角田裕毅の2026年を理解するには、レギュラーシートを失ったという事実だけでなく、レッドブル陣営に残っていることにも注目する必要があります。
なぜレッドブルのレギュラーシートを失ったのか
角田は2025年シーズン途中、日本GPからリアム・ローソンに代わってレッドブルのレギュラードライバーになりました。
しかし、チームメートのマックス・フェルスタッペンに対して苦戦。F1公式がまとめた2025年のチームメート比較では、予選の直接対決が0勝22敗、決勝の直接対決が1勝21敗でした。年間獲得ポイントも33ポイントにとどまっています。
その結果、2026年はアイザック・ハジャーがフェルスタッペンのチームメートに選ばれ、角田はテスト&リザーブドライバーに配置されました。
テスト&リザーブドライバーは何をする?
リザーブドライバーは、レギュラードライバーが病気や負傷などで出場できなくなった際に代役を務める立場です。
一方、テストドライバーとしては、シミュレーターでの走行やマシン開発に関する作業などを担当します。
角田の場合、レッドブル本隊だけでなくレーシングブルズの開発にも関わる立場です。
主な役割は次のとおりです。
- シミュレーターでのマシン開発とセットアップ検証
- チームへの走行データや技術的フィードバックの提供
- レギュラードライバーが出走できない場合の代役準備
- チームとの関係を維持しながら自身の競技力を磨くこと
2026年に3戦の代役出走を実現したことは、リザーブという立場が単なる待機ではないことを示しています。
2027年以降のF1復帰は可能なのか
復帰の可能性は残っています。ただし、レッドブル陣営のレギュラーシートが空くことだけを期待するのは現実的ではありません。
考えられる道筋は3つです。
1. レッドブル陣営への再昇格
フェルスタッペンやハジャーの状況、チームの戦略変更などによってシートが空けば、角田は有力な候補になり得ます。すでにF1で5シーズン以上を経験し、チームのマシンや運営を理解していることは強みです。
2. 他チームへの移籍
レギュラーシートを獲得するには、他チームとの交渉も選択肢になります。過去のF1実績だけでなく、直近のレースで示した速さや安定感、技術的な貢献が評価材料になります。
3. リザーブとして実績を積み直す
2026年の3戦ではイタリアGPでポイントを獲得しました。代役という限られた機会でも結果を残すことは、将来の契約交渉における材料になります。
重要なのは、リザーブの肩書そのものではなく、実戦でどれだけ競争力を証明できるかです。
【日本人F1ドライバーがレギュラーになれない理由】3つの構造的な壁

日本人ドライバーがF1でレギュラーシートを獲得しにくい背景には、個人の能力だけでは説明できない事情があります。
1. F1のレギュラーシートは22席しかない
2026年のF1は11チーム、22人のレギュラードライバーで構成されています。
世界中から集まる才能あるドライバーが限られた席を争うため、F2やF3で優れた成績を残しても、すぐにF1へ昇格できるとは限りません。
チーム側は次の要素を総合的に評価します。
- 下位カテゴリーでの成績
- FIAスーパーライセンスの取得条件
- F1マシンへの適応力
- シミュレーターやフリー走行での評価
- チームの開発方針との適合性
- スポンサーやメーカーとの関係
日本人であること自体が不利というより、世界規模の競争のなかで、限られたチャンスを獲得し続けなければならない構造があります。
2. メーカーの支援とレギュラーシートは別問題
日本メーカーのF1活動は、日本人ドライバーの育成に大きく関わっています。
2026年はホンダがアストンマーティンにパワーユニットを供給するワークスパートナーとしてF1に復帰しました。一方、トヨタはハースとの提携を強化し、2026年からTGRハースとして活動しています。
この2つの動きは、日本のモータースポーツにとって大きな変化です。
ただし、メーカーがF1に参画すれば自動的に日本人ドライバーのレギュラーシートが生まれるわけではありません。
アストンマーティンにはフェルナンド・アロンソとランス・ストロールがおり、トヨタと提携するハースも独自のドライバー選考を行っています。
メーカーの支援は入口を広げますが、最後に必要なのはチームが起用したいと思う競争力です。
3. 海外育成カテゴリーで継続的に結果を出す必要がある
F1への代表的なステップアップルートは、F4、F3、F2を経由する方法です。
日本国内のスーパーフォーミュラも高い競技レベルを持ち、実力を証明できるカテゴリーですが、F1チームの目に留まるためには海外での実績やテスト機会も重要になります。
角田はFIA F2での好成績を経てF1に到達しました。岩佐歩夢もF2とスーパーフォーミュラで実績を積み、レッドブルの育成プログラムに残っています。
つまり、日本人ドライバーがF1に戻るためには、国内カテゴリーで勝つだけでなく、F1チームが直接評価できる機会を増やす必要があります。
【プロの結論】岩佐歩夢と平川亮が次の日本人F1レギュラー候補になる?
2026年の日本人F1ドライバーを語るうえで、角田裕毅に続く存在として注目したいのが岩佐歩夢です。
岩佐歩夢:スーパーフォーミュラ王者からF1へ
岩佐歩夢は2001年生まれの日本人ドライバーです。
2020年にフランスF4でチャンピオンを獲得し、2021年にはレッドブル・ジュニアチームに加入。その後、FIA F3、FIA F2へとステップアップしました。
主な実績は以下のとおりです。
- 2020年:フランスF4チャンピオン
- 2021年:FIA F3ランキング12位
- 2022年:FIA F2ランキング5位
- 2023年:FIA F2ランキング4位
- 2024年:スーパーフォーミュラ参戦、ランキング5位
- 2025年:スーパーフォーミュラチャンピオン
- 2026年:レーシングブルズのリザーブドライバー
ホンダの公式プロフィールでも、岩佐の育成経歴とカテゴリー別成績が紹介されています。
2026年はレーシングブルズのリザーブドライバーとして、角田と同じレッドブル系の環境にいます。若手ドライバーテストやプライベートテストの経験もあり、F1マシンへの理解を深める機会を得ています。
岩佐の強みは、国内外のフォーミュラカテゴリーで結果を残していることです。
特にスーパーフォーミュラのタイトルは大きな実績です。今後、F1のフリー走行やテストで存在感を示し、チーム内での評価を高められるかがポイントになります。
ただし、2026年11月時点でグランプリ決勝への出走経験はなく、レギュラー昇格も決まっていません。
平川亮:トヨタとの関係を生かしてF1デビュー
平川亮は、岩佐とは異なるキャリアを歩んできたドライバーです。
トヨタ系のドライバーとして耐久レースで活躍し、ル・マン24時間レースや世界耐久選手権で実績を積んできました。
2026年はTGRハースのリザーブドライバーとしてF1に関わり、10月のメキシコGPでついに決勝デビューを果たしました。
F1公式プロフィールでは、平川は世界耐久選手権の2度のタイトル獲得や、2022年のル・マン24時間レース優勝などを持つドライバーとして紹介されています。
加えて、トヨタとハースの提携は、ドライバー育成だけでなくエンジニアやメカニックの人材育成も目的としています。
2025年には平川亮、宮田莉朋、坪井翔、小林可夢偉ら日本人ドライバーがハースの旧型車テストプログラムに参加しました。
平川のF1デビューは、こうした継続的な関係が実際のレース出走につながった例です。
3人のF1復帰・昇格可能性を判断するポイント
| ドライバー | 現在の強み | 次の課題 |
|---|---|---|
| 角田裕毅 | F1決勝114戦の経験、レッドブルとの関係 | 継続的な実戦機会と競争力の証明 |
| 岩佐歩夢 | F2での実績、SF王者、レッドブル育成 | F1テストでの評価とレースシート獲得 |
| 平川亮 | WEC王者、ル・マン優勝、F1デビュー経験 | F1での継続的な出走機会 |
次の日本人レギュラードライバーを予測する際は、次の4点を確認すると状況を判断しやすくなります。
1. F1チームとの契約関係:リザーブ、育成、テストなど、どの立場でチームに所属しているか。
2. 実戦での成績:F1のフリー走行や代役レースで、チームメートに匹敵する速さを示せるか。
3. 育成カテゴリーの結果:F2やスーパーフォーミュラで継続的に上位を争っているか。
4. レギュラーシートの空き:チームの契約更新やドライバー交代によって、実際に起用の機会が生まれるか。
この基準で考えると、角田は復帰に向けた実績を持つ経験者、岩佐は将来性のある育成候補、平川は実戦経験を新たに得たリザーブという位置づけです。
日本人ドライバーのF1復帰を考えるうえで、3人を単純に順位づけするより、それぞれのキャリアの違いを見ることが大切です。
【日本人F1レーサー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、F1に参戦している日本人ドライバーは誰ですか?
2026年は角田裕毅がレッドブルとレーシングブルズのテスト&リザーブドライバーを務めています。角田は3戦に代役出走しました。また、平川亮もハースの代役としてメキシコGPに出場し、1ポイントを獲得しました。フルタイムの日本人レギュラードライバーはいません。
Q2:日本人F1レーサーで最高成績を残したのは誰ですか?
最高順位は3位で、鈴木亜久里(1990年日本GP)、佐藤琢磨(2004年アメリカGP)、小林可夢偉(2012年日本GP)の3人が達成しています。日本人ドライバーによるF1優勝はまだありません。
Q3:岩佐歩夢がF1のレギュラードライバーになる可能性はありますか?
可能性はあります。岩佐はフランスF4王者、F2ランキング4位、2025年スーパーフォーミュラ王者という実績を持ち、2026年はレーシングブルズのリザーブドライバーです。ただし、正式なレギュラー昇格は発表されておらず、今後のテスト評価やチームのシート状況が鍵になります。
まとめ:日本人F1レーサーの歴史と2027年以降の展望
日本人F1レーサーの歴史は、1970年代のスポット参戦から始まり、中嶋悟のフル参戦、鈴木亜久里の初表彰台、佐藤琢磨と小林可夢偉の活躍へと続いてきました。
2026年は角田裕毅がレッドブルのテスト&リザーブドライバーとなり、レギュラーシートを失った一方、3戦の代役出走を経験しました。さらに平川亮がメキシコGPでF1デビューを果たし、初戦で1ポイントを獲得しています。
岩佐歩夢もスーパーフォーミュラ王者としてレーシングブルズのリザーブを務めており、次世代の候補として存在感を高めています。
今後の注目点は、次の3つです。
- 角田裕毅:2026年の代役実績を生かし、再びレギュラーシートを獲得できるか。
- 平川亮:メキシコGPでのデビューを足掛かりに、追加のF1出走機会を得られるか。
- 岩佐歩夢:スーパーフォーミュラでの実績をF1のレギュラーシートにつなげられるか。
日本メーカーのF1活動がホンダとアストンマーティン、トヨタとハースという形で再び広がる2026年。日本人ドライバーを取り巻く環境には、新たな可能性が生まれています。
日本人F1ドライバーの次の目標は、単発の代役出走や表彰台だけではありません。世界最高峰の舞台でレギュラーシートを獲得し、年間を通じて優勝争いに加わることです。 その実現に向けた挑戦は、角田、平川、岩佐の3人によって、それぞれ異なる形で続いています。