2026年11月現在、ユネスコの世界遺産リストには世界全体で1,273件が登録されています。2026年7月に韓国・釜山で開催された第48回世界遺産委員会では25件が新たに登録され、国別ランキングにも変化が生まれました。首位はイタリアの62件、2位は中国の61件。日本は「飛鳥・藤原の宮都」の登録によって27件となり、アメリカと並ぶ11位タイに位置しています。
世界遺産の数を比較すると、文化遺産が多い国、自然遺産に強みを持つ国、複合遺産を複数保有する国など、それぞれの特徴が見えてきます。加えて、複数国にまたがる越境遺産の数え方を理解しなければ、国別ランキングと世界全体の総数を正しく比較できません。2026年の最新登録状況をもとに、順位、内訳、登録基準、歴代の推移まで詳しく整理します。
【2026年最新】世界遺産の数ランキング!国別登録数TOP11を一覧比較

2026年の第48回世界遺産委員会終了後、世界遺産の登録数で最も多い国はイタリアです。中国が1件差で追い、フランス、ドイツ、スペインが続きます。
以下は、ユネスコ世界遺産センターの国別登録情報を基準にした2026年のランキングです。文化遺産・自然遺産・複合遺産の内訳も併記しています。
| 順位 | 国名 | 合計 | 文化遺産 | 自然遺産 | 複合遺産 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | イタリア | 62 | 56 | 6 | 0 |
| 2位 | 中国 | 61 | 42 | 15 | 4 |
| 3位 | フランス | 56 | 47 | 7 | 2 |
| 4位 | ドイツ | 55 | 52 | 3 | 0 |
| 5位 | スペイン | 50 | 44 | 4 | 2 |
| 6位 | インド | 45 | 37 | 7 | 1 |
| 7位 | メキシコ | 36 | 28 | 6 | 2 |
| 8位 | イギリス | 35 | 29 | 5 | 1 |
| 9位 | ロシア | 33 | 22 | 11 | 0 |
| 10位 | イラン | 30 | 28 | 2 | 0 |
| 11位タイ | 日本 | 27 | 22 | 5 | 0 |
| 11位タイ | アメリカ | 27 | 13 | 13 | 1 |
出典:ユネスコ世界遺産センターの各国別登録情報。2026年の第48回世界遺産委員会終了後の数値。同数の場合は同順位としています。
ランキングを見ると、上位5か国のうち4か国がヨーロッパに集中しています。イタリア、フランス、ドイツ、スペインはいずれも歴史的な都市や建築物、宗教施設、文化的景観などを数多く保有しています。
一方、中国は自然遺産15件、複合遺産4件を持ち、文化遺産以外の分野でも存在感を示しています。日本は文化遺産22件、自然遺産5件で、文化遺産の割合が高い構成です。
なお、日本とアメリカはどちらも27件です。単純に順位を表示すると11位が2か国並ぶため、日本の正確な位置は世界11位タイとなります。
【イタリア62件・中国61件】世界遺産が多い国の特徴と日本との違い
世界遺産の数でイタリアと中国が競り合っている背景には、両国の地理的条件や歴史、自然環境の違いがあります。登録件数だけでなく、どの種類の遺産が多いのかを比較すると、それぞれの特徴が明確になります。
1位イタリア:文化遺産56件で世界をリード
イタリアは62件の世界遺産を保有する世界最多の国です。内訳は文化遺産56件、自然遺産6件で、文化遺産が全体の大部分を占めています。
ローマ帝国の遺跡、中世の都市景観、ルネサンス期の芸術や建築、宗教建築など、長い歴史の中で形成された文化的資産が豊富です。
代表例には、ローマの歴史地区、フィレンツェの歴史地区、ヴェネツィアとその潟、ピサのドゥオモ広場などがあります。都市そのものや建築群が評価されるケースも多く、イタリアの文化遺産の厚みを示しています。
2026年には、中央イタリアの18〜19世紀に建てられたイタリア式集合住宅型劇場群が新たに登録され、イタリアの総数は61件から62件に増加しました。歴史的建造物だけでなく、劇場文化や地域の建築史も国際的な評価の対象になっています。
2位中国:自然遺産・複合遺産の豊富さが強み
中国は61件で世界2位です。文化遺産42件、自然遺産15件、複合遺産4件という内訳は、イタリアとは大きく異なります。
万里の長城、故宮、兵馬俑坑などの歴史的資産に加え、九寨溝、黄龍、四川省のジャイアントパンダ保護区など、広大な国土に広がる自然環境も評価されています。
特に自然遺産15件という数字は、上位国の中でも大きな特徴です。山岳地帯、森林、カルスト地形、生物多様性など、自然環境の幅広さが登録件数に反映されています。
2026年には「景徳鎮の手工芸陶磁器産業遺産」が登録され、中国の登録数は60件から61件に増加しました。陶磁器の製造技術や産業の歴史も、世界的な価値を持つ文化遺産として認められた形です。
11位タイ日本:文化遺産22件、自然遺産5件
日本は27件で世界11位タイです。文化遺産22件、自然遺産5件という構成で、アメリカと同じ総数ながら、文化遺産の割合が高くなっています。
日本の文化遺産には、法隆寺地域の仏教建造物、古都京都の文化財、古都奈良の文化財、姫路城、厳島神社、原爆ドームなどが含まれます。神社仏閣だけでなく、近代産業や戦争の記憶を伝える場所も登録されています。
自然遺産では、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島、奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島が登録されています。
日本の特徴は、歴史的な建築物や文化的景観と、独自の生態系を持つ島々や森林が共存している点です。登録数では上位10か国に届いていませんが、文化と自然の両面に世界的な価値を持つ資産を保有しています。
【文化遺産・自然遺産・複合遺産】3つの違いをわかりやすく解説
世界遺産のランキングを理解するうえで欠かせないのが、登録区分の違いです。ユネスコの世界遺産条約では、遺産を文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類に分類しています。
2026年8月時点の日本外務省の公表資料では、世界全体の1,273件は次のような構成です。
文化遺産:人類の歴史や文化を伝える遺産
文化遺産は991件で、世界遺産全体の約77.8%を占めます。
建築物、歴史的都市、考古学的遺跡、宗教施設、文化的景観など、人類の歴史や芸術、社会の発展を伝える資産が対象です。
日本では姫路城、古都京都の文化財、法隆寺地域の仏教建造物などが代表例です。海外ではイタリアのローマ歴史地区や中国の万里の長城などが知られています。
自然遺産:地球の自然環境や生態系を守る遺産
自然遺産は240件で、全体の約18.9%です。
地質学的な特徴、優れた景観、生態系、生物多様性、絶滅危惧種の重要な生息地などが評価対象になります。
日本では屋久島や知床が代表的です。海外では中国の九寨溝、オーストラリアのグレート・バリア・リーフ、アメリカのグランド・キャニオンなどが挙げられます。
複合遺産:文化と自然の両方の価値を持つ遺産
複合遺産は42件で、全体の約3.3%です。
文化遺産と自然遺産の両方の定義を満たす資産が対象になります。人間の歴史や生活と自然環境が深く結びついている場所などが該当します。
代表例には、メキシコのカラクムルや、ペルーのマチュ・ピチュなどがあります。
注目したいのは、複合遺産が最も少ない区分であることです。文化的な価値と自然科学的な価値の両方を、国際的に認められる水準で証明する必要があるためです。
3区分は優劣を表すものではありません。文化遺産だから価値が高い、自然遺産だから保護の重要性が低いといった違いはなく、それぞれ異なる観点から人類共通の財産として評価されています。
【越境遺産の数え方】国別登録数を合計しても1,273件にならない理由
世界遺産の国別ランキングには、見落とされやすい集計上の特徴があります。それが越境遺産・越境型の世界遺産の存在です。
ユネスコの世界遺産リストには、2026年のデータで51件の越境・越境型遺産が掲載されています。これらは複数の国にまたがって存在する世界遺産です。
越境遺産は関係する国それぞれの登録数に含まれる
例えば、アルプス周辺の先史時代の杭上住居群は、イタリア、ドイツ、フランス、スイス、オーストリア、スロベニアの6か国にまたがる世界遺産です。
このような遺産は、世界全体では1つの世界遺産として扱われます。一方、国別ランキングでは、それぞれの国に関係する登録資産として計上されます。
つまり、国別登録数は各国が保有する世界遺産の件数を示す一方、世界全体の総数は重複を除いた登録物件数です。
世界全体の総数と国別登録数の合計は別の数字
この仕組みを知らずに各国の件数を足し合わせると、1,273件を超える数字になります。これは集計ミスではなく、複数国にまたがる遺産を各国の統計に含めるためです。
世界遺産の数ランキングを比較するときは、次の3点を区別する必要があります。
- 世界全体の総数:重複を除いた世界遺産の登録物件数。
- 国別登録数:その国の領域に存在する世界遺産の件数。
- 越境遺産:関係する複数の国それぞれの国別件数に含まれる物件。
したがって、国別ランキングは各国の登録実績を比較する指標として利用し、世界全体の登録件数とは別の統計として読むことが大切です。
【世界遺産の登録基準と仕組み】登録されるまでに何が必要なのか
世界遺産は、各国が推薦すれば自動的に登録される制度ではありません。1972年に採択された世界遺産条約に基づき、国際的な専門家による評価と世界遺産委員会の審議を経て決定されます。
登録には10項目の評価基準がある
ユネスコが定める登録基準は全部で10項目です。2004年までは文化遺産と自然遺産で別々の基準が設けられていましたが、その後、10項目に統合されました。
文化的価値に関する基準では、人類の創造的才能を示す傑作であること、異なる文化間の価値交流を示すこと、文明や文化的伝統を伝えること、歴史的な建築や景観を代表することなどが評価されます。
自然的価値に関する基準では、類まれな自然美、地球の歴史を示す地質学的特徴、生態系の重要な進化過程、生物多様性の保全にとって重要な生息地などが対象になります。
登録には、これら10項目のうち少なくとも1項目を満たすことが必要です。ただし、基準を満たすだけでは十分ではありません。顕著な普遍的価値に加え、真正性や完全性、適切な保護・管理体制なども審査されます。
世界遺産登録までの5つの流れ
登録までの基本的な流れは、次のとおりです。
- 暫定一覧表への記載:各国が将来的に推薦する候補を暫定一覧表に掲載する。
- 推薦書の作成:対象資産の価値、保護状況、管理計画などをまとめる。
- 専門機関による審査:ユネスコ世界遺産センターが書類を確認し、専門機関が評価する。
- 世界遺産委員会の審議:専門家の評価を踏まえ、委員会が登録の可否を決定する。
- 登録後の保全:登録国が保存・管理を継続し、状態を監視する。
文化遺産の評価を主に担当するのはICOMOS(国際記念物遺跡会議)、自然遺産を担当するのはIUCN(国際自然保護連合)です。ICCROM(文化財保存修復研究国際センター)も保存や管理に関する専門的助言を行います。
最終決定を行うのは、21か国の委員国で構成される世界遺産委員会です。審議の結果、登録のほか、追加情報を求めるための延期や差し戻し、登録しないという決定もあり得ます。
つまり、世界遺産の登録数は観光地としての人気投票ではありません。人類全体にとっての価値を証明し、その価値を将来にわたって保全できるかどうかが問われています。
【2026年の最新動向】飛鳥・藤原の宮都の登録と世界遺産ランキングの推移
2026年の世界遺産ランキングを語るうえで重要なのが、7月に開催された第48回世界遺産委員会です。
会議は2026年7月19日から29日まで韓国・釜山で開催されました。ユネスコの発表によると、この会議では25件の新しい世界遺産が登録され、世界全体の登録数は1,248件から1,273件へと増加しました。
新規登録の内訳は文化遺産19件、自然遺産5件、複合遺産1件です。また、コモロ、サントメ・プリンシペ、南スーダンの3か国で初めて世界遺産が登録されました。
日本の新規登録「飛鳥・藤原の宮都」とは
日本にとって大きなニュースとなったのが、2026年7月26日の「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録です。
奈良県の飛鳥・藤原地域に残る古代宮都の遺跡群で、19の構成資産から成ります。宮殿や官衙、仏教寺院、古墳などが含まれ、古代日本における中央集権的な国家体制の形成を伝える考古学的価値が評価されました。
ユネスコの登録情報によると、飛鳥の都が機能した時期は588〜694年、藤原の都は694〜710年です。中国の律令制度を手本とした国家制度が形成され、その後の奈良や京都の都づくりにも影響を与えた歴史を示しています。
登録基準は(ii)(iii)です。異なる文化間の交流と、文化的伝統や文明を伝える証拠としての価値が認められました。
この登録により、日本の世界遺産は26件から27件になりました。文化遺産も21件から22件に増え、自然遺産5件と合わせて世界11位タイとなっています。
2025年から2026年にかけてのランキングの変化
上位国の順位は、2026年の新規登録によって大きく入れ替わったわけではありません。イタリアと中国は引き続き1位と2位を維持し、両国の差も1件のままです。
- イタリア:2025年の61件から2026年は62件へ。
- 中国:2025年の60件から2026年は61件へ。
- 日本:2025年の26件から2026年は27件へ。
イタリアと中国は2025年から2026年にかけてそれぞれ1件増加しました。日本も新規登録によって1件増えましたが、アメリカも27件であるため、順位は11位タイです。
歴代の順位を振り返る際に重要なのは、単年の件数だけでなく、新規登録の積み重ねと順位の変化を分けて考えることです。登録数が増えても、競争相手も同じように増えていれば順位は変わりません。
また、2026年の委員会ではアフリカの3か国が初めて登録を実現しました。世界遺産制度では、すでに登録数の多い国だけでなく、これまで登録が少なかった地域の価値を認め、世界全体のリストをより多様にすることも課題になっています。
【世界遺産の数ランキング】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年に世界遺産の数が最も多い国はどこですか?
A1:イタリアです。2026年の第48回世界遺産委員会後の登録数は62件で、世界1位です。2位の中国は61件で、両国の差は1件です。
Q2:日本の世界遺産は何件で、世界何位ですか?
A2:日本は27件で世界11位タイです。内訳は文化遺産22件、自然遺産5件、複合遺産0件です。2026年7月26日に「飛鳥・藤原の宮都」が登録されたことで、26件から27件に増えました。アメリカも27件のため、同率11位となっています。
Q3:世界遺産の総数と各国の登録数を合計した数字が一致しないのはなぜですか?
A3:複数の国にまたがる越境遺産が存在するためです。世界全体では1つの登録物件として数えますが、国別ランキングでは関係する各国の登録数に含めます。そのため、各国の数字を単純に合計しても世界全体の1,273件には一致しません。
まとめ:2026年の世界遺産ランキングは登録数だけでなく内訳にも注目
2026年11月現在、世界遺産の数ランキングではイタリアが62件で1位、中国が61件で2位となっています。フランス56件、ドイツ55件、スペイン50件が続き、日本は27件でアメリカと並ぶ11位タイです。
世界全体の登録数は1,273件で、文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件という構成です。2026年7月の第48回世界遺産委員会では25件が新たに登録され、日本では「飛鳥・藤原の宮都」が新たな世界遺産に加わりました。
ランキングを正しく理解するためには、文化・自然・複合という登録区分の違いに加え、越境遺産の重複計上にも注意する必要があります。また、登録数が多いことと、その国の文化や自然の価値が他国より優れていることは同じではありません。
【プロの結論】世界遺産ランキングを見るときは、総登録数、遺産の種類、越境遺産の有無、登録後の保全状況という4つの視点を組み合わせることが大切です。件数だけでは見えない各国の歴史や自然環境の特徴まで理解すると、ランキングの意味がより深くなります。
次回の第49回世界遺産委員会は2027年にトルコのイスタンブールで開催される予定です。今後の新規登録によって、イタリアと中国の首位争いや日本の順位がどう変化するのか、引き続き注目されます。