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力士の運転禁止はなぜ?1985年の事故から大砂嵐まで、免許取得と引退後の実態を徹底解説

高村 美里 高村 美里 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
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大相撲の現役力士が自分で車を運転できないことを知っていますか。実は、力士の運転禁止は体格が大きくてシートベルトを装着できないからでも、運転席が狭いからでもありません。日本相撲協会が定めた現役力士向けの内規によるものです。

その発端は1985年に起きた水戸泉と蔵間の交通事故でした。その後も闘牙の死亡事故、旭天鵬の人身事故、2018年の大砂嵐による無免許運転問題など、角界では運転禁止に関係する出来事が繰り返されています。では、なぜ免許の取得は認められるのでしょうか。引退後は自由に運転できるのでしょうか。2026年11月時点で確認できる報道や日本相撲協会の説明をもとに、制度の始まりから現在の移動事情まで解説します。

【理由を解説】力士の運転禁止はなぜ?体格やシートベルトの問題ではない

力士運転禁止なぜ

現役力士が車を運転できない最大の理由は、日本相撲協会が定める独自のルールです。一般のドライバーに適用される道路交通法とは別に、相撲界の構成員として守らなければならない内部規則が存在します。

このルールは横綱や大関だけに適用されるものではありません。幕内、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口など、番付にかかわらず現役力士が対象です。つまり、番付が低ければ自分で車を運転してもよい、という例外は基本的にありません。

シートベルトが締められないという説は本当?

力士の運転禁止について、インターネット上では「体が大きくてシートベルトを装着できないから」「運転席でハンドルを操作しにくいから」といった説が見られます。

しかし、これは制度の本来の理由ではありません。2023年3月に掲載された「くるまのニュース」の取材記事では、日本相撲協会の広報担当者が現役時代の運転禁止を認めています。また、体格やシートベルトの問題が禁止理由というわけではないことも説明されています。

制度の歴史をたどると、背景にあるのは力士による交通事故の発生です。1985年に複数の力士が事故を起こしたことをきっかけに、協会は現役力士の運転を原則禁止としました。

法律ではなく相撲協会の内規

ここで押さえておきたいのは、力士の運転禁止は国が定めた職業別の運転禁止法ではないという点です。

運転免許を取得すること自体は認められており、一般の道路交通法上の資格とは別に、現役力士として協会の規則を守る必要があります。したがって、免許を持っていることと、現役中に車を運転してよいことは同じではありません。

この違いを理解すると、免許を取得している力士がいる一方で、自分では運転しないという一見矛盾した仕組みも理解できます。

【1985年の事故が発端】水戸泉と蔵間に何があったのか

力士の運転禁止を語るうえで欠かせないのが、1985年に起きた水戸泉と蔵間の交通事故です。

当時は現在のような一律の運転禁止が定着しておらず、現役力士が自分で車を運転することもありました。しかし、人気力士による事故が相次いだことで、協会は事故防止のために対応を迫られました。

水戸泉は1985年5月に追突事故

1985年5月、当時東前頭2枚目だった水戸泉は、レンタカーを運転中に追突事故を起こしました。日刊スポーツの2018年の報道によると、本人と同乗者がけがを負い、師匠の高砂親方(元横綱・朝潮)から厳重注意を受けています。

この事故は、力士が運転することによる安全上の問題を浮き彫りにしました。水戸泉は後に錦戸親方となり、角界で指導者としても活動しています。

蔵間も同じ1985年に交通事故

もう一人の重要人物が、人気力士として知られた蔵間です。

蔵間も1985年に交通事故を起こしており、水戸泉の事故と相次いで発生したことが運転禁止のきっかけになりました。

この2人の事故を受け、日本相撲協会は現役力士の自動車運転を原則禁止する方針を取りました。単独の事故に対する注意だけではなく、番付を問わず現役力士全体に適用するルールへとつながったのです。

なお、協会が公表した詳細な内規の条文や、1985年当時の制度決定過程のすべてが明らかになっているわけではありません。報道で繰り返し確認されているのは、水戸泉と蔵間の事故が制度の発端になったという経緯です。

【歴代の交通事故一覧】闘牙・旭天鵬・大砂嵐の事件を時系列で検証

1985年に運転禁止が設けられた後も、力士による交通事故はなくなりませんでした。特に、2000年の闘牙の死亡事故と2007年の旭天鵬の人身事故は、内規の実効性を改めて問う出来事でした。

さらに2018年には、大砂嵐が無免許運転による追突事故を起こし、最終的に引退勧告を受けています。

時期 力士・関係者 事故・出来事と処分
1985年5月 水戸泉 レンタカーで追突事故。本人と同乗者が負傷。
1985年 蔵間 交通事故を起こす。2人の事故が運転禁止の発端となる。
1999年1月 安芸乃島 乗用車でオートバイと衝突。相手に右膝のけが。
2000年12月18日 闘牙 歩行者をはねる死亡事故。翌年初場所への出場を辞退し、減俸処分。
2007年4月 旭天鵬 信号待ちの車に追突。相手の運転手が軽傷。夏場所出場停止などの処分。
2018年1月 大砂嵐 無免許運転による追突事故。協会から引退勧告を受ける。

2000年12月18日:闘牙の死亡事故

運転禁止が設けられてからも、1999年には安芸乃島がオートバイとの衝突事故を起こしています。そして2000年12月18日、当時西前頭8枚目だった闘牙が大阪市内で死亡事故を起こしました。

闘牙が運転していた乗用車が歩行者をはね、相手の女性が亡くなりました。日刊スポーツの事故報道では、歩行者側が信号を無視していたことも伝えられています。

事故後、闘牙は2001年初場所への出場を辞退し、3か月間の20%減俸処分を受けました。

この事故が示したのは、現役力士の運転禁止が単に本人のけがを防ぐためだけの問題ではないということです。事故の結果によっては、他人の命や生活にも重大な影響を与えます。力士本人だけでなく、所属部屋や協会全体にも責任問題が及ぶことになります。

2007年4月:旭天鵬の人身事故

2007年4月には、当時東前頭8枚目だった旭天鵬が交通事故を起こしました。

事故は信号待ちをしていた車への追突で、相手の運転手は軽傷を負いました。旭天鵬は力士の運転禁止という内規に違反したとして、直後の夏場所への出場停止処分を受けています。

加えて、本人と師匠の大島親方には3か月間の30%減俸処分が科されました。

この事例で注目したいのは、本人だけでなく師匠にも処分が及んだことです。相撲部屋では師匠が所属力士の生活や行動を指導・管理する立場にあります。力士の交通事故は、個人だけで完結しない問題として扱われているのです。

2018年1月:大砂嵐の無免許運転問題

過去の事例の中でも、特に大きな注目を集めたのが大砂嵐の問題です。

2018年1月3日、大砂嵐は長野県山ノ内町で乗用車を運転し、別の車に追突する事故を起こしました。当初、本人側は妻が運転していたと説明していましたが、その後、警察の捜査で本人が運転していたことが確認され、運転免許を持たない状態だったことも問題になりました。

長野県警は同年2月7日、道路交通法違反(無免許運転)の疑いで大砂嵐を書類送検しました。

日本相撲協会は2018年3月9日の理事会で引退勧告を決定。大砂嵐はこれを受け入れ、引退する意向を示しました。協会側は、運転禁止の内規違反だけでなく、事情聴取に対して運転を否定する説明を繰り返したことも重く受け止めています。

この問題は、現役力士の運転禁止が形式だけの決まりではなく、違反した場合には競技生活そのものに影響する厳しい規則であることを示しました。

【免許取得の真相】現役力士は運転免許を取れる?引退後はどうなる?

ここで多くの人が疑問に思うのが、「運転が禁止されているのに、なぜ免許は取得できるのか」という点です。

実は、日本相撲協会は運転免許の取得まで禁止しているわけではありません。2023年3月の「くるまのニュース」による協会広報への取材では、師匠の確認のもとで免許を取得することは可能と説明されています。

現役力士でも教習所に通える

運転免許を取得すること自体は認められているため、現役中に自動車教習所へ通う力士もいます。

特に引退が近づいた力士にとって、免許取得は将来の生活を考えるうえで実用的な準備になります。引退後に一般企業へ就職したり、自動車を使う仕事に就いたりする場合、運転免許が役立つためです。

ただし、免許を取得したからといって現役中に自分で運転できるわけではありません。師匠の確認を経て免許を取得することと、協会の運転禁止規則に従うことは別の問題です。

引退すれば自分で車を運転できる

現役力士の運転禁止は、現役として活動している期間に適用されるルールです。そのため、引退後は原則として自分で車を運転できます。

元力士が親方になった場合も、現役力士ではなく協会の親方として活動する立場になるため、自動車の運転が可能です。

現役時代に免許を取得しておけば、引退後すぐに自家用車を利用できるという利点があります。引退後の再就職や生活環境の変化を見越して、現役中に資格を準備するという考え方は合理的です。

免許を持っている力士はペーパードライバーになる?

現役中に自分で運転する機会がないため、免許を取得していても運転経験が少なくなる可能性はあります。

ただし、すべての力士が免許を取得しているわけではなく、全員がペーパードライバーだと断定することもできません。取得の有無や運転経験は個人によって異なります。

重要なのは、現役時代の免許取得が運転許可を意味しないという点です。免許証は道路交通法上の資格、運転禁止は相撲協会の内部規則という違いがあります。

【2026年最新】現役力士の運転禁止は現在も継続?普段の移動手段も紹介

では、2026年現在、力士の運転禁止はどうなっているのでしょうか。

2023年3月の日本相撲協会広報担当者への取材では、現役時代は運転禁止であることが明確に説明されています。加えて、2024年以降の報道でも運転禁止を前提とした力士の移動事情が紹介されており、2026年11月時点で一般の現役力士に運転が解禁されたという協会発表は確認できません。

したがって、公開情報で確認できる範囲では、現役力士の運転禁止は現在も継続していると考えるのが妥当です。

力士は普段どのように移動している?

自分で車を運転できない力士は、状況に応じて複数の移動手段を使い分けています。

日本相撲協会への取材を紹介した報道では、力士以外が運転する車や公共交通機関を利用すると説明されています。

  • 運転手付きの自動車:送迎車などを利用して本場所やイベント会場へ移動する。
  • タクシー・ハイヤー:個人で移動する際に利用する。
  • 貸切バス:巡業などで複数の力士がまとまって移動する際に利用する。
  • 電車・新幹線:地方への移動や一般の外出などで利用する。
  • 徒歩:相撲部屋や会場が近い場合には徒歩で移動することもある。

このように、運転禁止だからといって移動に大きな制約があるわけではありません。自分でハンドルを握らなくても、送迎や公共交通機関を利用することで日常生活を送れます。

「相撲列車」は現在も運行している?

力士の移動手段として知られるものに「相撲列車」があります。これは地方場所へ向かう幕下以下の力士や部屋関係者などがまとまって新幹線で移動する際に使われてきた呼び名です。

ただし、2024年1月の日刊スポーツの報道によると、地方場所への集団移動としての相撲列車は2023年の九州場所を最後に廃止されました。一部の巡業では引き続き列車移動が行われるものの、地方場所への移動は各相撲部屋がそれぞれ対応する形になっています。

そのため、2026年現在の移動事情を説明する際に、すべての力士が相撲列車を利用していると考えるのは正確ではありません。

運転禁止という規則は変わらなくても、移動の仕組みは時代とともに変化しています。公共交通機関や送迎車を組み合わせることで、現役力士の移動は成り立っています。

【力士の運転禁止なぜ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:力士はなぜ車を運転してはいけないのですか?

A1:1985年に水戸泉と蔵間が相次いで交通事故を起こしたことがきっかけです。日本相撲協会は事故防止のため、現役力士の運転を原則禁止する内規を設けました。体格やシートベルトの問題が直接の理由ではありません。

Q2:現役力士は運転免許を取得できますか?

A2:取得できます。2023年の日本相撲協会広報担当者への取材では、師匠の確認のもとで免許を取得できると説明されています。ただし、現役中の運転は禁止されています。

Q3:力士は引退したら車を運転できますか?

A3:できます。運転禁止は現役力士に適用されるルールです。引退して親方になった場合も、自動車の運転が可能です。

Q4:横綱や大関も運転禁止の対象ですか?

A4:対象です。番付の上下にかかわらず、現役力士は運転禁止となっています。横綱や大関だから特別に自分で運転できるという制度ではありません。

Q5:運転禁止を破った場合はどうなりますか?

A5:協会による懲戒処分の対象になる可能性があります。2007年の旭天鵬は夏場所出場停止や減俸処分を受け、2018年の大砂嵐は無免許運転問題などを受けて引退勧告を受けました。違反内容や事情によって処分は異なります。

Q6:力士は普段、どうやって移動していますか?

A6:運転手付きの車、タクシー、ハイヤー、貸切バス、電車や新幹線などを利用します。移動する距離や所属部屋、番付、場所によって方法は異なります。

Q7:2026年現在、力士の運転禁止は解除されていますか?

A7:公開されている協会の説明や近年の報道では、現役力士の運転禁止が継続しています。一般の現役力士を対象にした運転解禁の発表は確認できません。

まとめ:力士の運転禁止は事故防止を目的とした相撲界独自のルール

力士が自分で車を運転できない理由は、体格の大きさやシートベルトの問題ではありません。1985年に水戸泉と蔵間が相次いで交通事故を起こしたことを背景に、日本相撲協会が現役力士の運転を原則禁止したことが始まりです。

その後も闘牙の死亡事故、旭天鵬の人身事故、大砂嵐の無免許運転問題などが発生し、運転禁止の内規は現在まで続いています。特に大砂嵐の事例は、規則違反に加えて無免許運転や協会への説明の問題が重なり、引退勧告に至った点で象徴的でした。

一方、現役力士が運転免許を取得することは認められています。師匠の確認を得て免許を取得し、引退後の仕事や生活に備えることができるのです。引退すれば自動車の運転も可能になります。

2026年現在も、現役力士は送迎車やタクシー、公共交通機関などを使って移動しています。運転禁止は不便な慣習というだけではなく、交通事故による本人や第三者への被害、相撲部屋や本場所への影響を防ぐための管理ルールという側面があります。

力士の運転禁止を理解するうえで大切なのは、「免許が取れない」のではなく「現役中は運転できない」という区別です。この違いこそが、相撲界独自のルールを正しく理解するポイントです。

主な根拠資料:日刊スポーツ(1985年以降の事故記録、闘牙・旭天鵬・大砂嵐の処分、2024年の相撲列車廃止報道)、デイリースポーツ(2018年の事故経緯)、くるまのニュース(2023年の日本相撲協会広報への取材)。

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デジタルマーケター 高村 美里
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暮らし・レシピのテーマを担当。公的機関の資料やメーカー公式の表示を参照し、手順は再現できる形で整理します。

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