第65回グラミー賞の授賞式は、2023年2月5日に米ロサンゼルスのCrypto.com Arenaで開催された。対象となったのは、2021年10月1日から2022年9月30日までに発表された録音作品だ。
BTSにとって、この授賞式は過去2年に続く3年連続の挑戦だった。2023年は「My Universe」と「Yet To Come」がそれぞれ異なる部門に選ばれ、さらにColdplayのアルバムも年間最優秀アルバム賞の候補となった。
しかし、結果は3部門とも受賞を逃す形となった。
最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞
この部門にノミネートされたのが、BTSとColdplayによるコラボレーション楽曲「My Universe」だ。
同部門の受賞作品は、サム・スミスとキム・ペトラスの「Unholy」。BTSとColdplayは受賞を逃した。
「My Universe」は、異なる音楽的背景を持つ2組が共同で制作した作品として国際的な注目を集めたが、グラミー賞の結果では「Unholy」が選ばれた。
最優秀ミュージック・ビデオ賞
もう一つの注目部門が、最優秀ミュージック・ビデオ賞だ。
BTSは「Yet To Come」で候補入りした。このミュージックビデオでは、監督をチェ・ヨンソク、プロデューサーをティファニー・スーが担当している。
しかし、受賞したのはテイラー・スウィフトの「All Too Well: The Short Film」だった。
この作品は単なる楽曲映像ではなく、短編映画としての物語性も評価された作品である。BTSの「Yet To Come」は候補に残ったものの、最終的な受賞には至らなかった。
年間最優秀アルバム賞も候補に
見落とされやすいのが、Coldplayのアルバム『Music Of The Spheres』による年間最優秀アルバム賞へのノミネートだ。
BTSの公式グラミー賞アーティストページにも、この作品が2023年のノミネート記録として掲載されている。
ただし、これはBTS単独名義のアルバムではなく、Coldplayの作品に関連する候補入りである。受賞したのはハリー・スタイルズの『Harry's House』だった。
つまり、2023年のBTSは2曲に関する部門とColdplayのアルバムに関する部門を合わせ、公式記録上3件のノミネートを獲得したことになる。
【歴代ノミネートを比較】Dynamite・Butter・My Universeの受賞結果一覧

BTSのグラミー賞挑戦は、2023年に始まったわけではない。
最初のノミネートは2021年の「Dynamite」。翌2022年には「Butter」、そして2023年には「My Universe」と、3年連続で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞に候補入りしている。
以下は、レコーディング・アカデミーの公式アーティスト記録と各年度の受賞記録を整理したものだ。
| 年度 | 部門 | BTS関連の候補作品 | 受賞者・作品 |
|---|---|---|---|
| 2021年・第63回 | 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞 | 「Dynamite」/BTS | レディー・ガガ&アリアナ・グランデ「Rain On Me」 |
| 2022年・第64回 | 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞 | 「Butter」/BTS | ドージャ・キャット&SZA「Kiss Me More」 |
| 2023年・第65回 | 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞 | 「My Universe」/Coldplay・BTS | サム・スミス&キム・ペトラス「Unholy」 |
| 2023年・第65回 | 最優秀ミュージック・ビデオ賞 | 「Yet To Come」/BTS | テイラー・スウィフト「All Too Well: The Short Film」 |
| 2023年・第65回 | 年間最優秀アルバム賞 | 『Music Of The Spheres』/Coldplay(BTSの公式記録にも掲載) | ハリー・スタイルズ『Harry's House』 |
2021年「Dynamite」から始まった挑戦
2021年の第63回グラミー賞で、BTSは「Dynamite」によって最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞に初めてノミネートされた。
K-POPグループとしてグラミー賞の候補に名を連ねたこと自体が、大きな節目となった。
受賞したのはレディー・ガガとアリアナ・グランデの「Rain On Me」。BTSは初挑戦での受賞を逃したものの、翌年も同じ部門に挑戦することになる。
2022年「Butter」も受賞には届かず
2022年の第64回では、「Butter」が同部門にノミネートされた。
受賞したのはドージャ・キャットとSZAによる「Kiss Me More」だった。
この年もBTSは受賞できなかったが、2年連続で同じ部門に候補入りしたことは、グループが米国の主要音楽賞で継続的に評価対象となっていたことを示している。
2023年は挑戦の幅が広がった
2023年の特徴は、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞だけでなく、ミュージックビデオ部門にも進出したことだ。
「Dynamite」「Butter」の時期と比較すると、候補となる作品の種類が広がった点に注目したい。
単に同じ賞に3回挑戦したという話ではなく、BTSの作品が異なる評価カテゴリーに認識されたという点で、キャリア上の意味を持つ記録となった。
【通算5回ノミネート・受賞0】BTSのグラミー賞歴代記録を検証
2026年11月時点で、グラミー賞公式サイトに掲載されているBTSの記録は次のとおりだ。
BTS Grammy Awards Record
5
通算ノミネート数0
通算受賞数
対象:第63回~第65回を中心とする公式アーティスト記録。2026年時点の掲載内容。
出典:Recording Academy公式BTSアーティストページ。
5件の内訳は次のようになる。
- 2021年:「Dynamite」1件
- 2022年:「Butter」1件
- 2023年:「My Universe」1件
- 2023年:「Yet To Come」1件
- 2023年:Coldplay『Music Of The Spheres』1件
この5件が、公式アーティストページに掲載されているBTSのグラミー賞ノミネート履歴だ。
5回のノミネートは何を意味するのか
ここで注意したいのは、ノミネート数と受賞数は別の指標だということだ。
グラミー賞は、レコーディング・アカデミーの投票資格を持つ音楽制作者らによって選出される賞である。投票にはアーティストだけでなく、作詞家、作曲家、プロデューサー、エンジニアなど、幅広い音楽関係者が関わる。
そのため、作品の売上や動画再生数、SNSでの人気だけで受賞が決まるわけではない。
BTSが5回ノミネートされながら受賞していないことは公式記録上の事実だが、それだけで作品の音楽的価値や国際的な影響力を否定することはできない。
また、2023年の『Music Of The Spheres』のように、他アーティストの作品に参加したことによる候補入りも含まれる。ノミネートの内訳を理解することが、BTSの実績を正確に評価するうえで欠かせない。
【2026年最新情報】BTSは2027年のグラミー賞に参加しない?
2026年のBTSとグラミー賞をめぐる大きな動きとして、2027年開催予定の第69回グラミー賞への作品提出を見送るという発表がある。
2026年7月29日、BTSのメンバーは、翌年のグラミー賞に作品を提出しない意向を表明した。
背景にあるのは、レコーディング・アカデミーが新設した「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」をめぐる議論だ。新設部門は、K-POPやJ-POP、C-POPなどを含むアジアのポップ音楽を対象とするものとして発表された。
BTSが問題視したのは地域や言語による分類
聯合ニュースによると、BTSは音楽が地域や言語によって分類されるのではなく、作品そのものとして聴かれ、評価されることを望む趣旨のメッセージを発信した。
この発表は、新設部門に対するアーティスト側の問題提起として受け止められた。
一方、レコーディング・アカデミーのCEO、ハーヴィー・メイソン・ジュニアは、BTSの決定を残念に思うとしながらも、その選択を尊重する姿勢を示した。
2026年の受賞記録と2027年の不参加は別の話
ここは混同しやすいポイントだ。
- 2026年時点の公式成績:5ノミネート、0受賞。
- 2027年のグラミー賞:BTSが作品提出を見送る意向を表明。
- 2027年の授賞結果:2026年11月時点では未確定。
つまり、2027年の不参加表明によって、過去のノミネートや受賞記録が変わるわけではない。
また、作品提出を見送ることは、グラミー賞から永久に撤退するという意味でもない。今回の決定は、特定の年度の選考プロセスへの参加を見送るというものだ。
BTSのグラミー賞をめぐる状況は、受賞を目指す段階から、音楽業界における評価制度そのものについて意見を示す段階にも広がっている。
【BTSのグラミー賞2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:BTSは2023年のグラミー賞で受賞しましたか?
BTSは第65回グラミー賞で受賞していない。最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞、最優秀ミュージック・ビデオ賞、年間最優秀アルバム賞に関連する3件のノミネートを記録したが、いずれも受賞を逃した。
Q2:2023年の最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞したのは誰ですか?
サム・スミスとキム・ペトラスの「Unholy」だ。BTSとColdplayの「My Universe」も同部門にノミネートされていた。
Q3:BTSのグラミー賞通算ノミネート回数と受賞回数は?
2026年時点のグラミー賞公式アーティストページでは、通算5ノミネート、受賞0回となっている。2021年の「Dynamite」、2022年の「Butter」、2023年の3件が内訳だ。
Q4:「Yet To Come」はグラミー賞の何部門にノミネートされましたか?
第65回の最優秀ミュージック・ビデオ賞にノミネートされた。受賞したのはテイラー・スウィフトの「All Too Well: The Short Film」だった。
Q5:BTSは2027年のグラミー賞にも参加しますか?
2026年7月、BTSは2027年のグラミー賞への作品提出を見送ると表明した。新設されたアジアン・ポップ部門をめぐる議論が背景にある。これは2027年の選考への不参加表明であり、将来の参加まで否定したものではない。
【プロの結論】BTSのグラミー賞2023が残したものと今後の評価
BTSのグラミー賞2023は、結果だけを見れば3件のノミネートに対して受賞ゼロだった。
しかし、2021年の「Dynamite」、2022年の「Butter」、2023年の「My Universe」と、3年連続で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされた実績は、BTSの国際的な音楽活動を考えるうえで重要な記録である。
さらに2023年には「Yet To Come」がミュージックビデオ部門に進出し、Coldplayのアルバム『Music Of The Spheres』も年間最優秀アルバム賞の候補に入った。
2026年現在、公式記録は5ノミネート、0受賞。数字だけを見ればグラミー賞のトロフィーには届いていないが、候補入りの範囲は着実に広がってきた。
そして2027年の作品提出見送りは、単なる受賞への失敗とは異なる問題を提起している。音楽を地域や言語で分類することと、作品をジャンルや表現そのもので評価することの間には、今も議論がある。
BTSのグラミー賞歴を正確に理解するための判断基準は、ノミネート数、実際の受賞結果、他アーティストの作品への参加、そして年度ごとの選考方針を分けて見ることだ。
受賞ゼロという結果だけでBTSの音楽的な実績を測ることはできない。第65回グラミー賞は、BTSが世界の音楽業界でどのように評価され、どのような課題に直面してきたのかを考える重要な節目だった。
主な情報源:Recording Academy(グラミー賞公式アーティスト記録・各年度受賞者一覧)、聯合ニュース、AP通信。