『千と千尋の神隠し』の舞台はどこなのか。台湾の九份、愛媛県の道後温泉、東京の江戸東京たてもの園など、映画の世界を思わせる場所はいくつも存在する。しかし、スタジオジブリが公式に説明している制作背景をたどると、特定の街や温泉旅館をそのままモデルにした作品ではないことが分かる。江戸東京たてもの園の子宝湯や道後温泉など、複数の建築や風景から着想を得た世界なのだ。
一方、2026年11月現在、もう一つ大きな注目を集めているのが東宝による舞台版『千と千尋の神隠し』だ。2026年12月の台北公演を皮切りに、2027年の日本国内ツアー、トロント、ロサンゼルス、2028年のロンドン公演へと続くワールドツアーが予定されている。明治座公演の千尋役には7人の俳優が決定した。映画のモデル地の真相から舞台版の最新日程、歴代キャストまで整理する。
【映画の舞台はどこ?】千と千尋の神隠しの世界を生んだ場所

『千と千尋の神隠し』は、2001年に公開された宮﨑駿監督の長編アニメーション映画だ。引っ越し先へ向かう途中、千尋が両親とともに不思議な世界へ迷い込み、神々が集う湯屋「油屋」で働きながら成長していく物語である。
作品に登場する不思議な町や油屋には、古い日本の建築、温泉文化、商店街、伝統的な意匠など、さまざまな要素が組み込まれている。そのため、実在する観光地と映画の風景が重なって見えることも少なくない。
公式資料が示すのは複数の着想源
重要な手掛かりとなるのが、スタジオジブリ公式サイトに掲載された2003年1月9日付の「ジブリ日誌」だ。映画公開後、湯屋のモデルについて問い合わせが相次いだことを受け、制作関係者が宮﨑監督に直接尋ねた際の回答を紹介している。
「色々な温泉が入っていて特定のモデルはないけれど、道後温泉は確かに入っている」
これは宮﨑監督の回答としてジブリ日誌に掲載された内容だ。つまり、映画の油屋は特定の温泉旅館を忠実に再現した建物ではなく、複数の温泉や建築の印象を組み合わせた創作物である。
同じ日誌では、商店街の一角にそびえる銭湯という映画の設定に大きなインスピレーションを与えた場所として、東京都小金井市の江戸東京たてもの園にある「子宝湯」を挙げている。
ただし、子宝湯の建物そのものは映画の油屋ほど巨大ではなく、建物のイメージにも違いがある。参考になったのは、建物の規模や外観をそのまま写したことではなく、昔ながらの銭湯が持つ空間や雰囲気だった。
物語の舞台と現実のモデル候補は別物
ここで整理しておきたいのは、「映画の物語が展開する場所」と「制作時に参考にされた現実の場所」は同じ意味ではないということだ。
千尋が迷い込む不思議な町は、現実の特定の自治体や観光地として設定されたものではない。江戸東京たてもの園や道後温泉などは、映画の世界を構成する視覚的な着想源として理解するのが適切だ。
この違いを押さえておくと、インターネットで紹介される「映画の舞台はここ」という情報を、より正確に読み取れるようになる。
【モデル地を徹底比較】江戸東京たてもの園・道後温泉・台湾九份の関係
映画の世界を実際に感じたい人にとって、候補地の比較は欠かせない。なかでも江戸東京たてもの園、愛媛県の道後温泉、台湾の九份は、作品との関係を整理するうえで重要な場所だ。
江戸東京たてもの園:公式資料に登場する子宝湯
江戸東京たてもの園は、東京都小金井市の都立小金井公園内にある野外博物館だ。歴史的な建造物を移築・復元し、建物の外観だけでなく、当時の暮らしや商業施設の雰囲気も体感できる。
注目したいのが、東ゾーンにある子宝湯である。昔ながらの銭湯建築を伝える施設で、スタジオジブリの日誌では、映画に登場する「商店街の一角にそびえ立つ銭湯」という設定にインスピレーションを与えた建物として紹介されている。
映画の油屋と子宝湯は大きさも外観も異なる。それでも、古い日本の銭湯が持つ独特の存在感や、建物の中に人々が集まる生活空間という点では、作品の世界につながる興味深い場所だ。
道後温泉:宮﨑監督が認めた着想源
愛媛県松山市にある道後温泉は、日本を代表する歴史ある温泉地の一つ。なかでも道後温泉本館は、重層的な木造建築と独特の外観で知られている。
スタジオジブリの日誌では、宮﨑監督が道後温泉を参考にしたことを認めたと紹介されている。加えて、絵コンテのカット番号733には「導後」という文字が描かれた大戸があり、道後温泉本館を示唆するものとして説明されている。
ただし、道後温泉本館が油屋の建物全体の唯一のモデルという意味ではない。複数の温泉の要素が作品に取り込まれているという説明が、公式資料の趣旨に合っている。
台湾・九份:似ているが公式モデルではない
台湾北部、新北市瑞芳区にある九份は、山の斜面に古い建物が密集する観光地だ。細い階段、赤い提灯、夜になると浮かび上がる茶屋の明かりなど、映画に登場する不思議な町を連想させる風景が広がっている。
そのため、日本の旅行メディアや観光関連の紹介記事などで「千と千尋の神隠しのモデル」として取り上げられることが多かった。
しかし、2023年9月19日に台湾メディアNOWnewsの取材内容を報じたRecord Chinaによると、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、自身も宮﨑監督も九份を訪れたことがないと説明し、モデル説を否定した。
九份の風景が映画に似ていることと、実際に制作の参考にされたことは別の問題だ。九份は映画の世界を思わせる旅行先ではあるが、公式に認められたモデル地ではない。
候補地と作品の関係を一覧で確認
| 場所・施設 | 作品との関係 | 確認できる位置付け |
|---|---|---|
| 江戸東京たてもの園・子宝湯 | 商店街にある銭湯の設定に着想を与えた | スタジオジブリ公式日誌で紹介 |
| 道後温泉 | 油屋のイメージに取り入れられた要素の一つ | 宮﨑監督の回答として公式日誌に掲載 |
| 台湾・九份 | 街並みが映画の風景に似ている | 公式モデルではなく、鈴木敏夫氏がモデル説を否定 |
| ジブリパーク | 映画の名場面を体験できる展示がある | 作品の世界を楽しむ公式施設。制作時のモデル地ではない |
| 舞台版『千と千尋の神隠し』 | 映画を原作とした舞台作品 | 東宝製作、ジョン・ケアード翻案・演出 |
【ジブリパークにも注目】千と千尋の神隠しの世界を体験できる場所
映画のモデル地とは別に、作品の世界を実際に体験したい人におすすめなのが愛知県長久手市のジブリパークだ。
ジブリパークの「ジブリの大倉庫」では、企画展示「ジブリのなりきり名場面展」が開催されており、『千と千尋の神隠し』の名場面を表現したコーナーも設けられている。
この展示は、映画の登場人物になったような気分で名場面の中に入り込める体験型の企画だ。2025年12月17日の展示リニューアル後も、『千と千尋の神隠し』のコーナーは継続されると公式発表されている。
なお、展示を体験するには、ジブリの大倉庫に入場できる対象チケットが必要となる。
ここで注意したいのは、ジブリパークは映画制作時のモデル地ではなく、作品の世界観を楽しむための施設だという点だ。江戸東京たてもの園や道後温泉とは目的が異なる。
建築や歴史的な雰囲気を味わいたいなら江戸東京たてもの園や道後温泉、映画の名場面を体験したいならジブリパークというように、目的によって訪問先を選ぶと満足度が高い。
【2026〜2028年最新】東宝の舞台『千と千尋の神隠し』公演日程と開催都市
映画の舞台モデルと並んで検索されているのが、東宝製作の舞台版『千と千尋の神隠し』だ。
2026年6月29日にワールドツアー開催が発表され、2026年12月から2028年にかけて、日本国内と海外の主要都市を巡る大規模な公演が予定されている。
2026年12月:台北・国家戯劇院からスタート
最初の公演地は台湾の台北。国家戯劇院で、2026年12月17日から2027年1月31日まで上演される予定だ。
台北公演は今回のワールドツアーの幕開けに当たる。九份が映画の公式モデルではないという話題と、舞台版が台湾で上演されるというニュースは、混同せずに理解したいところだ。
2027年:日本国内5都市を巡回
台北公演に続いて、2027年には東京を皮切りに日本国内の主要都市を巡る。東宝の公演スケジュールと関係者の公式発表で確認できる開催予定は次のとおりだ。
- 東京・明治座:2027年3月〜5月
- 愛知・御園座:2027年6月
- 大阪・梅田芸術劇場メインホール:2027年6月〜7月
- 福岡・博多座:2027年7月〜8月
- 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru:2027年8月
東京公演は、明治座で約3か月間にわたって行われるロングラン公演となる。明治座の歴史ある劇場空間と、舞台上に展開する巨大な油屋の組み合わせも見どころになりそうだ。
2027年〜2028年:北米とロンドンへ
国内公演と並行して、海外公演も大規模に展開する。
- カナダ・トロント:2027年5月6日〜8月15日、プリンセス・オブ・ウェールズ・シアター
- アメリカ・ロサンゼルス:2027年9月2日〜10月24日、アーマンソン・シアター
- イギリス・ロンドン:2028年3月〜7月、ロンドン・コロシアム
トロントとロサンゼルスは、それぞれ初上演となる都市だ。ロンドンでは2024年以来、約4年ぶりにウェストエンドでの長期公演が予定されている。
海外公演も、日本生まれのカンパニーが現地に赴き、日本語で上演する方式だ。映画の世界観を日本語の演劇表現で海外の観客に届ける取り組みとなる。
2026〜2028年の公演日程一覧
- 2026年12月17日〜2027年1月31日:台北・国家戯劇院
- 2027年3月〜5月:東京・明治座
- 2027年5月6日〜8月15日:トロント・プリンセス・オブ・ウェールズ・シアター
- 2027年6月:愛知・御園座
- 2027年6月〜7月:大阪・梅田芸術劇場メインホール
- 2027年7月〜8月:福岡・博多座
- 2027年8月:北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
- 2027年9月2日〜10月24日:ロサンゼルス・アーマンソン・シアター
- 2028年3月〜7月:ロンドン・ロンドン・コロシアム
なお、2026年11月6日時点で、東京・明治座の公演期間は2027年3月〜5月と公表されているが、全日程の具体的な開演日・時間やチケット販売情報は、今後の公式発表を待つ必要がある。海外の各会場についても、月単位の発表と日付まで確定した発表を区別して確認したい。
ワールドツアーが実現した背景
今回の海外展開は、突然決まったものではない。2022年3月に帝国劇場で世界初演を迎えた舞台版は、その後、日本国内での再演を重ね、2024年にはロンドン・ウェストエンドへ進出した。
東宝の公式公演紹介によると、2024年のロンドン公演は135公演を実施し、約30万人を動員。2025年の上海公演は42公演、2026年の韓国・ソウル公演は94公演を行い、いずれも全日程完売した。
加えて、東宝は2026年3月のソウル公演千秋楽までに、国内外の累計上演回数が491回、観客動員数が90万人を突破したと発表している。台北公演の期間中には通算500回、累計観客動員100万人の突破が見込まれている。
日本のアニメーション作品を原作とした舞台が、海外でこれほど長期にわたって上演されることは、国内の演劇作品が国際市場に進出するうえでも大きな意味を持つ。
【映画と舞台版の違い】ジョン・ケアード演出が生み出した舞台表現
舞台版『千と千尋の神隠し』は、映画の映像をそのまま劇場で再生する作品ではない。アニメーションで描かれた世界を、俳優の身体、舞台装置、パペット、音楽によって立体的に表現する演劇作品だ。
翻案・演出を担当したジョン・ケアード
舞台化を手掛けたのは、英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアードだ。
『レ・ミゼラブル』の世界初演で潤色・演出を担当した人物としても知られ、『ナイツ・テイル』『ダディ・ロング・レッグズ』などにも携わってきた。
東宝の公式紹介によると、ケアードはもともと『千と千尋の神隠し』の大ファンだった。2017年の来日時にスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと対話し、宮﨑駿監督とも面会して舞台化の許可を得たという。
舞台化に際しては、宮﨑駿の原作をもとにケアードが翻案・演出を担当し、今井麻緒子が共同翻案を担っている。オリジナルスコアは久石譲が手掛けた。
パペットと俳優の身体で表現する不思議な世界
舞台版の大きな特徴は、パペットを使ったキャラクター表現にある。
映画ではアニメーションとして描かれる釜爺、カオナシ、頭(かしら)、ススワタリなどが、舞台ではパペットや衣裳、操演者の技術によって目の前に現れる。
2022年の初演時に実施されたゲネプロ取材で、ぴあは、パペットの操り手が隠れずに舞台上に存在する演出や、360度回転する舞台装置、ダンスを取り入れた場面などを紹介した。
特に興味深いのは、操演者の存在をあえて隠さない表現だ。観客は人間が動かしていることを認識しながら、次第にパペットの動きそのものに引き込まれていく。
映像のように自由なカメラワークや場面転換を使えない舞台だからこそ、観客の想像力と俳優・スタッフの身体的な表現力が作品の世界を成立させる。
映画と舞台版の主な違い
- 表現方法:映画はアニメーション、舞台版は俳優・パペット・舞台装置による生の表現。
- キャラクター:映画の印象的なキャラクターを、衣裳やパペット、操演によって立体化する。
- 場面転換:舞台装置の回転や俳優の動きによって、観客の目の前で物語の空間を切り替える。
- 音楽:久石譲のオリジナルスコアをもとに、舞台ならではの音楽表現を加える。
- 鑑賞体験:映画は映像を通じた没入感、舞台は俳優や演奏、操演を同じ空間で感じる臨場感が魅力。
物語の基本的な骨格やキャラクターへの敬意を保ちながら、舞台という媒体に合わせて表現を組み替える。これがジョン・ケアードによる翻案の大きな特徴だ。
【千尋役の歴代キャスト】2026〜2028年は7人体制に
舞台版のもう一つの注目ポイントが、主人公・千尋を演じる俳優たちだ。映画では一人のキャラクターとして描かれる千尋を、舞台では複数の俳優がそれぞれの解釈で演じている。
2022年の初演を支えた橋本環奈・上白石萌音
2022年の世界初演では、橋本環奈と上白石萌音が千尋役を務めた。二人は異なる個性を持つ千尋を演じ、作品の立ち上げを支えた中心的な存在だ。
初演は東京・帝国劇場から始まり、大阪、福岡、札幌、愛知へと展開。舞台関係者一同が第47回菊田一夫演劇大賞を受賞し、上白石萌音は第30回読売演劇大賞の最優秀女優賞に輝いた。
2024年に川栄李奈・福地桃子が参加
2024年の帝国劇場再演では、橋本環奈と上白石萌音に加え、川栄李奈と福地桃子が千尋役に加わった。
新たなキャストはオーディションを経て選ばれ、それぞれ異なるアプローチで千尋を表現した。4人の千尋が作品に参加することで、舞台版のキャスティングにも広がりが生まれた。
また、森莉那はロンドン、上海、ソウル公演でアンダースタディやスウィングとして作品に参加。千尋役を間近で支えながら経験を重ね、今回のワールドツアーでは正式に千尋役の一人として名前が発表された。
2026〜2028年の千尋役は7人
2026年10月15日、東宝と出演者の所属事務所などから、新たなワールドツアーの千尋役キャスト7人が発表された。
- 橋本環奈:2022年の初演から千尋を演じる主要キャスト。
- 上白石萌音:初演から出演。舞台版の千尋を支えてきた中心的存在。
- 福地桃子:2024年から千尋役に参加。
- 森莉那:ロンドン・上海・ソウル公演でアンダースタディなどを経験し、今回千尋役に抜擢。
- 井上和(乃木坂46):ジョン・ケアードのオーディションを経て新たに参加。
- 豊嶋花:今回の舞台が人生初の舞台出演となる新キャスト。
- 平澤宏々路:新たに千尋役として参加する俳優。
今回の発表で特に注目されるのが、新たに加わる井上和、豊嶋花、平澤宏々路の3人だ。
井上和は乃木坂46のメンバーとして活動してきたが、今回の作品では舞台オーディションを経て千尋役に決定した。本人の公式コメントによると、オーディションではジョン・ケアードから演技指導を受け、身体を使った表現について学んだという。
豊嶋花は、今回が人生初の舞台出演。映画の世界観に強い思い入れがあり、舞台版を鑑賞した際には、巨大なセットやパペットの表現に魅力を感じたとコメントしている。
平澤宏々路も、映像作品で培ってきた経験を生かしながら、舞台ならではの大きな空間で千尋を演じることになる。
なお、東宝の公式キャストページでは、7人全員が2027年の明治座公演に出演すると案内されている。一方、ほかのツアー会場については出演者を決定次第発表するとされており、全都市で7人全員が出演するという意味ではない。
【千と千尋舞台】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:千と千尋の神隠しの公式な舞台モデルはどこですか?
A1:特定の一か所ではありません。スタジオジブリ公式の日誌では、江戸東京たてもの園の子宝湯が商店街にある銭湯の設定にインスピレーションを与えたこと、道後温泉も作品に取り入れられたことが紹介されています。
Q2:台湾の九份は千と千尋の神隠しのモデルですか?
A2:公式モデルではありません。2023年には鈴木敏夫プロデューサーが台湾メディアの取材で、宮﨑駿監督も自身も九份を訪れたことがないと説明し、モデル説を否定しています。街並みが似ていることから広まった説です。
Q3:道後温泉本館は油屋のモデルですか?
A3:道後温泉は宮﨑監督が参考にしたと認めた要素の一つです。ただし、油屋全体を道後温泉本館だけで再現したわけではなく、複数の温泉や建築の要素が組み合わされています。
Q4:舞台『千と千尋の神隠し』は2026年にどこで上演されますか?
A4:2026年12月17日から2027年1月31日まで、台湾・台北の国家戯劇院で上演予定です。これが2026〜2028年ワールドツアーの最初の公演となります。
Q5:2027年の明治座公演はいつですか?
A5:2027年3月〜5月の予定です。橋本環奈、上白石萌音、福地桃子、森莉那、井上和、豊嶋花、平澤宏々路の7人が千尋役として出演します。具体的な公演日程やチケット情報は、明治座・東宝の公式発表を確認してください。
Q6:舞台版は映画と同じ内容ですか?
A6:映画を原作として物語やキャラクターへの敬意を保ちながら、舞台用に翻案された作品です。パペット、回転する舞台装置、俳優の身体表現などを活用し、アニメーションとは異なる方法で不思議な世界を再現しています。
まとめ:映画のモデル地と舞台版の最新情報を正しく楽しむ
『千と千尋の神隠し』の舞台は、実在する一つの街や温泉旅館ではない。スタジオジブリの公式資料が示しているのは、江戸東京たてもの園の子宝湯や道後温泉など、複数の建物や風景を取り入れて構築された独創的な世界だ。
台湾の九份は、赤い提灯や坂道、古い街並みが映画の雰囲気を思わせるものの、公式モデルではない。九份を訪れるなら、映画のロケ地巡りとしてではなく、台湾独自の歴史や景観を楽しむ観光地として捉えるのが適切だ。
一方、東宝の舞台版は2026年12月の台北公演から2028年のロンドン公演まで続く大規模なワールドツアーを迎える。2027年の明治座公演では7人の千尋役が決まり、国内外で作品の新たな展開が期待されている。
【プロの結論】
この作品をより深く楽しむためには、「映画の着想源」「実際の観光地」「舞台化された作品」の3つを分けて考えることが大切だ。
歴史的建築から映画の世界を感じたいなら江戸東京たてもの園、温泉文化とのつながりを知りたいなら道後温泉、幻想的な街並みを楽しみたいなら九份、作品の名場面を体験したいならジブリパークが候補になる。
そして、俳優の身体表現やパペットによって生まれる新しい千尋の姿を見たいなら、2026〜2028年の舞台公演にも注目したい。映画から生まれた物語が、現実の建築、観光文化、そして国境を越える演劇へと広がっていることこそ、『千と千尋の神隠し』が持つ大きな魅力だ。