山本龍選手のキャリアで大きな転換点となったのが、イタリアのプリズマ・ターラントからの退団です。
2025-26シーズンに向けて加入した同クラブでしたが、シーズン途中の2026年1月2日、クラブが山本選手との契約解除を発表しました。
退団は双方合意による契約解除
イタリアのターラントは、山本選手とフランス人オポジットのイブラヒム・ラワニ選手について、それぞれ双方合意による契約解除を発表しました。
当時のターラントはセリエA2で苦戦しており、レギュラーシーズン12試合終了時点で4勝8敗の12位。前年のセリエA1最下位から降格し、1年での昇格を目指していたチームにとって厳しい状況でした。
ただし、クラブは契約解除の具体的な理由を公表していません。チーム成績と退団を直接結び付けることはできず、双方合意による契約終了というのが公表された事実です。
2026年2月、本人も退団を報告
2026年2月12日には、山本選手自身もInstagramを通じてターラント退団を改めて報告しました。
バレーボールマガジンによると、本人は「来シーズンまた頑張ります」と今後への意欲を示し、旅行でリフレッシュした近況も伝えています。
この報告から読み取れるのは、退団後も競技生活を続ける意思を持っていたことです。実際、その後に韓国の仁川大韓航空ジャンボスへの移籍が発表され、次のシーズンに向けた新しい所属先が決まりました。
つまり、ターラント退団は選手生活の終了を意味するものではありません。欧州での挑戦をいったん終え、韓国という新しい競技環境に移るための転換点になりました。
【プレースタイル分析】山本龍はどんなセッター?韓国で求められる役割

山本選手の最大の特徴は、185cmの身長を生かしたプレーと、異なるバレーボール文化を経験してきたことです。
セッターは、レシーブされたボールを攻撃につなげる司令塔です。スパイカーの能力を引き出すトスの精度はもちろん、相手ブロックの位置を読み、攻撃のテンポを変える判断力も求められます。
欧州と韓国・日本では攻撃のテンポが違う
2026年10月4日付の韓国メディア「朝鮮ビズ」のインタビューで、山本選手は欧州と韓国・日本のバレーボールの違いについて説明しています。
本人の分析によれば、欧州では比較的ゆっくりしたテンポで、高めのトスを使って攻撃を組み立てる傾向があります。一方、韓国と日本ではレシーブ後に素早く攻撃へ移り、最初の攻撃で決まらなくても、ブロックに当たったボールを拾って再攻撃につなげる展開が特徴です。
こうした違いを実際に経験してきたことは、山本選手の強みです。欧州で身につけたプレーの幅を、韓国の速い攻撃テンポにどう適応させるかが見どころになります。
武器はパイプ攻撃とサーブ
同インタビューでは、山本選手自身がパイプ攻撃とサーブを自分の武器として挙げています。
パイプ攻撃とは、後衛の選手がバックアタックを仕掛ける攻撃です。中央付近から攻撃に参加することで、相手ブロックに攻撃の選択肢を絞らせにくくします。
セッターがこうした攻撃を積極的に使えば、相手ブロックは前衛のスパイカーだけに集中できなくなります。攻撃の選択肢を増やすという意味でも、パイプ攻撃を生かせるセッターはチームにとって貴重です。
また、サーブも本人が自信を持つプレーの一つ。サーブで相手の攻撃を限定できれば、ブロックや守備の配置を整えやすくなります。トスだけにとどまらない総合的な貢献が期待されます。
韓国ではベテラン・ハン・ソンスとの競争が焦点
韓国移籍後の大きなテーマは、ベテランセッターのハン・ソンス選手とのポジション争いです。
2026年10月4日の朝鮮ビズのインタビューで、山本選手はハン選手について、ミドルブロッカーとの連係や素早いトスの供給に優れた選手だと評価しています。また、試合が苦しい状況になったときの立て直し方など、技術以外の面でも学びたいという姿勢を示しました。
一方、ヘナン・ダル・ゾット監督も、山本選手について欧州の高いレベルのリーグを経験してきた選手であり、ハン選手を支える優れたバックアップになると評価しています。
ここで重要なのは、山本選手が加入直後から絶対的な正セッターとして扱われているわけではない点です。ベテランを支える役割を担いながら、試合展開や選手のコンディションに応じて先発を任される可能性もあります。
実際、10月20日のKOVOカップでは先発に起用されました。チームに複数のセッターがいる状況で、山本選手がどれだけ信頼を積み重ねられるかが、今後の出場機会を左右します。
【日本代表歴】パリ五輪予選にも出場した山本龍の実績
山本龍選手は海外クラブでプレーするだけでなく、男子バレーボール日本代表にも選出された経験があります。
日本代表への初選出は2023年。日本バレーボール協会の2025年度選手プロフィールにも、初選出年は2023年と記載されています。
代表ではセッターとして登録され、パリオリンピック予選やアジア選手権などの国際大会に出場しました。海外クラブでの経験と並行して、国際舞台でも実績を積んできた選手です。
2025年度は日本代表に追加登録
2025年5月9日、日本バレーボール協会は男子日本代表チームへの山本選手の追加登録を発表しました。
当時のプロフィールでは、所属はイタリアのジョイエッラ・プリズマ・ターラント、身長185cm、ポジションはセッターと記載されています。
この発表は、ターラントへの移籍発表から間もない時期に行われたものです。海外クラブでの活動を続けながら、日本代表の候補選手としても評価されていたことが分かります。
2026年度の日本代表登録メンバーには入っている?
ここは混同しやすいポイントです。
日本バレーボール協会が2026年4月17日に発表した2026年度男子日本代表の登録メンバーには、山本龍選手の名前は掲載されていません。
同年度のセッターには、深津英臣選手、関田誠大選手、河東祐大選手、永露元稀選手、下川諒選手らが登録されています。
したがって、山本選手は日本代表選出歴のある選手ですが、2026年度の男子日本代表登録メンバーとは区別する必要があります。過去の代表実績と現在の代表登録状況は同じではありません。
韓国リーグでの活躍が今後の代表復帰につながるかどうかも、日本のバレーボールファンにとって注目したいポイントです。
【プロの結論】山本龍の韓国移籍で注目すべき3つのポイント
山本選手のキャリアを評価する際には、所属クラブの知名度だけでなく、実際にどのような役割を任されているかを見る必要があります。
2026年の韓国移籍には、これまでの海外経験を次の段階につなげる意味があります。特に注目したいのは次の3点です。
1. 正セッターとしての出場機会を増やせるか
現在のチームにはハン・ソンス選手という実績あるセッターがいます。山本選手にとっては、単にベンチ入りするだけでなく、重要な試合で先発を任される機会を増やすことが課題です。
10月20日のKOVOカップで先発した実績は好材料です。今後、レギュラーシーズンでも継続して起用されるかが評価の基準になります。
2. 日本と韓国の速い攻撃に適応できるか
韓国リーグでは、レシーブから素早く攻撃へ移る展開が重要になります。山本選手が日本で培った攻撃の組み立てに、欧州で経験したプレースタイルを融合できれば、チーム内での存在価値を高められます。
特にミドルブロッカーとのコンビネーションや、パイプ攻撃を使った攻撃の多様化に注目です。
3. 韓国での実績を日本代表復帰につなげられるか
山本選手には2023年以降の日本代表経験があります。一方、2026年度の登録メンバーには含まれていません。
今後の代表復帰を考えるなら、韓国Vリーグでの出場数、チームへの貢献、重要な試合でのパフォーマンスなどが判断材料になるでしょう。
海外リーグで経験を積むこと自体が代表復帰を保証するわけではありませんが、強豪クラブで継続的に結果を残すことは、選手としての評価を高める機会になります。
【山本龍の現在と経歴】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:山本龍選手は2026年現在どこのチームに所属していますか?
A1:2026-27シーズンから韓国Vリーグの仁川大韓航空ジャンボスに所属しています。外国籍アジア枠で加入し、2026年10月のKOVOカップでも先発出場を経験しています。
Q2:山本龍選手の身長と出身校は?
A2:身長は185cmです。出身地は滋賀県で、洛南高校から東海大学へ進学しました。
Q3:山本龍選手は日本代表に選ばれたことがありますか?
A3:あります。2023年に初選出され、パリオリンピック予選やアジア選手権などに出場しました。2025年度にも追加登録されています。ただし、2026年度の男子日本代表登録メンバーには含まれていません。
Q4:プリズマ・ターラントを退団した理由は何ですか?
A4:2026年1月2日に双方合意による契約解除が発表されました。クラブは具体的な退団理由を公表していません。その後、本人も2月12日に退団を報告し、翌シーズンに向けて活動を続ける意向を示しました。
Q5:山本龍選手はサントリーサンバーズに所属していたことがありますか?
A5:あります。2022年に加入が内定し、2022-23シーズンにプレーしました。第71回黒鷲旗でチームの準優勝に貢献し、若鷲賞を受賞。2023年6月30日に退団が発表されました。
まとめ:山本龍は韓国で新たなキャリアを切り開くセッター
山本龍選手は、洛南高校、東海大学を経てサントリーサンバーズでプロとしての経験を積み、ルーマニア、ギリシャ、イタリアと海外リーグに挑戦してきたセッターです。
2026年はプリズマ・ターラントを退団した後、韓国Vリーグの仁川大韓航空ジャンボスに加入。10月のKOVOカップでは先発出場も果たし、韓国での新しい挑戦をスタートさせています。
今後の最大の注目点は、ベテランのハン・ソンス選手との競争を通じて、どれだけ試合出場の機会を増やせるかです。185cmの体格、サーブやパイプ攻撃、欧州で培った経験を韓国の速いバレーボールにどう生かすかが鍵になります。
山本龍選手の2026年は、単なる海外移籍ではなく、セッターとして新しい役割と可能性を切り開くシーズンです。韓国Vリーグでの活躍が、今後のクラブキャリアや日本代表復帰にどのようにつながるのか、引き続き注目したい選手です。
主な参考資料
- 日本バレーボール協会:2025年度男子日本代表追加登録、2026年度男子日本代表登録メンバー
- 日本オリンピック委員会:山本龍選手プロフィール
- サントリーサンバーズ大阪:2023年6月30日付退団発表
- バレーボールキング:ターラント契約解除、韓国移籍に関する報道
- バレーボールマガジン:2026年2月の退団報告
- 朝鮮ビズ:2026年10月4日付インタビュー
- STARNEWS:2026年10月20日付KOVOカップ試合報道
情報基準日:2026年11月6日