三井住友銀行の公式発表を確認すると、福留朗裕氏は2026年も頭取CEOを務めています。2026年10月30日付のSMBC関連会社のニュースリリースでも、三井住友銀行の頭取CEOとして福留氏の名前が記載されています。
注目されたのは、2026年6月の役員人事です。三井住友銀行は2026年3月9日、同年6月26日に開催予定の定時株主総会に向けた取締役候補者を発表し、福留氏を「頭取CEO(代表取締役)」の重任候補としました。
その後も福留氏が頭取CEOとして対外的に表記されていることから、2026年6月の人事を経ても引き続きトップを務めていることが確認できます。単なる一時的な就任ではなく、経営の継続性を重視した人事と捉えられます。
なお、ここでいう重任は、取締役としての再任候補に関する公式発表です。頭取という役職と取締役の任期は、厳密には区別して理解する必要があります。
【福留朗裕のプロフィール】三井銀行入行から頭取就任までの経歴

福留朗裕(ふくとめ・あきひろ)
三井住友銀行 頭取CEO・代表取締役
1963年1月1日生まれ
一橋大学経済学部卒業
1985年4月 三井銀行入行
2023年4月 三井住友銀行頭取CEO就任
福留氏は1963年1月1日生まれ。1985年3月に一橋大学経済学部を卒業し、同年4月に株式会社三井銀行へ入行しました。
現在の三井住友銀行は、三井銀行と住友銀行を源流とする金融機関です。福留氏が入行した当時は、まだ現在の三井住友銀行が発足していませんでした。そのため「三井銀行入行」という経歴は正確な表現です。
銀行員としてのキャリアは、国内営業だけにとどまりません。市場関連業務、海外拠点の運営、法人営業、トヨタグループでの経営経験など、複数の領域を経験してきました。
福留朗裕氏の基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 福留朗裕 |
| 読み方 | ふくとめ・あきひろ |
| 生年月日 | 1963年1月1日 |
| 出身大学 | 一橋大学経済学部 |
| 卒業年月 | 1985年3月 |
| 入行年月 | 1985年4月 |
| 入行先 | 株式会社三井銀行 |
| 前職 | トヨタファイナンシャルサービス代表取締役社長 |
| 現職 | 三井住友銀行頭取CEO |
生年月日や学歴、主要な役職の変遷は、三井住友銀行が2022年12月15日に公表した新任代表取締役の略歴や、一橋大学の公式インタビューに掲載されています。
【経歴の転機】海外勤務・トレジャリー業務・トヨタ社長時代
福留氏の経歴を理解するうえで重要なのが、海外勤務とトヨタファイナンシャルサービスでの経験です。
銀行の中でキャリアを積み上げるだけでなく、海外金融市場の実務と製造業に近い事業会社の経営を経験したことが、現在の経営スタイルにつながる背景として注目されます。
1985年~2017年:銀行業務と海外経験を積む
1985年に三井銀行へ入行した福留氏は、国内支店での勤務を経て市場関連業務に従事しました。
一橋大学の公式インタビューでは、ロンドン、香港、上海、ニューヨークなどの海外拠点で勤務した経歴が紹介されています。トロントではカナダ三井住友銀行の社長も務めました。
海外勤務は合計で約16年に及び、市場営業部門では長年にわたってトレジャリー業務に携わっています。トレジャリー業務とは、金融機関の資金調達や資金運用、為替・金利などの市場リスク管理に関わる仕事です。
こうした経験は、国際金融市場の変動や企業の資金需要を理解するうえで大きな基盤になったと考えられます。
2018年~2021年:トヨタファイナンシャルサービス社長に就任
2018年1月、福留氏は三井住友銀行を離れ、トヨタ自動車の常務役員およびトヨタファイナンシャルサービス株式会社の代表取締役社長に就任しました。
担当したのは、トヨタ自動車の販売金融事業です。自動車ローンや販売金融に加えて、モビリティ領域の新規事業にも関わりました。
福留氏自身が三井住友銀行の経営陣メッセージで紹介しているのが、国内初の自動車サブスクリプションサービス「KINTO」、決済アプリ「TOYOTA Wallet」、ブロックチェーン事業などの立ち上げ経験です。
この3年間は、銀行とは異なる事業会社の意思決定や、デジタルサービスの開発、顧客接点の拡大を実践的に学ぶ機会になりました。
2021年3月にはトヨタ自動車の常務役員とトヨタファイナンシャルサービス社長を退任。同年4月、三井住友フィナンシャルグループの執行役専務および三井住友銀行の専務執行役員として復帰しています。
2022年~2026年:頭取就任と重任
2022年12月15日、三井住友銀行は福留氏を取締役兼専務執行役員に選任したと発表しました。同時に、2023年4月1日付で頭取CEOに就任する人事も公表しています。
2023年4月1日、福留氏は髙島誠氏の後任として頭取CEOに就任しました。さらに2026年3月9日には、6月の定時株主総会に向けた取締役候補者として重任が発表されました。
この経歴で注目すべきなのは、銀行の市場業務、海外経営、製造業の販売金融、デジタル事業という異なる領域を横断してきた点です。金融サービスを銀行内部だけで考えるのではなく、企業活動や生活者のサービス利用まで含めて捉えられるキャリアといえます。
【役職の違い】福留朗裕・中島達・橘正喜・髙島誠の関係
三井住友銀行の人事を調べる際に混乱しやすいのが、頭取、会長、グループCEOという役職の違いです。
三井住友銀行と三井住友フィナンシャルグループは、同じSMBCグループに属していますが、別の法人です。銀行の経営トップと持株会社の経営トップが異なる人物でも、組織上の矛盾はありません。
2026年の主要人物と組織の関係
この関係を押さえると、インターネット上で見かける「中島達氏が三井住友銀行の頭取なのか」「髙島誠氏が現在も銀行の会長なのか」といった疑問を整理できます。
中島達氏はSMBCグループ全体のCEO
2026年の三井住友フィナンシャルグループ公式役員情報では、中島達氏が取締役・執行役社長(代表執行役)、グループCEOとして掲載されています。
グループCEOは、持株会社の立場からグループ全体の経営戦略や事業ポートフォリオ、資本配分などを統括する役職です。一方、福留氏は三井住友銀行という中核銀行の頭取CEOとして、銀行の経営を担います。
つまり、中島氏がグループ全体、福留氏が銀行事業の経営を担うという関係です。
橘正喜氏は銀行の会長
もう一人、混同しやすいのが橘正喜氏です。
橘氏は2025年6月27日付で三井住友銀行の取締役会長に就任しました。2026年3月の役員異動発表でも会長として重任候補に挙げられています。
一方、髙島誠氏は2023年3月まで三井住友銀行の頭取CEOを務め、2023年4月から三井住友銀行の取締役会長に就任。その後、2025年6月に銀行の取締役を退任し、SMFGの取締役会長に就任しています。
したがって、2026年時点では、銀行の会長が橘正喜氏、SMFGの会長が髙島誠氏という別々の体制になっています。
【三井住友銀行の歴代頭取一覧】2001年の発足から現在まで
三井住友銀行は2001年4月1日、三井銀行と住友銀行の流れを受け継ぐ新銀行として発足しました。SMBCグループの公式社史では、発足後の歴代頭取が整理されています。
2001年以降の頭取の交代を時系列で並べると、次のようになります。
西川善文氏
2001年4月~2005年6月
三井住友銀行発足時の初代頭取。
奥正之氏
2005年6月~2011年4月
西川氏の後任として頭取に就任。
國部毅氏
2011年4月~2017年4月
奥氏から経営を引き継いだ。
髙島誠氏
2017年4月~2023年4月
2023年3月まで頭取CEOを務め、後任に福留氏を指名。
福留朗裕氏
2023年4月~現在
2026年も頭取CEOとして在任。
この一覧は、三井住友銀行が発足した2001年以降の歴代頭取です。前身となった三井銀行や住友銀行の歴代トップまで含めた一覧とは範囲が異なります。
歴代頭取の交代を見ると、2001年の銀行発足から約6年ごとにトップが交代してきた時期がある一方、福留氏は2023年の就任後、2026年6月にも重任候補として公表されました。
なお、2026年の重任は、単に過去の頭取の在任期間を延長したというだけではありません。新たな中期経営計画が始まるタイミングで、銀行経営の継続性を維持する意味もあります。
【2026年の経営方針】福留頭取が進める信頼・現場力・AI戦略
2026年のSMBCグループは、新しい中長期ビジョンと中期経営計画をスタートさせました。銀行単体の経営だけでなく、グループ全体の競争力を高めるための変革が進められています。
新ビジョンは「世界をつなぐ日本発のトラステッド・パートナー」
2026年4月1日、三井住友フィナンシャルグループは新たなビジョンとして「世界をつなぐ日本発のトラステッド・パートナー」を掲げました。
これは、国内の顧客基盤を強化しながら、国境を越えた企業活動や資金の流れを支える金融グループを目指すものです。
ビジョンの実現に向けた重要な要素は、次の4つです。
- お客さま起点への徹底的なこだわり
- 世界水準のテクノロジーによる競争優位の確立
- 卓越した現場力と戦略遂行力の発揮
- 社会的価値創造のフロントランナーを目指すこと
金融機関にとって、顧客からの信頼は事業の基盤です。デジタル化が進んでも、顧客の事情を理解し、適切な提案を行う能力は欠かせません。
2026~2028年度の中期経営計画で重視する7つの戦略領域
新中期経営計画は、2026年度から2028年度までの3年間が対象です。基本方針は「高みを目指して大胆な変革にチャレンジ」。成長機会を取り込むだけでなく、資本効率や事業ポートフォリオの改善も重視しています。
特に注目されるのが、次の7つの重点戦略領域です。
1. デジタルプラットフォーム戦略の加速
2. 本邦No.1法人ビジネスの確立
3. 次世代ウェルスマネジメントビジネスへの進化
4. グローバルCIB・S&T事業のプレゼンス向上
5. インドをはじめとするアジア事業の成長追求
6. アセットマネジメントビジネスの拡大
7. グローバル決済ビジネスの強化
国内ではデジタルサービスや法人取引、資産運用ビジネスを強化し、海外では資本効率の高い事業への転換を進める構想です。
また、経営基盤を支えるITトランスフォーメーションにも力を入れます。公式発表では、3年間で1兆円規模のIT投資を実施する方針が示されました。クラウド化などのITインフラ刷新、専門人材の拡充、生成AIの活用を進める計画です。
福留頭取が強調する「現場力」とAIの共存
福留氏は2026年4月1日の新入社員入行式で、AIの進展によって企業の形やビジネスのあり方が変わるとの認識を示しました。
そのうえで、三井住友銀行が目指す姿として、顧客や社会から信頼される金融機関であることを掲げています。
「すべては現場から」 2026年度新入社員入行式の頭取訓辞におけるメッセージ
訓辞では、現場力を「情熱」「スキル」「実行力」の3要素で捉えています。AIが進化するほど、人間が顧客の気持ちや状況を理解し、信頼を築く能力の価値が高まるという考え方です。
これは、テクノロジーに業務を置き換えるだけではなく、テクノロジーを使って人間の判断力や顧客対応力を高める方向性と理解できます。
福留氏が長年の海外勤務やトヨタでの新規事業経験を通じて培った視点が、こうした経営方針にも反映されていると考えられます。
【プロの結論】2026年のSMBC経営を見る3つの判断軸
2026年の三井住友銀行を評価する際には、頭取の在任期間だけでなく、実際の経営課題と結びつけて見ることが大切です。
特に注目したい判断軸は3つあります。
1.国内金融ビジネスでの競争力
金利環境の変化を背景に、銀行の収益構造も変化しています。法人融資、預金、資産運用、デジタルサービスをどのように組み合わせるかが、国内事業の成長を左右します。
2.海外事業の収益性と資本効率
海外拠点を増やすだけではなく、どの地域や事業に資本を配分し、どのように利益を生み出すかが問われます。福留氏の海外金融市場での経験は、この領域を考えるうえで注目される経歴です。
3.AI投資を顧客価値につなげられるか
1兆円規模のIT投資は大きな経営判断です。投資額そのものより、業務効率化、サービス品質、顧客利便性、セキュリティの改善につながるかが重要です。
頭取の重任を評価する場合も、在任年数だけで判断するのではなく、これらの経営課題に対してどのような成果を出すかを見ることが、より実質的な評価につながります。
【三井住友銀行の頭取に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在、三井住友銀行の頭取は誰ですか?
2026年11月現在の頭取CEOは福留朗裕氏です。2023年4月1日に就任し、2026年6月の役員人事でも重任候補として発表されました。
Q2:福留朗裕氏は三井銀行出身ですか?
はい。1985年4月に三井銀行へ入行しています。その後、海外勤務や市場関連業務を経験し、2018年にはトヨタファイナンシャルサービスの代表取締役社長に就任しました。2021年に三井住友銀行へ復帰しています。
Q3:三井住友銀行の頭取とSMBCグループCEOは同じですか?
異なります。三井住友銀行の頭取CEOは福留朗裕氏、三井住友フィナンシャルグループの執行役社長・グループCEOは中島達氏です。前者は銀行の経営トップ、後者は金融持株会社の経営トップです。
まとめ:三井住友銀行の頭取は福留朗裕氏、2026年は新たな経営計画の始動期
2026年11月現在、三井住友銀行の頭取CEOは福留朗裕氏です。
1985年の三井銀行入行から、海外金融市場での勤務、トヨタファイナンシャルサービス社長、2023年4月の頭取就任まで、幅広いキャリアを歩んできました。2026年6月の役員人事では重任候補として発表され、その後も頭取CEOとしての在任が確認されています。
また、SMFGのグループCEOである中島達氏、三井住友銀行の会長である橘正喜氏、SMFGの会長である髙島誠氏は、それぞれ異なる立場を担っています。役職の違いを理解することが、SMBCグループの経営体制を正しく把握するポイントです。
今後の注目点は、2026~2028年度の中期経営計画における国内事業の成長、海外事業の収益性改善、生成AIを含むIT投資、そして現場力の強化です。
福留頭取の経営手腕を見極めるうえでは、経歴や人事だけでなく、こうした具体的な経営施策がどのような成果につながるかを追うことが重要です。