳を2分の1スケールで再現したことからも、今回のキャンペーンにおける象徴的なスポットであることが分かる。
4. 飛鳥寺:日本最古の大仏に出会える場所
キャンペーンの3大ロケ地以外にも、飛鳥・藤原地域には見逃せない場所がある。
その代表が飛鳥寺だ。
飛鳥寺は蘇我馬子の発願によって588年に造営が始まり、596年に主要な堂塔が完成したとされる、日本最古の本格的な仏教寺院である。
本尊は銅造釈迦如来坐像。一般には飛鳥大仏の名前で親しまれている。
1400年以上前の姿を今に伝える日本最古の大仏として知られ、飛鳥時代の仏教文化を身近に感じられる存在だ。
ここで注目したいのは、仏教が日本に伝わった後、単に信仰として広まっただけではないという点である。
寺院の建築、仏像の制作、瓦や金属加工など、さまざまな技術が東アジアとの交流を通じてもたらされた。
飛鳥寺は、その歴史を実際の場所で感じられる貴重な文化遺産だ。
5. キトラ古墳:四神と天文図が描かれた壁画古墳
キトラ古墳は、明日香村にある終末期古墳で、国宝に指定された壁画で知られる。
石室の壁面には、東西南北を守る四神が描かれている。
- 青龍
- 白虎
- 朱雀
- 玄武
加えて、天井には本格的な中国式天文図が描かれ、壁面には十二支を表現した獣頭人身像も確認されている。
とりわけ天文図は、古代の天文学や宇宙観を知るうえで価値の高い資料だ。
壁画は保存のために取り外され、修理・管理されている。古墳内部を自由に入って実物の壁画を見ることはできない。
隣接するキトラ古墳壁画体験館「四神の館」では、壁画や古墳の構造について学ぶことができる。
なお、2026年9月19日から10月18日まで実施された壁画の特別公開は、11月6日時点ですでに終了している。実物の壁画を見たい場合は、次回の公開日程と事前登録の有無を確認したい。
6. 高松塚古墳:教科書で知られる飛鳥美人
高松塚古墳は、1972年に極彩色の壁画が発見されたことで全国的に知られるようになった。
特に有名なのが、西壁に描かれた女子群像、通称「飛鳥美人」だ。
当時の衣装や髪形、人物の表情などから、古代の服飾文化や美意識を知ることができる。
壁画には男子群像や四神、天井の星宿図なども描かれている。
キトラ古墳と高松塚古墳は、どちらも壁画古墳だが、描かれた図像や構造には違いがある。
キトラ古墳が四神や天文図、十二支像を特徴とするのに対し、高松塚古墳は男女の人物群像が大きな見どころとなっている。
高松塚壁画館では、壁画の精密な模写や石室の模型などを見学できる。
【奈良派と京都派を比較】どちらを選ぶかは旅の目的で変わる
「奈良派」と検索する人の中には、「京都派と何が違うのか」「奈良観光にはどのような魅力があるのか」と疑問を持つ人もいるだろう。
実際、奈良と京都はどちらも日本を代表する歴史観光地だが、旅行者が体験できる風景や歴史の見せ方には違いがある。
| 比較項目 | 奈良派 | 京都派 |
|---|---|---|
| 歴史の特徴 | 飛鳥・藤原時代から古代国家形成の歴史をたどる | 平安時代以降の宮廷文化や寺社、町の歴史を楽しむ |
| 景観 | 古墳、遺跡、田園、山並みが一体となる風景 | 寺社、町家、庭園、歴史的市街地が織りなす景観 |
| 代表的な観光地 | 飛鳥、藤原宮跡、奈良公園、東大寺 | 清水寺、金閣寺、嵐山、伏見稲荷大社 |
| 旅の楽しみ | 遺跡の位置関係や古代の暮らしを想像する | 寺社巡り、町歩き、庭園、伝統文化を楽しむ |
| おすすめの過ごし方 | 散策、自転車、歴史探訪 | 寺社巡り、街歩き、文化体験 |
もちろん、これは旅行スタイルを理解するための比較であり、奈良にも町歩きや寺社巡りの魅力があり、京都にも自然豊かな地域がある。
私は奈良派になる理由は何か
奈良派を選ぶ理由として考えられるのは、主に次の3点だ。
1. 歴史を風景の中で感じられる
奈良の魅力は、古墳や宮跡が自然の中に残されていることだ。
石舞台古墳の周囲には田園風景が広がり、藤原宮跡からは大和三山を望める。
建物や展示物を見るだけでなく、当時の人々が暮らした土地そのものを歩くことができる。
2. 日本の成り立ちを深く知ることができる
飛鳥・藤原地域では、仏教の受容、豪族の政治、宮都の整備、中央集権国家の形成など、日本史の大きな転換点をたどれる。
教科書で学んだ出来事が、実際の地形や遺跡と結びつく点は大きな魅力だ。
3. 観光地を巡るだけではない時間を過ごせる
奈良の中南部には、自然と歴史が共存する地域が多い。
目的地を詰め込むよりも、一つの遺跡をじっくり見学し、周囲の景色を楽しむ旅行がしたい人には相性がよい。
反対に、短時間で多くの商業施設や飲食店、伝統工芸体験を巡りたい場合は、京都の市街地を中心とする旅行のほうが計画を立てやすいこともある。
大切なのは、どちらが優れているかではなく、自分が旅行に求めるものを明確にすることだ。
【飛鳥・藤原を実際に巡る】2026年秋の奈良観光モデルとアクセス
キャンペーンで紹介された場所を実際に訪れる場合、アクセスの計画が重要になる。
飛鳥・藤原地域は複数の市村にまたがり、観光スポットが駅前に集中しているわけではない。
そのため、鉄道とバスを組み合わせて巡る方法が便利だ。
近鉄電車を利用したアクセス
近鉄の公式キャンペーンサイトでは、主要スポットへのアクセスとして次の経路を案内している。
| 観光スポット | 最寄りの主な鉄道駅 | バス・徒歩 |
|---|---|---|
| 藤原宮跡 | 大和八木駅 | 橿原市コミュニティバスで資料室前下車、徒歩約5分 |
| 橘寺 | 橿原神宮前駅・飛鳥駅 | 明日香周遊バスで川原または岡橋本下車、徒歩約5分 |
| 石舞台古墳 | 橿原神宮前駅・飛鳥駅 | 明日香周遊バスで石舞台下車、徒歩すぐ |
| 飛鳥寺 | 飛鳥駅など | 奈良交通バスで飛鳥大仏前下車 |
| キトラ古墳 | 壺阪山駅・飛鳥駅 | 徒歩またはバスを利用 |
| 高松塚古墳 | 飛鳥駅 | 周辺のバス・徒歩を組み合わせる |
バスの運行本数や時刻は曜日・季節によって異なるため、出発前に奈良交通と各自治体の最新案内を確認したい。
おすすめの巡り方は歴史の流れを意識すること
初めて飛鳥・藤原地域を訪れるなら、次のような組み合わせが考えられる。
藤原宮跡を中心に巡るコース
大和八木駅を起点に藤原宮跡を見学し、古代の都の構造や大和三山の景観を楽しむ。
歴史的な背景を知ってから飛鳥地域へ移動すると、宮都がどのように変遷していったのか理解しやすくなる。
明日香村の歴史を深掘りするコース
飛鳥駅を起点に、橘寺、石舞台古墳、飛鳥寺などを組み合わせる。
それぞれの場所には聖徳太子、蘇我馬子、仏教の伝来など、異なる歴史的なテーマがある。
壁画古墳を中心に巡るコース
キトラ古墳と高松塚古墳を中心に見学する。
壁画の保存や公開方法にも注目すると、文化財を後世に残すための取り組みについても理解が深まる。
秋の観光で気をつけたいこと
2026年秋は世界遺産登録後の注目が高まる時期であり、イベントや特別公開に合わせて旅行する人もいる。
ただし、特別公開は常設ではない。
例えば、キトラ古墳壁画の2026年秋の特別公開は9月19日から10月18日までで、すでに終了している。
また、特別公開に合わせて運行された飛鳥駅・キトラ古墳・高松塚間の臨時バスも同期間の土日祝日限定だった。
壁画の実物公開を目的に訪問する場合は、通常の施設見学と特別公開を混同しないことが大切だ。
【私は奈良派キャンペーンの評判と実態】広告の狙いと実際の観光価値を検証
「わたしは、奈良派。」は、2017年から継続している近鉄グループの観光プロモーションであり、2026年秋編では世界遺産登録という大きな節目を迎えた。
では、キャンペーンの評判や実態はどう評価できるのだろうか。
SNSでの発信力とキャンペーンの認知
近鉄グループの2026年8月5日付発表によると、公式Instagramのフォロワー数は8月3日時点で約7万5,000人だった。
これは、キャンペーンが一定の情報発信基盤を持っていることを示す数字だ。
ただし、フォロワー数はキャンペーンへの好意度や実際の旅行者数を直接示すものではない。
また、公式発表には、今回の秋編によって何人の観光客が増加したか、広告接触者の何割が実際に奈良を訪れたかといった効果測定の確定値は示されていない。
したがって、フォロワー数だけを根拠に「大成功」と評価するのは適切ではない。
キャンペーンの実態は観光地の再発見にある
今回の企画で評価できるのは、奈良の観光イメージを奈良公園や東大寺だけに限定していない点だ。
奈良と聞くと、鹿、東大寺の大仏、春日大社といった定番の観光地を思い浮かべる人は多い。
しかし、飛鳥・藤原地域には、日本の古代国家形成に関わる遺跡が数多く残っている。
今回のキャンペーンは、その歴史的価値を世界遺産登録という話題と結びつけ、これまで奈良の中南部を訪れる機会が少なかった旅行者に向けて紹介した。
特に、東京駅での石舞台古墳の再現展示は、実際に奈良へ行く前に現地の文化財に関心を持ってもらうための施策として興味深い。
さらにJR東海の「いざいざ奈良」と連携したことにより、近鉄沿線だけでなく、新幹線を利用する首都圏の旅行者にも訴求する形になった。
奈良派に向いている人、向いていない人
奈良派という言葉は、特定の旅行者だけに当てはまるものではない。
ただし、今回のキャンペーンで紹介された飛鳥・藤原地域の魅力を踏まえると、次のような人には特におすすめできる。
奈良派に向いている人
- 日本の古代史や飛鳥時代に関心がある人
- 古墳や遺跡を実際に歩いて見学したい人
- 自然の風景と歴史的建造物を一緒に楽しみたい人
- 有名観光地だけでなく、地域の歴史や文化を深く知りたい人
- ゆったりとした散策型の旅行を好む人
今回の飛鳥・藤原観光があまり向いていない人
- 駅から徒歩数分の場所だけで観光を完結させたい人
- 短時間で大量の商業施設を巡りたい人
- 公共交通機関の時刻に合わせて移動することが苦手な人
- 遺跡や歴史に関心がなく、買い物や都市型観光を主目的とする人
もちろん、奈良全体には市街地観光や買い物、グルメなどの楽しみ方もある。ここで挙げた条件は、あくまで飛鳥・藤原地域を中心とする旅行との相性を示したものだ。
【私は奈良派に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:「私は奈良派」とは何ですか?
A1:近鉄グループが2017年から展開している奈良観光キャンペーン「わたしは、奈良派。」を指す。俳優の杏をイメージキャラクターに起用し、奈良の歴史、文化、自然などを紹介している。
Q2:2026年秋の奈良派キャンペーンのテーマは何ですか?
A2:2026年7月26日に世界遺産登録が決定した「飛鳥・藤原の宮都」がテーマ。藤原宮跡、橘寺、石舞台古墳を中心に、飛鳥・藤原地域の歴史的魅力を発信している。
Q3:杏が出演している近鉄の奈良派CMはどこで見られますか?
A3:近畿日本鉄道の公式キャンペーンサイトにあるCMギャラリーで、2026年秋の15秒版、30秒版、メイキング映像を確認できる。
Q4:奈良派と京都派の違いは何ですか?
A4:奈良は飛鳥・藤原時代の古代国家形成や古墳、宮跡、自然景観などを楽しむ旅に強みがある。一方、京都は寺社、町家、庭園、伝統文化などを組み合わせた都市型の歴史観光が魅力。どちらが優れているかではなく、旅行の目的によって選ぶのがおすすめだ。
Q5:飛鳥・藤原の宮都はいつ世界遺産に登録されましたか?
A5:2026年7月26日、第48回ユネスコ世界遺産委員会で世界遺産一覧表への記載が決定した。構成資産は19件で、奈良県の橿原市、明日香村、桜井市にまたがっている。
Q6:飛鳥・藤原地域を観光するなら何日必要ですか?
A6:藤原宮跡、橘寺、石舞台古墳など主要スポットを絞れば日帰りでも巡る計画は立てられる。一方、飛鳥寺、キトラ古墳、高松塚古墳までじっくり見学するなら、1泊2日程度の余裕を持たせると観光しやすい。
まとめ:私は奈良派という選択が教えてくれる奈良観光の新しい魅力
「わたしは、奈良派。」の2026年秋キャンペーンは、世界遺産登録という歴史的な節目を、奈良観光の新しい入口に変えた企画だ。
2017年から続く近鉄グループのプロモーションは、2024年秋から杏を起用し、旅人の視点で奈良の魅力を紹介してきた。
そして2026年秋編では、飛鳥・藤原の宮都を中心に、藤原宮跡、橘寺、石舞台古墳という歴史的な場所を取り上げている。
今回の世界遺産登録によって、奈良は大仏や鹿だけでは語り尽くせない観光地であることが、改めて国内外に伝わる機会を得た。
飛鳥寺の大仏、キトラ古墳の壁画、高松塚古墳の飛鳥美人などを実際に見ていくと、奈良には日本の歴史が形づくられていった過程を体感できる場所が数多く存在することが分かる。
京都と奈良のどちらを選ぶかという問いに、唯一の正解はない。
歴史の始まりに思いを巡らせ、自然の中に残る遺跡を歩き、自分のペースで古代の時間に触れたいなら、奈良は有力な旅行先になる。
「私は奈良派」という言葉は、単なる観光キャンペーンのキャッチコピーではない。自分がどのような歴史や風景に心を動かされるのかを考える、一つの旅の選択肢でもある。
2026年秋、世界遺産登録を機に注目を集める飛鳥・藤原地域。次の奈良旅行では、ぜひ有名な観光名所だけでなく、日本の始まりを物語る土地そのものを歩いてみたい。
主要な情報源
- 近鉄グループホールディングス「わたしは、奈良派。」2026年秋キャンペーン公式発表。
- 近畿日本鉄道「わたしは、奈良派。」公式サイト・CMギャラリー。
- 文化庁・ユネスコ日本政府代表部「飛鳥・藤原の宮都」世界遺産登録発表。
- 国営飛鳥歴史公園、明日香村、橿原市の観光・文化財情報。