1992年から2015年まで、23年間にわたって放送されたTBSの人気2時間ドラマ『西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ』。主演を務めた渡瀬恒彦と、亀井刑事役の伊東四朗が築いた名コンビは、全54作を通じて変わることなく、多くのミステリーファンに親しまれてきた。
第1作『札幌駅殺人事件』から最終作『サンライズ出雲の女 消えた似顔絵の女』まで、作品の放送順、シリーズの変遷、代表作、歴代十津川警部との違いを整理する。加えて、2026年現在のTBSチャンネルでの再放送やU-NEXTの配信情報、2017年に亡くなった渡瀬恒彦の俳優としての足跡も振り返る。
【1992年から2015年まで】渡瀬恒彦版・十津川警部シリーズの放送経緯

第1作『札幌駅殺人事件』から始まった長寿シリーズ
渡瀬恒彦版の『十津川警部シリーズ』がスタートしたのは、1992年4月13日。
記念すべき第1作は、西村京太郎の小説を原作とする『札幌駅殺人事件』だった。
渡瀬恒彦が警視庁捜査一課の十津川省三警部を演じ、伊東四朗が相棒の亀井定雄刑事を担当。初回から2人のコンビが成立していた。
当初は3作品の放送を予定していたが、視聴者から支持を集め、シリーズは継続。1990年代から2000年代にかけて定期的に新作が制作されるようになった。
放送枠の変更と全54作への道のり
23年間の放送期間中、番組は3つの2時間ドラマ枠を経験している。
| 放送時期 | 放送作品 | 放送枠 |
|---|---|---|
| 1992年〜2001年 | 第1作〜第21作 | 月曜ドラマスペシャル |
| 2001年〜2006年 | 第22作〜第36作 | 月曜ミステリー劇場 |
| 2006年〜2015年 | 第37作〜第54作 | 月曜ゴールデン |
放送枠の名称は変わっても、渡瀬恒彦と伊東四朗の中心的なキャスティングは維持された。
2005年の第35作『金沢加賀殺意の旅』は、渡瀬恒彦が十津川警部を演じた作品数において、従来の記録を更新した節目でもある。
その後もシリーズは続き、2013年には第50作、2015年には最終となる第54作に到達した。
最終作は2015年4月13日放送
シリーズの最終作は、2015年4月13日放送の『サンライズ出雲の女 消えた似顔絵の女』。
寝台特急サンライズ出雲を舞台に、行方不明の女性と連続殺人事件をめぐる謎を描いた作品だ。
TBSの番組情報によると、実際にサンライズ出雲の車内で撮影が行われ、出雲大社、宍道湖、松江城などの風景も登場する。
第1作と最終作の放送日は、ちょうど23年後の同じ4月13日だった。
この一致も、長く続いたシリーズの歴史を振り返るうえで印象深い事実である。
【全54作を放送順に紹介】渡瀬恒彦版の作品一覧
渡瀬恒彦主演の十津川警部シリーズは、全54作品で構成される。
作品を探すときは、タイトルだけでなく放送順の番号も確認したい。原作の題名とドラマのサブタイトルが異なる作品もあるためだ。
第1作〜第18作:1992年〜1999年
1. 札幌駅殺人事件
2. 西鹿児島駅殺人事件
3. 上野駅殺人事件
4. 函館駅殺人事件
5. 会津高原殺人事件
6. 萩・津和野に消えた女
7. 豪華特急トワイライト殺人事件
8. 伊豆海岸殺人ルート
9. 松島・蔵王殺人事件
10. ミステリー列車が消えた
11. 南伊豆高原殺人事件
12. 丹後殺人迷路
13. 特急しなの21号殺人事件
14. 海を渡った愛と殺意
15. 尾道・倉敷殺人ルート
16. 寝台急行「銀河」殺人事件
17. 越後・会津殺人ルート
18. シベリア鉄道殺人事件
初期作品は、駅や列車を事件の舞台にしたタイトルが多い。
札幌、鹿児島、上野、函館といった全国各地の駅を巡る構成は、鉄道ミステリーとしてのシリーズの個性をよく表している。
第19作〜第36作:2000年〜2006年
19. 伊豆・七滝殺人事件
20. 寝台特急カシオペアを追え
21. 西伊豆・美しき殺意
22. 京都・恋と裏切りの嵯峨野
23. 終着駅殺人事件
24. 伊豆の海に消えた女
25. 南紀白浜殺人ルート
26. 特急おおぞら殺人事件
27. 九州特急つばめ殺人事件
28. 陸中海岸殺意の旅
29. 松山・道後十七文字の殺人
30. パリ・東京殺人ルート
31. 四国連絡特急殺人事件
32. 愛の伝説・釧路湿原
33. 東北新幹線「はやて」殺人事件
34. 寝台特急あさかぜ殺人事件
35. 金沢加賀殺意の旅
36. 河津・天城連続殺人事件
この時期には、鉄道を中心にしながらも、土地の歴史や文化、人間関係を事件の背景に組み込む作品が増えていく。
第22作からは月曜ミステリー劇場に移行。シリーズの基本的な魅力を引き継ぎながら、新しい作品を制作し続けた。
第37作〜第54作:2006年〜2015年
37. 特急あずさ殺人事件
38. 愛と悲しみの墓標
39. 飛騨高山に消えた女
40. 生命〜ベールに包まれた誕生の秘密〜
41. 寝台特急殺人事件〜さよならブルートレイン〜
42. 九州ひなの国殺人ルート
43. 伊勢志摩殺人迷路〜円空の謎〜
44. 特急ソニック殺人事件〜十年目の真実〜
45. 志賀高原殺人事件〜黒姫伝説の謎〜
46. 特急『草津』殺人迷路
47. 熱海・湯河原殺人事件
48. 江ノ電に消えた女〜十津川警部への挑戦状〜
49. 特急「しらさぎ」殺人迷路〜越前竹人形の謎〜
50. 消えたタンカー
51. 京都〜小浜殺人迷路〜八百比丘尼伝説の怪〜
52. 小田原城殺人事件〜一期一会の証言〜
53. 伊豆・踊り子号殺人ルート〜消えた一億円の謎〜
54. サンライズ出雲の女 消えた似顔絵の女
後期には、ブルートレインや新幹線、特急列車など、実在の交通網を題材にした作品が目立つ。
また、第50作の『消えたタンカー』、第54作の『サンライズ出雲の女』は、シリーズの節目を飾る作品として特に注目される。
【渡瀬恒彦と伊東四朗】十津川警部と亀井刑事の名コンビが支持された理由
十津川省三と亀井定雄の関係
シリーズを語るうえで欠かせないのが、渡瀬恒彦と伊東四朗のコンビだ。
渡瀬が演じる十津川省三は、警視庁捜査一課の警部。冷静な判断力と粘り強い捜査で事件の真相に迫る。
一方、伊東四朗演じる亀井定雄は、十津川が信頼するベテラン刑事。経験に裏打ちされた判断力と人間味のある対応で捜査を支える。
2人は単なる上司と部下ではない。事件の見方が異なる場面でも互いの判断を尊重し、最終的に真相へたどり着く関係として描かれている。
主要人物と関係者一覧
| 人物・要素 | 担当・関係 | シリーズでの役割 |
|---|---|---|
| 十津川省三 | 渡瀬恒彦 | 主人公。警視庁捜査一課の警部 |
| 亀井定雄 | 伊東四朗 | 十津川の相棒。ベテラン刑事 |
| 西本功 | 堤大二郎 | 十津川班の刑事 |
| 安原美知子 | 山村紅葉 | 十津川班の刑事 |
| 小西淳平 | 中西良太 | 十津川班の刑事 |
| 村川留美 | 古川りか | 十津川班の刑事 |
| 山下智志 | 山田アキラ | 十津川班の刑事 |
| 小林雅人 | 内山翔人 | 後期の十津川班の刑事 |
| 西村京太郎 | 原作者 | 原作小説の創作者 |
| 森下和清 | プロデューサー | シリーズ制作を支えた中心スタッフ |
なぜ23年間、同じコンビが続いたのか
大きな理由の一つは、主人公と相棒の関係性がシリーズの中心に据えられていたことだ。
事件ごとにゲスト俳優や舞台が変わっても、渡瀬と伊東の関係は変わらない。
視聴者は毎回、新しい事件を楽しみながら、馴染みのある2人の捜査を追うことができた。
また、十津川が論理的に事件を分析する一方で、亀井は人間関係や現場の空気を読み取る。この対照的な個性が、ドラマに奥行きを与えていた。
U-NEXTが2023年12月に発表した配信開始のニュースリリースでも、渡瀬恒彦と伊東四朗のコンビが初回から23年間変わらなかったことが紹介されている。
同じ俳優同士が長期間にわたって同じ人物関係を演じ続けたことは、このシリーズの大きな財産だった。
【渡瀬恒彦版の代表作】特に見ておきたい5作品
全54作にはそれぞれ異なる魅力がある。初めて視聴する人には、シリーズの歴史や特徴が分かる節目の作品から入る方法がおすすめだ。
1.第1作『札幌駅殺人事件』
<作品のポイント>
- 放送日:1992年4月13日
- 主演:渡瀬恒彦
- 亀井刑事:伊東四朗
シリーズの原点となる作品。
十津川警部と亀井刑事の基本的な関係性を確認できるため、渡瀬版を最初から見たい人に適している。
2.第35作『金沢加賀殺意の旅』
渡瀬恒彦が十津川警部を演じる作品数で、三橋達也が持っていた記録を更新した節目の作品。
長期間にわたって同じ役を演じ続けた渡瀬の存在感を振り返るうえで、重要な一作だ。
3.第42作『九州ひなの国殺人ルート』
2009年9月28日放送。
2017年3月27日には渡瀬恒彦の追悼企画として再放送され、関東地区の平均視聴率は12.2%を記録した。
日刊スポーツは、旅情と事件の裏にある人間模様を描いたシリーズ代表作の一つとして紹介している。
渡瀬版の魅力を知るうえで、候補に入れたい作品だ。
4.第50作『消えたタンカー』
2013年9月9日放送の50作記念作品。
この作品最大の見どころは、渡瀬恒彦と実兄の渡哲也が共演したことだ。
渡哲也は元タンカー船長の奥平浩一郎を演じた。
インド洋で起きたタンカーの炎上沈没事件を発端に、生存者たちを狙う連続殺人が発生。十津川と亀井が事件の背後にある真相を追う。
インド洋、ブラジル、伊香保温泉、仙台と舞台が移るスケールの大きな物語で、記念作品にふさわしい内容となっている。
5.第54作『サンライズ出雲の女 消えた似顔絵の女』
2015年4月13日放送。
最終作では、寝台特急サンライズ出雲と出雲の風景を背景に、女性の失踪と殺人事件が描かれる。
実際の列車内で撮影された映像も見どころだ。
シリーズの最後を飾る作品として、渡瀬版の鉄道ミステリーと旅情を味わえる。
【歴代十津川警部キャスト比較】渡瀬恒彦版は何が違う?
十津川警部は、西村京太郎の小説を原作とするテレビドラマで、複数の俳優が演じてきた。
ここで注意したいのは、同じ十津川警部を主人公にしていても、放送局や制作会社が異なれば別シリーズとして扱われることだ。
代表的な十津川警部の俳優
三橋達也
テレビ朝日系『西村京太郎トラベルミステリー』の初代十津川警部。1979年に始まったシリーズを長年支えた。
渡瀬恒彦
TBS版『十津川警部シリーズ』の主演。1992年から2015年まで全54作を担当した。
高橋英樹
テレビ朝日系『西村京太郎トラベルミステリー』で、2000年に三橋達也から十津川役を引き継いだ。2022年の最終作まで主演を務めた。
内藤剛志
TBSで2017年に始まった新シリーズの十津川警部。亀井刑事は石丸謙二郎が演じた。
渡瀬版とほかのシリーズの違い
渡瀬版の大きな特徴は、伊東四朗とのコンビが全54作を通して維持されたことにある。
一方、テレビ朝日系のトラベルミステリーは、三橋達也から高橋英樹へと主演が引き継がれ、2022年に完結した。
TBSでは渡瀬版終了後、2017年から内藤剛志と石丸謙二郎の新コンビによる作品が制作された。
つまり、渡瀬版の第54作と、テレビ朝日版の最終作は別の作品である。
また、2017年のTBS新シリーズは、渡瀬版の単純な続編というより、キャストと制作体制を刷新した新しいシリーズとして理解すると分かりやすい。
【2026年最新】TBSチャンネルの再放送とU-NEXTの配信状況
渡瀬恒彦が亡くなってからも、シリーズ作品を視聴できる機会は残されている。
TBSチャンネルでは2026年11月も再放送
TBSチャンネルは、渡瀬恒彦主演の『十津川警部シリーズ』を再放送している。
2026年11月上旬の番組表には、次の作品が掲載されている。
- 11月9日:第47作『熱海・湯河原殺人事件』
- 11月9日:第22作『京都・恋と裏切りの嵯峨野』
- 11月10日:第48作『江ノ電に消えた女』
- 11月11日:第49作『特急「しらさぎ」殺人迷路』
放送日時や対象作品は変更される可能性があるため、視聴前にはTBSチャンネルや契約している放送サービスの最新番組表を確認したい。
U-NEXTでは2023年12月に初配信を開始
U-NEXTは2023年12月1日、TBSで過去に放送された名作ドラマの配信を開始した。
その対象に渡瀬恒彦主演の『西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ』が含まれており、第1作から順次配信すると発表された。
このニュースリリースでは、シリーズが全54作であることや、第50作『消えたタンカー』の渡哲也との共演についても紹介されている。
ただし、2026年11月現在の配信継続状況や、全54作がすべて視聴できるかどうかは、2023年の開始告知だけでは判断できない。
U-NEXTの作品検索画面で、配信対象、見放題・レンタルの区分、視聴期限を確認するのが確実だ。
渡瀬恒彦の死去とシリーズのその後
渡瀬恒彦は、2017年3月14日午後11時18分、多臓器不全のため東京都内の病院で亡くなった。享年72歳。
所属していた東映東京撮影所は、3月16日に逝去を発表した。
1970年の映画『殺し屋人別帳』でデビューして以来、映画、ドラマ、舞台など幅広い分野で活躍。『仁義なき戦い』シリーズや『おみやさん』『警視庁捜査一課9係』など、数多くの作品に出演した。
十津川警部シリーズは、渡瀬が亡くなる約2年前の2015年に全54作で完結していた。
そのため、2017年の新シリーズは渡瀬の死去によって突然打ち切られたものではなく、すでに終了していた旧シリーズとは別の新体制としてスタートしたものだ。
【よくある質問】十津川警部シリーズと渡瀬恒彦に関するFAQ
Q1:渡瀬恒彦の十津川警部シリーズは全部で何作ありますか?
A1:TBS版は全54作です。1992年4月13日の『札幌駅殺人事件』から2015年4月13日の『サンライズ出雲の女 消えた似顔絵の女』まで放送されました。
Q2:亀井刑事を演じた俳優は誰ですか?
A2:伊東四朗です。渡瀬恒彦とのコンビは、第1作から最終作まで23年間変わりませんでした。
Q3:渡瀬恒彦版の第50作は何ですか?
A3:2013年放送の『消えたタンカー』です。渡瀬恒彦の実兄である渡哲也が重要人物の元タンカー船長を演じ、兄弟共演が実現しました。
Q4:渡瀬恒彦版の最終作は何ですか?
A4:2015年4月13日放送の第54作『サンライズ出雲の女 消えた似顔絵の女』です。
Q5:2026年現在、渡瀬恒彦版を見る方法はありますか?
A5:TBSチャンネルの再放送や、U-NEXTの配信状況を確認する方法があります。配信対象や放送日時は時期によって変わるため、各サービスの最新情報を確認してください。
【プロの結論】渡瀬恒彦版が今も愛される理由は、変わらない人間関係にある
渡瀬恒彦主演の『十津川警部シリーズ』は、単に54本の推理ドラマを並べた作品群ではない。
1992年から2015年まで、同じ主演俳優と相棒役が築き上げた、23年間のテレビドラマの歴史である。
渡瀬恒彦の冷静で重厚な十津川警部と、伊東四朗の人情味あふれる亀井刑事。2人の個性が互いを引き立て、毎回異なる事件を扱いながらも、作品全体に一貫した魅力を生み出した。
加えて、全国各地の駅や列車、観光地を舞台にすることで、ミステリーと旅行の楽しさを両立させていた点も見逃せない。
初めて見るなら、第1作『札幌駅殺人事件』で原点を知り、第50作『消えたタンカー』でシリーズの成熟を味わい、第54作『サンライズ出雲の女』で最後を見届ける順番がおすすめだ。
2026年になっても再放送や配信を通じて作品に触れられることは、長寿シリーズとしての価値を物語っている。
渡瀬恒彦版の本当の魅力は、事件の謎解きだけではなく、十津川と亀井がともに歩んだ23年間そのものにある。 それこそが、全54作を改めて見返す価値なのだ。
主な事実確認資料
- TBS・U-NEXTのシリーズ全54作、放送開始・終了日、配信開始に関する公式発表。
- TBSチャンネルの第1作、第50作、第54作の番組情報。
- 東映東京撮影所による渡瀬恒彦の逝去発表。
- TBSの2017年新シリーズ公式番組情報。
- テレビ朝日の『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズ完結発表。
- 2026年11月のTBSチャンネル放送予定情報。