東京2020は、オリンピック野球審判員の選考実績を知るうえで重要な大会です。
WBSCは2020年1月21日、東京大会の野球・ソフトボール競技を担当する大会役員を正式に発表しました。選考では過去3年間の主要なWBSC大会での活動実績が重視され、最も重要な判断材料は競技パフォーマンスでした。
加えて、全大陸から関係者を選出するため、地域的な代表性も考慮されました。
東京2020の野球審判員一覧
WBSCが公開した東京2020メディアガイドには、野球の審判ディレクターと12人の審判員が記載されています。
| 氏名 | 国・地域 | 大会での役割 |
|---|---|---|
| Gustavo Rodriguez | アメリカ | 審判ディレクター |
| Chi Hua-Wen | チャイニーズタイペイ | 野球審判員 |
| Trevor Grieve | カナダ | 野球審判員 |
| Jair Fernandez | メキシコ | 野球審判員 |
| Fabrizio Fabrizi | イタリア | 野球審判員 |
| Edwin Hernandez | プエルトリコ | 野球審判員 |
| Kang Kwang Hoe | 韓国 | 野球審判員 |
| Jairo Mendoza | ニカラグア | 野球審判員 |
| Kenjiro Mori | 日本 | 野球審判員 |
| Jorge Miguel Niebla | キューバ | 野球審判員 |
| Kevin Jon Sweeney | アメリカ | 野球審判員 |
| Trent Thomas | オーストラリア | 野球審判員 |
| Mark Winters | アメリカ | 野球審判員 |
出典:WBSC「Tokyo 2020 Olympic Games Media Guide」。審判ディレクターと競技担当審判員を区別して掲載。
注目したいのは、日本からもKenjiro Mori(森健二郎)氏が選出されていたことです。
東京大会の野球審判員は、日本人だけで構成されたわけではありません。アメリカ、カナダ、欧州、アジア、中南米など、複数の国・地域から選ばれた国際審判員が担当しました。
この構成は、国際大会の公平性を担保するうえでも意味があります。
東京大会の選考から分かる3つのポイント
1. 国内での実績だけでは足りない
国内最高峰の大会で活躍していることに加え、国際大会での経験が大切です。
2. 直近の評価が重要
東京2020の選考では、過去3年間の主要なWBSC大会での活動が重視されました。過去に優秀な実績を残しただけでなく、現在も高いレベルを維持していることが評価されたわけです。
3. 国際的な公平性が重視される
審判員の国籍や地域の偏りを抑え、幅広い地域から人材を選ぶ考え方が示されています。
この3点は、次回のロサンゼルス大会を考える際にも重要な参考材料になります。
【ロサンゼルス2028】次回のオリンピック野球審判はどうなる?

ロサンゼルス2028では、野球がオリンピック競技に復帰します。
2023年10月16日、インド・ムンバイで開催されたIOC総会で、野球・ソフトボールがLA28の追加競技として正式に採用されました。東京2020以来、2大会ぶりの五輪復帰となります。
LA28の審判員選考で注目されること
2026年11月時点で、確認できるWBSCの公開資料は、2026~2029年の資格指針と大会派遣・評価の一般的な枠組みです。LA28の個別の審判員名簿や確定した大会専用の選考日程を示す資料とは異なります。
そのため、東京2020の審判員がそのまま再選されると考えることはできません。
今後、注目したいのは次の5点です。
- レベル3資格の保持: オリンピック級の大会に対応する資格を維持しているか。
- プレミア12などの経験: 最上位カテゴリーの国際大会で実績を積んでいるか。
- 直近の評価: 2026年以降のWBSC大会で安定した判定を示しているか。
- 国際的な人員構成: 各地域の代表性や男女のバランスがどう考慮されるか。
- 体力・規則知識: 最新の体力認定と規則試験をクリアしているか。
日本人審判員がLA28に選ばれる可能性は?
日本人が選ばれる可能性は十分にあります。
東京2020では森健二郎氏が野球審判員として参加しました。また、全日本野球協会の国際審判員派遣実績を見ると、日本の審判員はアジア選手権、WBSCワールドカップ、日米大学野球選手権など、さまざまな国際大会で経験を積んでいます。
例えば、BFJの公開資料には、塚田敦夫氏、大都篤氏、田口直良氏、高橋進也氏などの国際大会派遣実績が掲載されています。これらは日本国内で国際審判員を育成する活動が継続していることを示す資料です。
ただし、国際審判員としての活動実績があることと、LA28の審判員に選出されることは別問題です。個人のWBSC資格レベルや評価、最終的な派遣判断が必要になります。
LA28に向けた日本の課題
日本の審判員にとって、国内大会の経験を国際大会で通用する能力に結びつけることが課題です。
特に重要なのは次の3点です。
1. 国内最高レベルの試合で安定した判定を続ける。
2. WBSC公認大会で経験を積み、国際基準の評価を受ける。
3. 英語を含む国際的なコミュニケーション能力と、規則の理解を深める。
五輪の舞台では、判定の正確さだけでなく、異なる野球文化を持つチームや関係者との協働も必要です。
LA28に向けては、選手だけでなく審判員の国際競争力にも注目する価値があります。
【プロの結論】オリンピック審判員を目指す人が知っておくべきこと
オリンピック野球審判員という仕事の本質は、資格を取得することではなく、世界最高水準の試合で公平な判定を継続できる能力を証明することです。
2026年のWBSC制度から、特に要点を3つに整理できます。
第一に、レベル3はゴールではなく、五輪選考に参加するための資格条件です。
WBSCレベル3に到達するには、レベル2での活動期間や大陸大会の経験が必要です。さらに資格を取得した後も、大会での評価が選考に影響します。
第二に、審判員の評価は判定技術だけでは決まりません。
位置取り、判定のタイミング、規則の適用、試合管理、身体能力、チームワークなどが総合的に見られます。
第三に、国際審判員としての信頼性が重要です。
特定の国やチームに偏らない判断、利益相反の回避、選手や監督への適切な対応など、競技の公平性を守る姿勢が欠かせません。
国際審判員を目指す人に向いている資質
- 野球規則を深く理解し、状況に応じて正確に適用できる人
- 判定に必要な集中力を長時間維持できる人
- プレッシャーの強い場面でも冷静に判断できる人
- 国内外の大会で経験を積み続けられる人
- 他の審判員と協力し、チームとして試合を運営できる人
一方、判定に対する指摘を受け入れられない人や、継続的な体力管理・規則の学習が難しい人には、国際審判員としての活動は容易ではありません。
オリンピックの審判員は、選手と同じように、日々の積み重ねによって国際舞台に立つ人材なのです。
【オリンピック野球審判に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:オリンピックの野球審判員になるには何級の資格が必要ですか?
A1:WBSCの国際審判員制度では、オリンピック野球に対応する最低資格レベルはレベル3です。レベル2で少なくとも2年間活動し、大陸大会での経験を積んだうえで、WBSC審判ディレクターと審判委員会による認定を受ける必要があります。
Q2:日本人でもオリンピック野球の審判員になれますか?
A2:なれます。東京2020ではKenjiro Mori氏が野球審判員として選出されました。日本の審判員も、国内での活動実績を積み、国際ライセンスを取得してWBSCの選考を通過すれば、五輪派遣の候補になれます。
Q3:野球審判員には体力試験がありますか?
A3:あります。WBSCのライセンス取得時には体力評価があり、資格更新時にも体力試験結果の提出が必要です。具体的な評価基準はWBSCのフィットネスプロトコルに基づきます。
Q4:WBSCレベル3を取得すれば五輪に出場できますか?
A4:資格を取得しただけでは派遣されません。国際大会での評価、活動実績、地域バランス、体力、規則知識などを踏まえた大会ごとの選考が必要です。
Q5:東京2020では何人の野球審判員が選ばれましたか?
A5:WBSCの公式メディアガイドには、審判ディレクター1人と競技担当の審判員12人が掲載されています。日本からはKenjiro Mori氏が選出されました。
Q6:ロサンゼルス2028の野球審判員は決まっていますか?
A6:2026年11月6日時点で、確認できる公開資料ではLA28の個別の審判員名簿は示されていません。WBSCの2026~2029年ライセンス制度と派遣・評価基準が、今後の選考を理解する重要な資料です。
まとめ:オリンピック野球審判は世界基準の資格と実績で選ばれる
オリンピック野球審判員は、各国の国内連盟で実績を積んだ後、WBSCの国際審判員制度を通じて選考されます。
2026年の制度では、オリンピック級の大会に必要な資格レベルはレベル3です。取得にはレベル2での2年以上の経験と大陸大会への参加が求められ、さらに資格取得後も大会評価や体力、規則知識の維持が必要です。
東京2020では、世界各地から選ばれた12人の審判員が野球競技を担当し、日本からも森健二郎氏が参加しました。
次の舞台となるロサンゼルス2028では、どの国の審判員が選ばれ、どのような国際的な人員構成になるのかが注目されます。
五輪の審判員を見極めるなら、資格レベル、国際大会の実績、直近の評価という3つの視点が欠かせません。 選手の活躍を支えるもう一つの主役として、審判員のキャリアにも目を向けたいところです。