2026年のセレクトセールで、もう一つ見逃せないのが種牡馬別の成績だ。
特に注目されたのは、イクイノックスとキタサンブラック。両馬の産駒は1歳馬、当歳馬の双方で高い評価を受け、合計落札額でも他の種牡馬を大きく引き離した。
1歳馬・当歳馬を合算した種牡馬別ランキング
日本競走馬協会が公表した各セッションの種牡馬別取引成績を合算すると、上位は次のようになる。
| 順位 | 種牡馬 | 落札総額 | 落札頭数 |
|---|---|---|---|
| 1位 | キタサンブラック | 46億7800万円 | 32頭 |
| 2位 | イクイノックス | 41億6700万円 | 28頭 |
| 3位 | キズナ | 24億600万円 | 23頭 |
| 4位 | エピファネイア | 21億2400万円 | 25頭 |
| 5位 | エフフォーリア | 18億8900万円 | 15頭 |
集計方法:1歳馬と当歳馬の種牡馬別落札総額・落札頭数を合算。金額は消費税別。
1位のキタサンブラックは、両セッション合計で46億7800万円。イクイノックスとの差は5億1100万円だった。
ただし、平均価格では順位が逆転する。
イクイノックス産駒:平均価格でトップクラス
イクイノックス産駒は、1歳馬で13頭、当歳馬で15頭が落札された。
- 1歳馬の落札総額:19億8400万円
- 当歳馬の落札総額:21億8300万円
- 合計落札総額:41億6700万円
- 合計落札頭数:28頭
- 合計平均価格:約1億4882万円
平均価格は約1億4882万円。キタサンブラックを上回り、今回の主要種牡馬の中でも際立つ成績となった。
特にヤングスターの2025が4億2000万円で落札されたことは、イクイノックスの血統価値に対する市場の期待を象徴している。
現役時代の実績に加え、種牡馬としての将来性に対する評価が高額取引につながったと考えられる。
キタサンブラック産駒:落札総額で堂々の1位
キタサンブラックは、落札総額でトップに立った。
- 1歳馬の落札総額:22億4800万円
- 当歳馬の落札総額:24億3000万円
- 合計落札総額:46億7800万円
- 合計落札頭数:32頭
- 合計平均価格:約1億4619万円
1歳馬では14頭すべてが落札され、落札率100%を記録。当歳馬でも20頭中18頭が落札された。
ヤンキーローズの2026が4億1000万円を記録したほか、1歳馬のスキアの2025も3億3000万円で取引されている。
注目すべきなのは、最高額だけでなく、複数の産駒が高い価格で取引されていることだ。
エフフォーリア産駒にも注目
今回、存在感を高めたのがエフフォーリア産駒だった。
1歳馬ではレディフォグホーンの2025が3億9000万円、プティフォリーの2025が3億3000万円で落札された。
当歳馬も含めた合計落札総額は18億8900万円。落札頭数15頭に対して平均価格は約1億2593万円となった。
キタサンブラックやイクイノックスに比べて落札頭数は少ないものの、平均価格の高さが目立つ。
この結果は、現役時代の競走成績だけでなく、初年度産駒の評価や購買者の将来期待が市場価格に反映されることを示している。
【歴代売上比較】2026年は過去最高を更新!2024年・2025年との違い

セレクトセール2026の334億8400万円という数字は、単年の好成績にとどまらない。
過去の実績と比較すると、国内の競走馬市場が長期的に拡大してきたことが分かる。
歴代の落札総額を比較
| 開催年 | 2日間の落札総額 | 前年比・特徴 |
|---|---|---|
| 1998年 | 50億円弱 | 第1回開催 |
| 2024年 | 289億1800万円 | 当時の記録を更新 |
| 2025年 | 327億円 | 前年比13.1%増 |
| 2026年 | 334億8400万円 | 前年比2.4%増、過去最高 |
出典:日本競走馬協会のセレクトセール沿革・開催記録。1998年は「50億円に迫る」とする公式説明に基づく概数。
2026年は2025年の327億円を7億8400万円上回った。
2025年の伸び率13.1%と比較すると、2026年の成長率は2.4%に落ち着いている。
しかし、これは市場の失速を意味しない。
2025年は1歳馬・当歳馬の双方で過去最高の落札総額を記録した年だった。すでに大きな市場規模に達していたところから、2026年はさらに記録を更新したことになる。
2026年は1億円以上の落札馬が84頭
もう一つ重要なのが、高額落札馬の頭数だ。
日本競走馬協会の発表によると、2026年に1億円以上で落札された馬は合計84頭。
2025年は86頭だったため、頭数だけを比較すると2頭減少している。
一方、2026年は2日間の総額が過去最高となり、中間価格も前年より400万円上昇した。
つまり、2026年の好成績は、単純に超高額馬が増えた結果ではない。高額馬への需要を維持しながら、より広い価格帯で取引が成立したことが特徴だ。
4億2000万円は歴代最高記録なのか?
ここは誤解しやすいポイントだ。
2026年の最高落札額は4億2000万円だが、セレクトセールの歴代最高額ではない。
日本競走馬協会の開催記録では、2024年の1歳馬セッションでデルフィニアⅡの2023が5億9000万円、2025年の当歳馬セッションではミッドナイトビズーの2025が5億8000万円で落札されている。
したがって、2026年の4億2000万円は当年の最高額であり、歴代最高額を更新したという意味ではない。
この違いは、検索結果や見出しだけで情報を把握すると混同しやすい部分だ。
【プロの結論】2026年のセレクトセールから読み解く競走馬市場の実力
今回の結果を競馬ビジネスの観点から分析すると、要点は3つある。
1. イクイノックスとキタサンブラックの二強構造
種牡馬別の落札総額ではキタサンブラックが1位、平均価格ではイクイノックスが上回った。
この違いは、種牡馬の市場価値を評価する際に、単純な最高額だけでは不十分であることを示している。
落札総額は市場での販売規模を、平均価格は個々の産駒に対する購買者の評価を反映する。
加えて、落札率を組み合わせれば、出品された産駒がどれだけ安定して購買されたかも判断できる。
2. 高額馬だけでなく中央値を見るべき
4億円を超える馬が話題になる一方、全体の中央値は5100万円だった。
平均価格は約7005万円なので、中央値との差は約1905万円。
この差から、高額取引が全体平均に与える影響の大きさが分かる。
競走馬の購買市場が健全に広がっているかを評価するなら、最高落札額、総額、落札率だけでなく、中央値の推移も確認する必要がある。
3. 血統のブランド力と個体評価は分けて考える
イクイノックスやキタサンブラックの産駒が高額で取引されたからといって、すべての産駒が同じ競走能力を持つわけではない。
購買価格には、父母の血統、近親の競走実績、馬体、歩様、健康状態、成長の見込みなど、さまざまな要素が関係する。
また、セールで高額落札されたことと、将来のG1勝利や獲得賞金は別の評価軸だ。
競馬ファンがセール結果を楽しむ際にも、価格だけで将来の活躍を断定せず、デビュー後の成長やレース内容を追うことが大切になる。
2026年のセレクトセールは、最高額の華やかさだけでなく、中央値の上昇、1歳馬の過去最高売上、種牡馬別の安定した需要が重なった開催だった。
【セレクトセール2026の結果】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:セレクトセール2026の最高落札馬は何ですか?
2026年の最高落札馬は、1歳馬の「ヤングスターの2025」です。父イクイノックス、母ヤングスターの牡馬で、ダノックスが4億2000万円で落札しました。
Q2:セレクトセール2026の売上総額はいくらですか?
2日間の落札総額は334億8400万円です。2025年の327億円を2.4%上回り、過去最高を更新しました。なお、公式集計の価格は消費税別です。
Q3:イクイノックスとキタサンブラックはどちらの産駒が高く売れましたか?
1歳馬と当歳馬を合算した落札総額では、キタサンブラックが46億7800万円で1位、イクイノックスが41億6700万円で2位です。一方、平均価格はイクイノックスが約1億4882万円、キタサンブラックが約1億4619万円で、イクイノックスが上回っています。
まとめ:セレクトセール2026は売上・血統・市場規模の3点に注目
2026年7月13日、14日に開催されたセレクトセールは、2日間の落札総額334億8400万円という過去最高記録で幕を閉じた。
特に注目されたのは、次の結果だ。
- 1歳馬最高額:ヤングスターの2025、4億2000万円
- 当歳馬最高額:ヤンキーローズの2026、4億1000万円
- 1歳馬落札総額:176億6000万円
- 当歳馬落札総額:158億2400万円
- 全体落札率:93.9%
- 全体平均価格:約7005万円
- 全体中央値:5100万円
- 種牡馬別総額1位:キタサンブラック、46億7800万円
- 種牡馬別平均価格の上位:イクイノックス、約1億4882万円
今回のセールを象徴するのは、キタサンブラックとイクイノックスの産駒が市場を牽引する一方で、エフフォーリアやキズナ、エピファネイアなどの産駒にも高い評価が集まったことだ。
今後は高額落札馬のデビュー時期、競走成績、種牡馬としての次世代評価が注目される。
セレクトセール2026は、単なる高額取引の話題にとどまらず、日本の競走馬生産と購買市場の強さを数字で示した開催だった。
主な参照資料:一般社団法人日本競走馬協会「セレクトセール2026 セール結果」「セレクトセールとは」、JBISサーチ「2026年度セレクトセール種牡馬別売却成績」。価格は特記のない限り消費税別。