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子なし夫婦の老後は本当に悲惨?2026年最新統計で年金・介護・孤独の備えを徹底解説

黒岩 雅也 黒岩 雅也 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
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以下、2026年11月時点の公的統計・政府資料を踏まえた記事原稿です。表示環境で扱いやすいMarkdown形式で構成し、記事内の情報源は正式名称で記載しています。

「子なし夫婦は老後が悲惨」「子どもがいないと、病気や介護が必要になったときに誰も助けてくれない」――。インターネット上では、子どものいない夫婦の将来について、不安をあおる情報が少なくありません。確かに、子どもがいない夫婦には、老後の生活費や介護、緊急時の連絡先、亡くなった後の手続きなど、早めに考えておきたい課題があります。しかし、子どもがいないという理由だけで、老後の生活が悲惨になるわけではありません。

2026年現在、総務省の「2025年家計調査」、内閣府の「令和7年人々のつながりに関する基礎調査」、そして「令和8年版高齢社会白書」からは、高齢期の経済的不安や社会的孤立に関する実態が見えてきます。大切なのは、子どもの有無だけで将来を判断するのではなく、夫婦それぞれの年金、貯蓄、健康状態、周囲とのつながり、必要な支援を受けられる体制を整えることです。

【実態検証】子なし夫婦の老後は本当に悲惨なのか?不安の正体を整理

子なし夫婦老後悲惨

最初に押さえておきたいのは、子どもがいない夫婦と、老後に頼れる人がいない夫婦は、必ずしも同じではないということだ。

子どもがいなくても、きょうだいや親族、友人、近隣住民との関係が良好な人はいる。一方、子どもがいても遠方に住んでいたり、関係が疎遠だったり、子ども自身が介護や生活支援を担えない家庭もある。

つまり、老後の安心を左右するのは、単純な家族構成ではなく、実際に頼れる人や制度があるかどうかだ。

子なし夫婦が老後に直面しやすい5つの不安

主な不安は次の5つに整理できる。

1. 年金だけで生活できるのか

夫婦ともに退職した後は、現役時代の給与収入がなくなり、公的年金が生活の中心になる。現役時代の働き方によって受給額が異なるため、夫婦それぞれの年金額を把握していないと、生活設計が難しくなる。

2. どちらかが病気になったとき、誰が支えるのか

夫婦二人で暮らしている間は、お互いが生活を支え合える。しかし、一方が認知症や要介護状態になれば、もう一方に介護負担が集中する可能性がある。

3. 夫婦ともに介護が必要になったらどうするのか

二人とも高齢になれば、配偶者が介護者として十分に動けるとは限らない。外部の介護サービスや施設を利用する準備が必要になる。

4. 緊急時に連絡できる人がいるのか

自宅で倒れた場合や救急搬送された場合、配偶者も同時に体調を崩していれば、外部との連絡や手続きが滞る可能性がある。

5. 亡くなった後の手続きを誰に任せるのか

葬儀、納骨、公共料金の解約、住居の整理、行政手続きなど、死亡後にも多くの事務が発生する。親族に依頼できない場合は、専門家や支援事業者との契約を検討する必要がある。

これらは確かに現実的な課題だ。しかし、いずれも準備によってリスクを軽減できる。

子どもがいる夫婦なら老後は安心というわけでもない

子どもがいることは、精神的な支えや緊急時の連絡先という面で安心材料になる場合がある。

ただし、子どもが必ず親の介護を担うとは限らない。仕事や家庭の事情で遠方に住んでいることもあれば、経済的な余裕がなく、十分な支援が難しい場合もある。

また、親子関係が良好であっても、医療や介護に関する意思決定、財産管理、死後事務まで子どもに任せられるとは限らない。

子どもがいるかどうかと、老後の生活基盤が整っているかどうかは、別の問題である。

この視点を持つことが、子なし夫婦の老後不安を正しく考える出発点になる。

【2025年最新データ】高齢夫婦無職世帯の家計収支から老後資金を検証

子なし夫婦が抱える不安の中でも、特に深刻なのが経済面だ。

老後の生活費を考える際に参考になるのが、総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果」である。2026年2月に公表されたこの調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯について、収入と支出の実態が示されている。

2025年の高齢夫婦無職世帯は月約4.2万円の赤字

同調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月平均収支は次のとおりだ。

項目 月平均額
実収入 254,395円
うち社会保障給付 228,614円
可処分所得 221,544円
消費支出 263,979円
非消費支出 32,850円
毎月の赤字 42,434円
平均消費性向 119.2%
世帯主の平均年齢 77.6歳

出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」

注目したいのは、実収入と実際に生活に使えるお金には違いがあることだ。

実収入25万4,395円から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた可処分所得は22万1,544円。これに対して消費支出は26万3,979円であり、毎月約4万2,434円の不足が発生している。

加えて、収入の約9割を社会保障給付が占めている。つまり、年金を中心とする収入構造では、物価上昇や医療費、住宅関連費用の増加が家計に影響しやすい。

この数字を子なし夫婦にそのまま当てはめてはいけない

ここで重要な注意点がある。

この調査は、65歳以上の夫婦のみの無職世帯を対象としたものであり、子どもがいない夫婦だけを抽出した統計ではない。

子どもがいる世帯も、いない世帯も含まれる。また、持ち家か賃貸か、年金の受給額、貯蓄額、医療費、生活水準なども世帯ごとに違う。

したがって、月4万2,434円の赤字を、そのまま子なし夫婦全体の平均的な不足額として扱うのは適切ではない。

ただし、高齢夫婦が年金中心の生活に移行した際、家計収支が厳しくなる可能性を示す重要な資料ではある。

夫婦の老後資金はいくら必要なのか

老後資金に一律の正解はない。

例えば、次の条件によって必要額は大きく変わる。

- 夫婦それぞれの年金受給額
- 持ち家か賃貸か
- 住宅ローンや家賃の有無
- 食費や光熱費などの生活水準
- 医療費や介護費用
- 退職後も働く予定があるか
- どちらか一方が先に亡くなった場合の収入減少

特に注意したいのは、夫婦の年金を合算して生活設計を終わらせないことだ。

配偶者が亡くなった後は、生活費が単純に半分になるわけではない。住居費や光熱費など、単身になっても一定程度必要な支出が残る一方、年金収入は遺族年金や本人の受給権などによって変化する。

夫婦それぞれの年金見込額を確認し、二人で暮らす場合と一人になった場合の両方を試算しておきたい。

【2026年の孤独・孤立調査】子どもがいない夫婦の老後と社会的なつながり

経済的な問題と並んで、子なし夫婦が心配するのが老後の孤独だ。

夫婦二人で暮らしている間は孤独を感じなくても、配偶者が亡くなった後には生活環境が大きく変わる。日常的な会話の相手や、困ったときに頼れる人がいなくなる可能性もある。

この問題を考えるうえで重要なのが、内閣府が2026年4月14日に公表した「令和7年人々のつながりに関する基礎調査」である。

孤独を感じる人はどれくらいいるのか

同調査は、全国の16歳以上の個人2万人を対象に実施された。実際の有効回答者数は11,873人で、有効回答率は59.4%だった。

孤独感について直接尋ねた結果では、次の割合が示されている。

孤独感についての回答 割合
しばしばある・常にある 4.5%
時々ある 13.7%
たまにある 19.5%
ほとんどない 41.6%
決してない 19.6%

出典:内閣府「令和7年人々のつながりに関する基礎調査結果」

この数字から分かるのは、孤独感には強弱があり、単純に孤独か孤独ではないかという二択では整理できないことだ。

また、同調査では、UCLA孤独感尺度を用いた間接的な質問も実施している。

間接質問で孤独感スコアが10~12点となった人は6.5%だった。直接質問と間接質問では測定方法が異なるため、両者の数字を同じ意味で比較することはできない。

頼れる人がいない人は約8%

同調査の調査票に掲載された集計結果では、困ったときに頼れる人がいると回答した人は91.6%、いないと回答した人は8.0%だった。

また、ふだん気軽に話せる相手がいないと回答した人は8.5%となっている。

ここで見逃せないのは、頼れる人の内訳だ。

頼れる人がいると回答した人のうち、家族・親族を挙げた割合は95.3%、友人・知人は54.2%、自治会・町内会・近所の人は8.4%だった。

複数回答のため合計は100%にならないが、家族や親族が大きな支援基盤になっていることがうかがえる。

子どもがいない夫婦にとっては、親族だけに頼るのではなく、友人や地域の人とのつながりを持っておくことが現実的な備えになる。

ただし、この調査は子なし夫婦だけの孤独率を示していない

この点は特に重要だ。

令和7年の調査では、配偶者の有無や子どもの有無も属性として調べている。しかし、公表された全体集計の孤独率や頼れる人の割合を、そのまま子なし夫婦の割合として読むことはできない。

つまり、2026年の内閣府調査を根拠に「子どものいない夫婦は孤独になりやすい」と断定することはできない。

一方、孤独や孤立を防ぐために、家族以外の人間関係や社会活動が重要であることは、調査結果からも読み取れる。

令和8年版高齢社会白書が示す高齢者のつながりの課題

内閣府の「令和8年版高齢社会白書」でも、高齢者の社会的なつながりは重要な課題として取り上げられている。

白書では、日本の65歳以上の人について、別居家族・親族以外に頼れる人として友人や近所の人を挙げる割合が、諸外国と比較して低い水準にあることが示されている。

また、近所の人との付き合いについても、相談や病気の際の助け合いといった関係が他国より少なく、近所との付き合いがないと回答する割合が高い傾向にある。

これは、子どもがいるかどうかだけでは解決できない社会的な課題だ。

老後の孤独対策は、配偶者や子どもだけに依存せず、複数のつながりを持つことが基本になる。

【老後の介護問題】子なし夫婦が備えたい費用・身元保証人・緊急連絡先

子なし夫婦の老後で、最も具体的な準備が必要になるのが介護と緊急時の対応だ。

夫婦のどちらかが元気であれば、病院への付き添いや日常生活の支援を担える場合がある。しかし、二人とも高齢になれば、支援する側にも体力的・精神的な限界が生じる。

加えて、配偶者が先に亡くなれば、残された一人が介護や医療に関する手続きを担うことになる。

老後の介護費用はどのくらいかかるのか

公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2024年度)」によると、介護費用の平均は次のとおりだ。

- 一時的な費用:47.2万円
- 月々の費用:9.0万円
- 在宅介護の月額平均:5.3万円
- 施設介護の月額平均:13.8万円
- 介護期間の平均:55か月(4年7か月)

一時費用には住宅改造や介護用ベッドの購入などが含まれる。

平均的な月額費用9万円と介護期間55か月を単純計算し、一時費用を加えると約542万円になる。

ただし、これは平均値を組み合わせた参考計算であり、すべての人に必要な金額ではない。介護度、利用するサービス、居住地域、施設の種類などによって実際の負担は変わる。

子なし夫婦の場合、夫婦それぞれが介護を必要とする可能性も考慮しておきたい。

身元保証人がいないと病院に入院できないのか

「子どもがいないと、入院するときの身元保証人がいない」という不安も多い。

ここで知っておきたいのが、厚生労働省の通知だ。

2018年4月27日付の通知では、身元保証人等がいないことだけを理由として、医療機関が必要な入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触する旨が示されている。

つまり、身元保証人がいないという事情だけで、必要な入院を拒否できるわけではない。

ただし、身元保証人に求められる役割は、医療機関や施設によって異なる。

例えば、緊急連絡先、入退院時の手続き、支払いに関する連絡、退院後の生活支援などがある。

これらの役割は一つの制度だけですべて代替できるわけではないため、事前に医療機関や自治体に相談しておくことが望ましい。

高齢者等終身サポート事業という選択肢

親族に頼ることが難しい人のために、政府は「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を2024年6月に策定している。

この事業では、契約内容に応じて次のようなサービスが提供される。

- 医療機関への入院時の身元保証等
- 介護施設への入所手続きの支援
- 緊急連絡先の受託
- 通院や日常生活の支援
- 葬儀や納骨に関する手続き
- 死亡後の行政手続きや公共料金の解約

特に、子どもがいない夫婦にとっては、夫婦のどちらかが亡くなった後に備える手段として検討する価値がある。

ただし、事業者選びには注意が必要だ。

法務省などのガイドラインでは、契約内容や料金、預託金の管理、解約条件、サービスの履行状況などについて、利用者が理解できるように説明することを重視している。

契約前には次の点を確認したい。

1. 初期費用と毎月の費用はいくらか。
2. 預託金はどのように管理されるのか。
3. 緊急時に実際に対応してもらえる範囲はどこまでか。
4. 解約した場合の返金条件はどうなっているか。
5. 事業者が経営困難になった場合の対応はどうなるか。

高齢者等終身サポート事業は便利な選択肢だが、契約しただけですべての老後問題が解決するわけではない。

【子どもがいない夫婦の老後の備え】今から始めたい具体的な対策6選

老後の不安を減らすためには、漠然と貯金を増やすだけでは不十分だ。

経済面、介護、緊急時の連絡、法的手続き、地域とのつながりを分けて準備することが大切になる。

1. 夫婦それぞれの年金受給額を確認する

まずは、日本年金機構の「ねんきんネット」などで、夫婦それぞれの年金見込額を確認する。

確認したいのは次の項目だ。

- 夫の老齢基礎年金と老齢厚生年金
- 妻の老齢基礎年金と老齢厚生年金
- 受給開始年齢を変更した場合の見込額
- 配偶者が先に亡くなった場合の年金への影響

共働き夫婦と片働き夫婦では、老後の年金収入が大きく異なる場合がある。

特に、どちらか一方の年金への依存度が高い家庭は、残された配偶者の生活費まで試算しておく必要がある。

2. 老後資金と介護資金を分けて管理する

老後資金を一つの口座にまとめてしまうと、日常生活費と介護費用の区別が難しくなる。

そこで、次のように目的別に管理する方法がある。

- 毎月の生活費
- 医療費・入院費
- 介護サービス利用費
- 住宅修繕費・バリアフリー改修費
- 緊急時の予備資金

老後の生活費は、実際の年金収入から毎月の支出を差し引いて算出する。

そのうえで、介護や住宅修繕などの突発的な支出に対応できる資金を別に確保しておく。

「老後資金は2000万円必要」といった単一の数字にこだわるより、夫婦の実際の収入と支出を基準に考える方が現実的だ。

3. 地域包括支援センターと早めにつながる

介護が必要になってから相談先を探すと、本人も配偶者も大きな負担を抱えることになる。

そこで活用したいのが、地域包括支援センターだ。

地域包括支援センターは、市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口であり、介護や健康、福祉、権利擁護などの相談に対応している。

相談できる内容には、次のようなものがある。

- 介護保険制度の利用方法
- 要介護認定の申請
- 介護予防サービス
- 認知症に関する相談
- 高齢者の権利擁護
- 地域の見守りや生活支援

子なし夫婦の場合、夫婦だけで介護を完結させようとしないことが大切だ。

元気なうちから地域包括支援センターの所在地や連絡先を把握しておきたい。

4. 緊急連絡先と医療・介護の希望を共有する

緊急時に連絡できる人がいないという問題は、事前の準備によって軽減できる。

夫婦以外にも、信頼できる親族、友人、専門家など、連絡を取れる相手を確保しておくとよい。

また、次の情報を整理しておくことも役立つ。

- 持病や服用薬
- かかりつけ医
- 保険証や医療情報の保管場所
- 緊急時に連絡してほしい人
- 希望する医療や介護の方針
- 財産や重要書類の保管場所

医療や介護については、本人が判断できる段階で希望を話し合う「人生会議(ACP)」も有効だ。

内閣府の令和8年版高齢社会白書でも、人生の最終段階における医療・ケアの意思決定を支援する取り組みが取り上げられている。

5. 任意後見契約や遺言書などを準備する

認知症などで判断能力が低下すると、財産管理や契約手続きが難しくなる場合がある。

子どもがいない夫婦の場合、配偶者が亡くなった後の財産管理についても考えておきたい。

代表的な制度や手続きには、次のものがある。

任意後見契約

判断能力が十分にあるうちに、将来の財産管理や生活に関する手続きを任せる人を選び、公正証書で契約する制度。

遺言書

自分の財産を誰にどのように引き継ぐのかを明確にするためのもの。夫婦それぞれが準備することが望ましい。

死後事務委任契約

亡くなった後の葬儀、納骨、各種契約の解約など、契約で定めた事務を第三者に依頼する方法。

これらはそれぞれ目的が異なるため、必要に応じて弁護士、司法書士、公証人などの専門家に相談したい。

6. 夫婦以外の人とのつながりを日常的につくる

孤独への備えは、お金だけでは解決できない。

特に、配偶者が亡くなった後の生活を考えるなら、夫婦以外にも交流できる相手を持っておくことが重要だ。

例えば、次のような活動が考えられる。

- 地域の趣味サークルに参加する
- スポーツやウォーキングの仲間をつくる
- ボランティア活動に参加する
- 自治会や地域活動に関わる
- 友人や親族と定期的に連絡を取り合う

内閣府の令和7年人々のつながりに関する基礎調査では、社会活動に参加している人は45.8%だった。

人間関係は、いざというときに突然つくれるものではない。日常生活の中で少しずつ育てていくことが、将来の孤立を防ぐ土台になる。

【プロの結論】子なし夫婦の老後を左右するのは子どもの有無より準備の質

ここまでの統計や制度を踏まえると、子なし夫婦の老後を「悲惨」と一括りにすることには無理がある。

確かに、子どもがいない夫婦には、親族による支援を受けにくい場合がある。介護の付き添いや緊急連絡、死後事務などを誰に依頼するかという問題も生じやすい。

しかし、子どもがいる家庭でも、老後の経済的な問題や介護負担、孤独の問題は起こり得る。

大切なのは、家族構成ではなく、実際に利用できる支援体制を持っているかどうかだ。

老後の安心度を判断する4つの基準

子なし夫婦が自分たちの老後を評価するときは、次の4項目を確認したい。

判断基準 安心につながる状態 注意したい状態
経済面 年金と貯蓄で生活費・予備費を確保できる 年金額や毎月の収支を把握していない
介護面 相談先と介護サービスの利用方法を把握している 夫婦だけで介護する予定になっている
緊急時 夫婦以外の連絡先と対応方法がある 連絡先や医療情報を共有していない
社会面 友人や地域との継続的な交流がある 交流相手が配偶者だけになっている

この4つが整っていれば、子どもがいなくても安定した老後生活を送るための基盤を築ける。

反対に、子どもがいても、年金や介護の準備がなく、親族以外に相談できる相手もいない場合は、不安が残る。

2026年の高齢社会白書が示しているのも、家族だけに依存しない地域の支え合いや、高齢者の多様な生活状況に対応する仕組みの必要性だ。

子なし夫婦にとって必要なのは、子どもがいないことを悲観することではない。夫婦二人で生活できなくなったときにも、生活を支える仕組みが機能するように準備することだ。

【子なし夫婦の老後に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:子なし夫婦は老後資金を多めに準備する必要がありますか?

A1:一概に多く必要とは限らないが、親族による無償の支援を受けにくい場合は、介護サービスや身元保証、日常生活支援などの外部サービスを利用する費用を想定しておきたい。夫婦の年金受給額、住居費、健康状態を踏まえて必要額を試算することが大切だ。

Q2:子どもがいない夫婦で、緊急連絡先になってくれる人がいない場合はどうすればよいですか?

A2:まずは市区町村の地域包括支援センターに相談したい。状況に応じて、社会福祉協議会の支援や高齢者等終身サポート事業者などを検討できる。緊急連絡先の受託や入院・入所時の支援については、契約内容を確認する必要がある。

Q3:子なし夫婦は老後に孤独になりやすいのでしょうか?

A3:子どもがいないことだけで孤独になりやすいと断定できる公的統計はない。内閣府の2026年公表調査では、孤独感や頼れる人の有無が調べられているが、子なし夫婦の将来を一律に評価するものではない。友人や地域との交流を持つことが孤立防止につながる。

まとめ:子なし夫婦の老後は今からの備えで変えられる

子なし夫婦の老後は本当に悲惨なのか。その答えは、子どもの有無だけでは決まらない。

2025年の家計調査では、高齢夫婦無職世帯の月平均収支が約4万2,434円の赤字となった。2026年公表の内閣府調査では、孤独感や頼れる人の有無が社会的な課題として浮かび上がっている。また、令和8年版高齢社会白書も、家族以外の人とのつながりや身寄りのない高齢者への支援の必要性を示している。

これらの資料から見えてくるのは、老後の安心には経済的な準備だけでなく、介護、緊急連絡、法的手続き、社会とのつながりが欠かせないということだ。

今から取り組みたいのは、夫婦それぞれの年金額を確認すること、介護費用を想定すること、地域包括支援センターとの接点を持つこと、緊急連絡先や死後事務について話し合うことだ。

夫婦二人で元気に暮らせる時間を大切にしながら、どちらか一人になった後の生活まで考えておく。

子どもがいないことが老後の不幸を決めるのではない。夫婦以外にも頼れる仕組みを持ち、自分たちの将来を自分たちで設計できるかどうかが、老後の安心を大きく左右する。

主な公的・専門機関の根拠資料

- 総務省統計局「2025年家計調査」
- 内閣府「令和7年人々のつながりに関する基礎調査」
- 内閣府「令和8年版高齢社会白書」
- 生命保険文化センター「2024年度生命保険に関する全国実態調査」
- 厚生労働省「身寄りがない人への対応について」
- 法務省など「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」

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黒岩 雅也

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