「了解しました」が失礼だといわれる理由は、言葉そのものが間違っているからではありません。要点は、丁寧語と謙譲語の違いにあります。
「了解しました」の意味
「了解」は、物事の内容や事情を理解すること、または事情を理解したうえで納得することを意味します。
「了解しました」は、次の2つの要素から成り立っています。
- 了解:内容や事情を理解すること
- しました:「する」を丁寧に表現した形
つまり、「了解しました」は相手の話を理解したことを丁寧に伝える表現です。
ただし、「しました」によって丁寧さが加わっても、必ずしも相手を立てる謙譲表現になるわけではありません。
そのため、上司や取引先に対しては、より敬意が伝わりやすい「承知しました」などが推奨されます。
国立国語研究所が示した「了解しました」の考え方
この問題を考えるうえで参考になるのが、国立国語研究所の2012年11月1日付の解説「『了解しました。』は敬意表現にならないか」です。
同研究所は、「了解しました」は文末が丁寧な形になっているため、最低限の丁寧さは保たれていると説明しています。また、「了解いたしました」とすれば「いたしました」によって謙譲の要素が加わり、敬意の度合いが高まるとしています。
ここで見落としたくないのは、「了解しましたは絶対に失礼」という説明が、言語学的に確定したルールではないという点です。
国立国語研究所の研究発表でも、いわゆる「了解は失礼」という説について、辞書やコーパス、ビジネスマナー関連書籍などを調査しています。
その発表では、この説が2007~2011年ごろに広がった可能性が取り上げられています。特に2009年ごろから新聞記事などでも「承知しました」「かしこまりました」を推奨する説明が見られるようになりました。
つまり、現在のビジネスマナーとして「了解しました」を避ける考え方には一定の背景がありますが、日本語として使用禁止になったわけではありません。
2026年も大切なのは相手と場面に応じた敬語選び
文化庁の「敬語の指針」は、敬語を単純な上下関係だけで判断するのではなく、相手との関係や場面、話し手の気持ちに応じて使うものと説明しています。
また、世代による敬語意識の違いや、マニュアル的な敬語の使い過ぎにも注意を促しています。
この考え方に沿えば、上司に「了解しました」と返信しただけで、直ちに社会人としてのマナー違反になるわけではありません。
しかし、初めてやり取りする取引先や、丁寧な対応を求められる場面では、「承知いたしました」を選ぶほうが誤解を招きにくいのです。
【徹底比較】了解しました・承知しました・かしこまりましたの違い

ビジネスで使われる代表的な返事には、「了解しました」「承知しました」「承知いたしました」「かしこまりました」「承りました」などがあります。
どれも相手の話を受け止める表現ですが、実際にはニュアンスが異なります。
6つの表現を比較
| 表現 | 意味・ニュアンス | 適した相手・場面 |
|---|---|---|
| 了解しました | 内容を理解したことを丁寧に伝える | 同僚・部下・親しい社内関係 |
| 了解いたしました | 了解したことを謙譲の要素を加えて伝える | 社内の丁寧な応答。ただし社外では別表現が無難 |
| 承知しました | 事情や依頼を理解し、受け止めたことを伝える | 上司・先輩・社内の正式な連絡 |
| 承知いたしました | 謙譲の表現を加えた丁寧な返答 | 上司・取引先・顧客 |
| かしこまりました | 謹んで依頼や指示を受ける | 顧客対応・接客・重要な依頼 |
| 承りました | 依頼や伝言などを謹んで受け取る | 注文・予約・伝言・依頼の受付 |
この比較で重要なのは、単に丁寧さの強弱だけで選ばないことです。何を受け取ったのかによって、適切な表現は変わります。
「承知しました」と「承知いたしました」の違い
この2つは非常によく似ています。
「承知しました」は、日常的なビジネスのやり取りで広く使われる丁寧な返答です。
一方、「承知いたしました」は、「する」の謙譲語である「いたす」を使っているため、より改まった印象になります。
例えば、直属の上司から資料作成を頼まれた場合は、
「資料作成の件、承知しました。本日中に対応いたします。」
で自然です。
取引先の担当者から正式な依頼を受けた場合は、
「ご依頼いただいた件、承知いたしました。確認のうえ、改めてご連絡いたします。」
とすれば、丁寧さと対応方針の両方を伝えられます。
「かしこまりました」との違い
「かしこまりました」は、相手の依頼や指示を謹んで受ける表現です。
単に情報を理解したというよりも、相手の意向を尊重し、指示を受け入れるニュアンスがあります。
例えば、次のような場面に向いています。
- 顧客から予約時間の変更を依頼されたとき
- 取引先から正式な手配を頼まれたとき
- 接客中にお客様から希望を伝えられたとき
一方、社内の直属の上司に毎回「かしこまりました」と返すと、少しかしこまり過ぎた印象になることもあります。
社内では「承知しました」、顧客対応では「かしこまりました」という使い分けが実用的です。
「承りました」との違い
「承りました」は、「承る」という謙譲語を使った表現です。
特に、相手から何かを聞いたり、依頼を受け付けたりした場合に適しています。
例えば、
「ご注文、確かに承りました。」
「ご伝言の件、承りました。担当者に申し伝えます。」
といった使い方です。
単純な情報共有への返信なら「承知しました」、注文や依頼を正式に受け付けた場合は「承りました」とすると、意味が明確になります。
「了承しました」は上司への返事に使わないほうがよい?
「了承」は、相手の申し出や事情を認めて受け入れるという意味を持っています。
そのため、上司から指示を受けた部下が「了承しました」と返すと、自分が上司の指示を認める立場であるかのような印象になる場合があります。
上司からの指示には「承知しました」、自分が相手に条件を認めてもらう場合には「ご了承ください」などを使うと自然です。
【意味と使い分け】「失礼します」は何を伝える言葉なのか
「了解しました失礼」という検索で、もう一つ理解しておきたいのが「失礼します」の意味です。
この言葉は、相手の話を理解したことを伝える表現ではありません。
「失礼します」の本来の意味
小学館のデジタル大辞泉では、「失礼」について、礼儀を欠くことのほか、他人のもとを立ち去ることの丁寧な言い方や、別れ際・軽い謝罪などに用いる挨拶として説明しています。
ビジネスでは、主に次の場面で使います。
1. 部屋に入るとき
「失礼いたします。営業部の田中です。」
相手の空間に入ることへの配慮を示します。
2. 部屋から出るとき
「本日はありがとうございました。それでは失礼いたします。」
面談や打ち合わせを終えて退出する際の挨拶です。
3. 先に退社するとき
「お先に失礼します。」
自分がほかの社員より先に帰ることを伝えます。
4. 電話を終えるとき
「ご対応いただきありがとうございました。それでは失礼いたします。」
相手との会話を終えることを丁寧に伝えます。
5. 相手に話しかけるとき
「失礼ですが、少々お時間をいただけますでしょうか。」
相手の作業や時間を妨げることへの配慮を示します。
法務省矯正局のビジネス表現の資料でも、「失礼いたします」は声をかけるときや部屋に入るとき、帰るときなどの表現として紹介されています。
「失礼します」と「失礼いたします」の違い
基本的な意味は同じですが、「いたします」を使うと、より改まった印象になります。
- 失礼します:一般的な丁寧表現
- 失礼いたします:より丁寧で改まった表現
- 失礼しました:すでに行ったことへの謝罪や詫び
- 失礼いたしました:過去の行為について、より丁寧に詫びる表現
例えば、会議室に入るときは「失礼いたします」、話を遮ってしまった後には「失礼いたしました」と使い分けます。
「了解しました。失礼します。」は正しい?
この2つを続けて使うこと自体は間違いではありません。
ただし、それぞれの言葉が伝える内容は別です。
「了解しました」は、相手の話を理解したという意味です。
「失礼します」は、退出したり会話を終えたりするという意味です。
したがって、電話で相手の依頼を受けて会話を終える場合には、次のようにすると自然です。
「承知いたしました。それでは、失礼いたします。」
一方、上司へのメールで単に「了解しました。失礼します。」と送ると、やや簡潔すぎる印象になる可能性があります。
メールでは、次のような表現が適しています。
「ご指示の件、承知いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。」
「了解しました」と「失礼します」は、同じ意味の言い換えではなく、役割の異なる言葉です。
【実践例文】上司・取引先への返信とビジネスチャットの正しい敬語
敬語の知識があっても、実際の返信で迷うことは少なくありません。
ここでは、相手との関係や連絡手段に合わせた具体的な例文を紹介します。
上司から仕事を頼まれた場合
上司から資料作成や業務の指示を受けた場合は、理解したことと対応予定を一緒に伝えると効果的です。
おすすめの返信例
「資料作成の件、承知しました。
ご指示いただいた内容を反映し、本日17時までに提出いたします。
完了しましたら、改めてご報告いたします。」
単に「承知しました」と返すよりも、提出期限まで明示することで、上司は仕事の進行を把握しやすくなります。
取引先から依頼を受けた場合
社外の相手には、相手への感謝と具体的な対応を添えると自然です。
「ご連絡いただき、ありがとうございます。
ご依頼いただいた仕様変更の件、承知いたしました。
社内で確認のうえ、〇月〇日までに改めてご回答いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。」
この例では、依頼を受け取ったことと、社内確認後に回答することを明確にしています。
上司から予定変更の連絡が届いた場合
予定変更への返信は、変更後の日時を具体的に記載すると認識違いを防げます。
「ご連絡ありがとうございます。
打ち合わせ日時を〇月〇日14時に変更する件、承知しました。
当日は変更後の時間に参加いたします。
よろしくお願いいたします。」
ビジネスチャットでの自然な返信
SlackやTeamsなどのチャットでは、メールほど長い文章にする必要はありません。
ただし、社外の相手が参加するチャンネルでは、丁寧さを保つことが大切です。
| 相手 | 自然な返信 |
|---|---|
| 同僚 | 了解しました。対応します! |
| 親しい先輩 | 承知しました。確認しておきます。 |
| 上司 | 承知しました。本日中に対応いたします。 |
| 取引先 | ご連絡ありがとうございます。承知いたしました。 |
| 顧客 | かしこまりました。手配を進めてまいります。 |
チャットでは短い返事が便利ですが、「了解です」「りょうかい!」などの略した表現は、相手や職場の雰囲気によってカジュアルに受け取られます。
返信が一言だけでも問題ないケース
「承知しました」だけの返信が、常に失礼というわけではありません。
例えば、上司から「会議室を変更しました」と連絡があり、追加の作業も確認事項もない場合は、短く返しても十分です。
一方、複数の依頼が含まれているメールや、納期が関係する業務では、次の3点を盛り込むとよいでしょう。
- 何を理解したのか
- どのように対応するのか
- いつまでに対応するのか
Indeedのキャリアガイドでも、2026年2月12日更新の記事で、メールの返信には理解した内容と次の行動を明確にすることが推奨されています。
【プロの結論】「了解しました」が失礼か迷ったときの判断基準
ここまでの内容を踏まえると、敬語選びで大切なのは、形式的に最も丁寧な言葉を使うことではありません。
相手が何を求めているのか、自分が何を受け取ったのか、どのような対応をするのかを正確に伝えることです。
判断基準1:相手との関係で選ぶ
- 上司・先輩:承知しました
- 役職の高い上司・重要な取引先:承知いたしました
- 顧客・接客相手:かしこまりました
- 同僚・後輩:了解しました
- 注文や伝言の受付:承りました
迷ったときは「承知しました」を選ぶと、幅広いビジネスシーンで対応できます。
判断基準2:理解しただけなのか、引き受けたのかを区別する
例えば、上司から「この資料を明日までに作成してほしい」と言われた場合、「承知しました」と返すだけでは、依頼を理解したことしか伝わりません。
本当に対応できるのであれば、
「承知しました。明日午前中までに作成いたします。」
と返すことで、引き受けたことまで伝わります。
もし対応できるか分からない場合は、
「ご依頼の件、承知しました。スケジュールを確認し、本日中に対応可否をご連絡いたします。」
とすれば、依頼を受け取ったことと、まだ確約していないことを区別できます。
判断基準3:丁寧すぎて不自然になっていないか
敬語は長くすればよいというものではありません。
親しい上司に対して毎回「かしこまりました」と返すと、かえって距離を感じさせることがあります。
また、同僚同士の短いチャットで過剰にかしこまった文章を使うと、業務連絡のテンポが悪くなる場合もあります。
文化庁の敬語の指針が重視しているのも、相互尊重と状況に応じた言葉選びです。
判断基準4:「了解いたしました」なら問題ないのか
「了解いたしました」は、「了解しました」に謙譲の要素を加えた表現です。
国立国語研究所も、この形では敬意の度合いが高まると説明しています。
そのため、文法上ただちに誤りとする必要はありません。
ただし、ビジネスの相手によっては「了解」という言葉自体にカジュアルな印象を持つ人もいます。
初対面の取引先や重要な顧客への返信なら、「承知いたしました」を使うほうが無難です。
【プロの結論】敬語の正解は「相手への配慮」と「具体的な返答」にある
ビジネスコミュニケーションでは、敬語の種類だけでなく、相手に安心感を与えられるかどうかが大切です。
「了解しました」は日本語として成立する丁寧な表現ですが、目上の相手には「承知しました」「承知いたしました」を選ぶほうが無難です。
そして「失礼します」は、退出や会話の終了などを伝える挨拶です。
この2つの役割を理解しておけば、上司への返信でも取引先へのメールでも、必要以上に言葉遣いに悩むことはなくなります。
【了解しました・失礼します】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「了解しました」は上司に使うと絶対に失礼ですか?
A1:絶対に失礼とはいえません。「了解しました」は丁寧語として成立しています。ただし、謙譲の働きがないため、相手によっては敬意が不足していると感じられます。上司には「承知しました」を使うと安心です。
Q2:「了解いたしました」なら取引先にも使えますか?
A2:文法的には謙譲の要素を加えた表現です。ただし、取引先への正式な返信では「承知いたしました」や「かしこまりました」のほうが一般的で無難です。
Q3:「了解しました」と「失礼します」は一緒に使えますか?
A3:使えます。例えば、電話で依頼を受けて会話を終える場合は「承知いたしました。それでは失礼いたします」とすると自然です。ただし、意味の異なる2つの表現なので、場面に応じて使い分けます。
Q4:「承知しました」と「かしこまりました」はどちらが丁寧ですか?
A4:「かしこまりました」のほうが、謹んで相手の依頼を受けるニュアンスが強い表現です。一般的な上司への返信なら「承知しました」、顧客や重要な取引先への対応なら「かしこまりました」が適しています。
Q5:ビジネスチャットで「了解です」と送るのは失礼ですか?
A5:同僚や親しいチームメンバーとの日常的な連絡なら自然です。ただし、上司や社外の人が参加するチャットでは「承知しました」「承知いたしました」のほうが無難です。
Q6:「失礼します」と「失礼いたします」はどう違いますか?
A6:基本的な意味は同じですが、「失礼いたします」のほうが改まった丁寧な表現です。取引先への訪問や正式な電話の終了時には「失礼いたします」が適しています。
Q7:上司へのメールで「了解しました」以外に何と書けばよいですか?
A7:「承知しました」「承知いたしました」「確認いたしました」などが使えます。依頼を受けた場合は「承知しました。本日中に対応いたします」のように、次の行動も添えると伝わりやすくなります。
まとめ:了解しましたと失礼しますを正しく使い分けよう
「了解しました失礼」という疑問に対する答えは、「了解しました」は必ずしも失礼ではないが、目上の相手には別の表現を選ぶほうが安心ということです。
最後に、覚えておきたいポイントを整理します。
- 「了解しました」は丁寧語であり、日本語として間違いではない。
- 上司や取引先には「承知しました」「承知いたしました」が無難。
- 顧客や重要な依頼には「かしこまりました」が適している。
- 「承りました」は注文や伝言などを受け付ける場面に向いている。
- 「失礼します」は退出・別れ・話しかける際などに使う挨拶。
- メールやチャットでは、理解した内容と次の行動を添えると親切。
2026年のビジネスシーンでも、言葉遣いは相手との信頼関係を築くための大切な要素です。
敬語を形式的に暗記するだけでなく、相手の立場や連絡の目的に合わせて使い分けることが、自然で失礼のないコミュニケーションにつながります。
迷ったときには「承知しました」を基本にし、必要に応じて「承知いたしました」「かしこまりました」と使い分けてみてください。