広島東洋カープの元主砲、ブラッド・エルドレッド氏。豪快なホームランを放つ大柄な助っ人外国人選手でありながら、広島市内を子ども用シート付きのママチャリで走る姿でも、多くのカープファンに親しまれてきた。実は、この自転車には元広島のデニス・サファテ投手から譲り受けたという意外な由来がある。
加えて、現役引退を記念して製作された自転車「エルドレッド号」は、2019年のチャリティーオークションで155万5000円という高額で落札された。落札金は広島大学病院のファミリーハウス運営基金に寄付されている。2026年現在も駐米スカウトとしてカープに関わるエルドレッド氏の歩みとともに、ママチャリ誕生の背景からサファテとの関係、子どもを乗せた日常、オークションの真相まで整理する。
【由来を解明】エルドレッドのママチャリはサファテから譲られた1台だった

エルドレッドのママチャリ伝説を語るうえで欠かせない人物が、元広島東洋カープの守護神デニス・サファテ氏だ。
2015年9月29日、地元カープ情報サイト「安芸の者がゆく」は、中国新聞アルファに掲載されたエルドレッドの自転車に関する記事を紹介した。その内容によれば、彼が愛用していたママチャリは、サファテから譲り受けたものだった。
デニス・サファテから受け継いだ自転車
サファテは広島でプレーした外国人投手で、退団時に自身が使用していた自転車をエルドレッドに譲ったとされる。単なる移動手段の受け渡しではあるものの、外国人選手同士のつながりを感じさせるエピソードだ。
その自転車をエルドレッドは日常生活で愛用。2015年の報道では、気分転換に外の空気を吸いたくなったとき、子どもを自転車に乗せて出かける様子も紹介されている。
また、エルドレッド自身も、ほかの外国人選手が退団する際に私物を譲ることがあったという。サファテから受け取った自転車を大切に使い続けた姿は、選手間の信頼関係を象徴するものでもあった。
なぜ普通のママチャリがファンの記憶に残ったのか
注目された最大の理由は、エルドレッドの体格と自転車の組み合わせにある。
身長196センチの大柄な長距離打者が、日本の街で見慣れた買い物用自転車に乗っている。その光景は、球場で豪快なホームランを放つ姿とのギャップもあり、カープファンの印象に強く残った。
しかし、単に見た目がおもしろかっただけではない。子どもを乗せて広島の街を走り、日常の風景に溶け込んでいく姿そのものが、地元の人々に親近感を与えていた。
つまり、エルドレッドのママチャリは、サファテから受け継いだ私物であると同時に、広島で築いた人間関係や生活の象徴でもあったのだ。
【自転車通勤の理由】エルドレッドが広島でママチャリを愛用した本当の背景
エルドレッドの自転車姿は、広島市内での生活を象徴するエピソードとして繰り返し取り上げられてきた。球場への自転車通勤という話題も知られているが、本人のインタビューから読み取れるのは、移動の利便性だけではない、日本文化への積極的な適応だった。
日本人と同じ生活を実践したかった
スポーツ総合誌「Number」の2017年7月27日付の記事では、エルドレッドがママチャリに乗る理由について、自身の考えを語っている。
「自分もみんながやっていることを実践したいんだ。」
これは彼の日本での生活に対する考え方をよく表している。
同記事では、外国の文化に入って生活する難しさを認めたうえで、何でも受け入れ、まずは挑戦するオープンな姿勢が必要だという趣旨の考えも紹介されている。
ママチャリに乗ることも、その実践の一つだった。外国人選手だからといって特別な生活を求めるのではなく、日本の人々が普段使っているものを自分でも使ってみる。そこにエルドレッドらしさがあった。
子ども用シートを付けた自転車で広島の街へ
もう一つ見逃せないのが、子どもを乗せて出かける父親としての一面だ。
2015年の中国新聞アルファの記事を紹介した報道によると、エルドレッドは外の空気を吸いたいときに、子どもを自転車に乗せて外出していた。
プロ野球選手としての生活は、試合や練習、遠征などで時間が制限される。そんな日々のなかで、広島の街を自転車で走る時間は、家族と過ごす日常の一部でもあったと考えられる。
ここで大切なのは、ママチャリを単なる通勤専用の乗り物として捉えないことだ。市内での移動、気分転換、子どもとの外出など、日常生活に根付いた使い方が報道から見えてくる。
外国人助っ人から広島の街の一員へ
エルドレッドは2012年途中に広島へ加入し、2018年シーズン終了まで7シーズンにわたって在籍した。
その間、打撃でチームに貢献しただけでなく、日本の生活文化を受け入れる姿勢も見せていた。2016年からのリーグ3連覇を経験した選手でありながら、球場の外ではママチャリに乗る親しみやすい存在だった。
野球の成績だけでは説明できない人気が生まれた背景には、こうした生活者としての顔があった。
【関係者・年表】サファテからオークションまでの関係を整理
エルドレッドのママチャリに関係する人物や組織を整理すると、自転車の歴史は単なる珍エピソードではなく、選手同士の交流、球団とのつながり、地域医療への支援へと広がっていることが分かる。
ママチャリをめぐる人物・組織の関係一覧
| 人物・組織 | エルドレッドとの関係 | 主な出来事・役割 |
|---|---|---|
| ブラッド・エルドレッド | 中心人物 | サファテから譲られたママチャリを愛用。引退後は駐米スカウトに就任。 |
| デニス・サファテ | 元チームメート | 自身が使っていた自転車をエルドレッドに譲渡。 |
| 広島東洋カープ | 所属球団 | 引退記念の自転車「エルドレッド号」のチャリティーオークションを実施。 |
| 広島大学病院 | 寄付先 | 落札金155万5000円をファミリーハウス運営基金に受け入れた。 |
| Number | 人物像を伝えた媒体 | 2017年の記事で日本文化への適応とママチャリへの思いを紹介。 |
ママチャリとエルドレッドの主な出来事を時系列で確認
2012年6月:エルドレッドが広島東洋カープに加入。チームの長距離打者として活躍を始める。
2015年9月:中国新聞アルファの記事で、サファテから譲り受けたママチャリや、子どもを乗せて外出する日常が紹介される。
2017年7月:Number932号で、日本の生活文化を受け入れる姿勢とママチャリへの思いが紹介される。
2018年シーズン終了:カープを退団。現役選手としての広島での7シーズンを終える。
2019年9月:現役引退と駐米スカウト就任が発表され、9月15日に引退セレモニーが行われる。
2019年10月:引退記念モデルの「エルドレッド号」が155万5000円で落札されたと発表される。
2026年:引き続き駐米スカウトとして活動。米国での選手視察や球団関連の取り組みに携わっている。
この流れを見ると、最初の自転車がサファテから譲られた個人的な乗り物だったのに対し、引退後の自転車はファンと地域社会をつなぐチャリティーの象徴へと変わったことが分かる。
【155万5000円の真相】エルドレッド号のチャリティーオークションとは?
エルドレッドのママチャリが全国的に注目された大きなきっかけが、2019年に開催された引退記念チャリティーオークションだ。
2019年10月10日、広島東洋カープは、エルドレッド氏の愛用自転車に関連する記念モデル「エルドレッド号」が、155万5000円で落札されたと発表した。
落札されたのは愛用車そのものではなく後継モデル
ここには、検索ユーザーが間違えやすい要点がある。
オークションに出品されたのは、エルドレッドが現役時代に使用していた自転車そのものではない。日刊スポーツの2019年10月10日付報道によると、愛用していたママチャリの後継モデルにチャイルドシートを取り付け、直筆サインを入れて装飾したものだった。
つまり、サファテから譲り受けた最初の自転車と、オークションで落札された「エルドレッド号」は、同じ自転車ではない。後継モデルという位置付けだ。
この違いを理解すると、オークションの記念品としての意味も分かりやすくなる。エルドレッドが広島で愛用してきた自転車のイメージを引き継ぎ、引退後もファンの記憶に残るように製作された特別な一台だった。
155万5000円という落札額の行き先
高額落札のニュース以上に注目したいのが、その資金の使い道だ。
広島大学病院が2019年10月15日に公表した寄付報告によれば、落札金155万5000円は「広島大学病院ファミリーハウス運営基金」に寄付された。
ファミリーハウスは、小児がんの子どもたちの家族などが宿泊できる施設だ。遠方から治療に訪れる患者の家族が、長期にわたる療養生活を支えられるよう、精神的・経済的負担の軽減を目的として運営されている。
広島大学病院の報告では、落札金は施設の運営資金として活用されると説明されている。
加えて、引退セレモニーの前にはエルドレッド自身が広島大学病院の小児病棟を訪れ、子どもたちと交流したことも紹介されている。
なぜ155万5000円もの価値が付いたのか
通常のママチャリの市場価格と比較すれば、155万5000円は極めて高い金額だ。しかし、これは一般的な自転車の商品価値を示す価格ではない。
落札対象には、次のような複数の意味が重なっていた。
- 広島カープの人気選手だったエルドレッドの引退記念品であること。
- 本人が現役時代に愛用した自転車の後継モデルであること。
- 直筆サインと装飾が施された特別仕様であること。
- 落札金が小児がん患者の家族を支える施設の運営基金に寄付されること。
特に最後のチャリティー性は大きい。落札者は単に希少な記念品を手に入れるだけでなく、医療を受ける子どもたちと、その家族を支援する活動にも参加したことになる。
ママチャリという身近な乗り物が、プロ野球選手の引退記念品となり、さらに地域医療への寄付につながった。この一連の流れこそ、「エルドレッド号」が特別な存在になった理由だ。
【ブラッド・エルドレッドの現在】引退後も広島カープの駐米スカウトとして活動
ママチャリの話題だけでなく、エルドレッド本人の野球人生も押さえておきたい。2026年現在、彼は現役を退いた後も広島東洋カープとの関係を続け、アメリカで外国人選手の発掘に携わっている。
現役時代は広島の主砲として活躍
ブラッド・エルドレッドは1980年7月12日生まれ、アメリカ出身の元プロ野球選手だ。
2012年6月に広島へ加入すると、右の長距離打者として打線の中心を担った。2014年には37本塁打を記録して本塁打王を獲得。2016年には来日通算100本塁打に到達し、同年の日本シリーズでも3試合連続本塁打を記録して敢闘賞を受賞した。
7シーズンの通算成績は577試合出場、496安打、133本塁打、370打点、打率.259。広島の外国人選手として長く在籍し、2016年からのリーグ3連覇にも貢献した。
2018年シーズン終了後にカープを退団したが、日本球界への復帰を模索。その後、2019年夏に現役引退を決断した。
2019年に駐米スカウトへ転身
2019年9月4日、広島球団はエルドレッドの現役引退と駐米スカウト就任を発表した。
選手としてのキャリアを終えた後も球団に残る形となり、アメリカを拠点に外国人選手の調査や獲得候補の発掘を担当することになった。
広島アスリートマガジンの2022年のインタビューでは、スカウトの仕事を球団から打診された際に、カープとの関係を継続できることをうれしく感じたという趣旨のコメントを残している。
また、同誌はエルドレッドが担当した選手の一人としてライアン・マクブルームを紹介している。現役時代に日本の野球や生活を経験したことは、新しく来日する外国人選手を理解するうえでも強みになる。
2026年も米国で選手を視察
2026年4月29日付の報道では、エルドレッド駐米スカウトが米国の3Aの試合を視察している様子が取り上げられた。中国新聞の番記者同行記をもとに、ニューヨーク州の球場でスピードガンや映像を活用しながら選手を観察する姿が紹介されている。
また、同報道では、2027年からのセ・リーグDH制導入を見据え、従来の守備位置にとらわれず、打撃力を重視した選手も候補に加えているという本人のコメントが紹介された。
加えて、2026年3月1日には、広島球団がマツダスタジアムに新遊具「エルドレくん」を導入すると発表。エルドレッド駐米スカウト本人も球団を通じてコメントを寄せている。
こうした動きからも、引退後のエルドレッドが単なる球団OBではなく、現在進行形でカープの戦力補強やファンとの交流に関わっていることが分かる。
【プロの結論】ママチャリが象徴するエルドレッドの本当の魅力
エルドレッドのママチャリを理解するうえで、重要なのは次の3つの視点だ。
第一に、自転車は日本文化への適応を象徴している。本人は、日本人が日常的に使うものを自分でも実践したいという考えを語っていた。単なる移動手段ではなく、異国の生活に積極的に溶け込もうとする姿勢が表れている。
第二に、子ども用シートは広島での日常を象徴している。ホームランを量産する外国人選手という顔の裏側に、子どもと外出する一人の父親としての姿があった。これがファンの親近感につながった。
第三に、引退記念モデルは地域への恩返しを象徴している。155万5000円の落札金が病院の基金に寄付されたことで、個人的な思い出の品が地域社会を支える活動へとつながった。
情報を見極める際には、次の点を区別すると誤解が生じにくい。
- 最初の愛用車はサファテから譲られた自転車である。
- 155万5000円で落札されたのは、愛用車そのものではなく後継モデルである。
- ママチャリの理由は通勤だけではなく、日本文化への適応や子どもとの外出にも関係している。
- 現在のエルドレッドは現役選手ではなく、広島カープの駐米スカウトである。
この4点を押さえれば、エルドレッドのママチャリにまつわる情報を正確に理解できる。
【エルドレッドのママチャリ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:エルドレッドのママチャリは誰から譲り受けたものですか?
A1:元広島東洋カープの投手、デニス・サファテから譲り受けたものです。2015年の中国新聞アルファの記事を紹介した地元報道で、その経緯が明らかになっています。
Q2:エルドレッドのママチャリはなぜ有名になったのですか?
A2:大柄な体格の外国人主砲が、日本の日常的な自転車で広島市内を走る姿が親しまれたためです。加えて、子ども用シートを付けて子どもと外出する姿や、日本の生活文化に馴染もうとする本人の考えも話題になりました。
Q3:エルドレッド号はいくらで落札されましたか?
A3:2019年のチャリティーオークションで155万5000円で落札されました。落札金は全額、広島大学病院ファミリーハウス運営基金に寄付されています。
Q4:オークションに出品されたのは本人が乗っていた自転車ですか?
A4:いいえ。現役時代に愛用していた自転車の後継モデルです。チャイルドシートを取り付け、直筆サインを入れて装飾した特別仕様でした。
Q5:ブラッド・エルドレッドは2026年現在何をしていますか?
A5:広島東洋カープの駐米スカウトとして活動しています。アメリカで外国人選手の視察や獲得候補の調査に携わっており、2026年にも米国でのスカウティング活動が報じられています。
Q6:エルドレッドはなぜママチャリに乗っていたのですか?
A6:本人は、日本の人々が日常的に行っていることを自分も実践したいという考えを語っています。また、子どもを乗せて外出するなど、広島での日常生活にも自転車を活用していました。
まとめ:エルドレッドのママチャリは広島への愛着を伝える象徴だった
エルドレッドのママチャリは、元広島のデニス・サファテから譲り受けた一台が始まりだった。子ども用シートを付け、広島の街を走る姿は、豪快なホームランを放つ助っ人外国人とは違った親しみやすい一面をファンに伝えてきた。
2019年には、その愛用車の後継モデルが「エルドレッド号」としてチャリティーオークションに出品され、155万5000円で落札。全額が広島大学病院のファミリーハウス運営基金に寄付された。
2026年現在、エルドレッドは駐米スカウトとしてカープを支え続けている。現役時代の自転車にまつわる思い出と、引退後の球団への貢献は、広島との深いつながりを物語っている。
一台のママチャリから始まった物語は、サファテとの友情、家族との日常、ファンとの思い出、そして子どもたちを支えるチャリティーへと広がった。エルドレッドが広島で愛され続ける理由は、グラウンドでの実績だけではない。その街の暮らしを受け入れ、カープの一員であり続けようとする姿勢にもあった。
主な事実確認資料: 日刊スポーツ、広島大学病院、Number、広島アスリートマガジン、デイリースポーツ、2015年の中国新聞アルファ関連記事。