2026年7月18日、京都アニメーション第1スタジオ放火事件から7年が経過した。
事件を忘れず、亡くなったスタッフの存在と、世界各地から寄せられた支援や祈りを後世に伝える取り組みとして、2024年に設置されたのが「志を繋ぐ碑」だ。
「志を繋ぐ碑」は宇治市の歴史公園に設置
2024年7月14日公開
碑が設置された場所は、京都府宇治市の市立「お茶と宇治のまち歴史公園」。
京都アニメーションや事件で被害に遭われた方のご家族、関係者らの思いを受け、宇治市に寄贈されたものだ。
ここで注意したいのは、宇治市がこの碑を一般的な慰霊碑とは区別している点である。
「志を繋ぐ碑」は、犠牲者の存在だけでなく、事件に関わったすべての人々の志や、世界中から寄せられた支援への感謝を長く記憶に留める象徴として設置された。
宇治市は、碑への献花や供物を控えるよう呼びかけている。
2026年の追悼式は一般参加できるのか
京都アニメーションは2026年7月14日付の公式発表で、7月18日に第1スタジオ跡地で関係者のみによる追悼式を予定していると説明した。
同時に、次の対応を明らかにしている。
- 第1スタジオ跡地付近への訪問は引き続き控える。
- 「志を繋ぐ碑」で特別な追悼行事は実施しない。
- 公式YouTubeチャンネルでの追悼映像の配信は行わない。
- 近隣住民や公園利用者への配慮を求める。
つまり、2026年も一般ファンが第1スタジオ跡地に集まって追悼する形式は取られていない。
第1スタジオの敷地は、許可のない立ち入りが禁止されている。周辺も住宅地であり、撮影や長時間の滞在、花や食べ物を置く行為なども控えるよう公式サイトが案内している。
事件を悼む気持ちは、現地を訪れることだけで表現されるものではない。公園の碑を訪れる場合も、施設の利用ルールと周辺への配慮を守ることが大切だ。
【宇治市木幡を拠点とする制作体制】京アニの現在の仕事と人材育成

現在の京都アニメーションを理解するうえで、もう一つ重要なのが制作体制だ。
京アニは、宇治市木幡に本社を置き、京都と大阪を拠点にアニメーション制作を行っている。
1981年の創業、1985年の会社設立以来、スタッフの成長とともに制作技術を蓄積してきた。
企画から撮影まで社内で手がける制作モデル
京都アニメーションの公式事業紹介によると、同社は次のような工程のほとんどを社内で行っている。
1. 企画・演出
2. 作画
3. ペイント
4. 美術・背景制作
5. 3DCG
6. 撮影
それぞれの専門分野を担当するクリエイターが社内に集まり、映像制作に取り組む仕組みだ。
これは京アニの大きな特徴である。
一般にアニメーション制作では、作品の規模や工程によって複数の会社や外部スタッフが参加する。京アニの場合は主要工程の多くを社内に集約することで、制作チームが共通の方針や表現を追求しやすい。
もちろん、すべての工程を完全に社内だけで完結させているという意味ではない。公式の説明も「制作工程のほとんどを社内で行う」というものだ。
この体制は、繊細な人物描写や背景表現、細部まで作り込まれた映像を特徴とする京アニ作品を理解するうえでも重要になる。
京都アニメーションのプロ養成塾は現在も続いている
京アニの活動を考えるうえで、作品制作と同じくらい注目したいのが「京都アニメーション プロ養成塾」だ。
同社は、人材育成を作品づくりにつなげる方針のもと、アニメーター科と美術・背景科を設けている。
公式案内によると、現役のプロクリエイターが講師を務め、実際の制作現場で必要となる技術を指導する。
1年間の授業に加え、制作現場でのインターンシップなどを通して実践力を養う仕組みだ。卒塾後も自動的に京アニへ入社できるわけではなく、別途入社テストに合格する必要がある。
2026年11月時点の募集情報にも具体的な動きがある。
第36期生のアニメーター科は、2027年4月から2028年3月までの1年間を予定。応募資格は満18歳以上25歳以下で、高等学校卒業以上とされている。
応募書類の提出期限は2026年11月9日必着。事前のエントリー受付は10月29日までとなっているため、11月5日時点では、すでにエントリーした応募者の書類提出段階に入っている。
こうした人材育成は、京アニの将来を考えるうえで見逃せない。
作品を完成させるだけでなく、作画や美術の技術を次の世代に伝える。制作会社としての長期的な継続性を支える取り組みでもある。
京アニショップは現在どうなっている?
京アニ作品の関連グッズを購入したい場合は、公式の「京アニショップ!」通販サイトが利用できる。
キャラクターグッズだけでなく、画集や制作素材を生かした商品、ダウンロードコンテンツなども取り扱っている。イベントでの販売や一般販売店への卸も行われている。
一方、混同しやすいのが実店舗の営業状況だ。
京都アニメーションの公式案内によれば、実店舗の「京アニ&Doショップ!」は2022年3月14日に閉店している。
したがって、現在のグッズ購入先として案内されているのは通販サイトであり、旧実店舗へ行けば商品を購入できるというわけではない。
【2026年の新作情報】『最終楽章 響け!ユーフォニアム』と『二十世紀電氣目録』に注目
2026年の京都アニメーションを象徴する作品として、特に注目されるのが次の2企画だ。
『最終楽章 響け!ユーフォニアム』
前編:4月24日/後編:9月11日
10年にわたり描かれてきたシリーズの完結作。久美子たちの物語が劇場作品として締めくくられる。
『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』
2026年7月5日スタート
KAエスマ文庫の小説を原作とするテレビアニメ。京アニの新たな物語表現に注目が集まる。
1. 『最終楽章 響け!ユーフォニアム』はシリーズ完結へ
『響け!ユーフォニアム』は、吹奏楽に打ち込む高校生たちの青春と成長を描いたシリーズだ。
2024年放送の『響け!ユーフォニアム3』でテレビシリーズが最終回を迎え、2026年には劇場版の『最終楽章』として物語の完結が描かれる。
前編は2026年4月24日、後編は2026年9月11日に公開された。
制作スタッフにも注目したい。
- 総監督:石原立也
- 監督:小川太一
- 脚本:花田十輝
- キャラクターデザイン:池田晶子、池田和美
- 音楽:松田彬人
京都アニメーションの公式作品情報にも、これらのスタッフが掲載されている。
今回の劇場版は、テレビシリーズの映像をそのまま再編集した作品ではない。
公式作品紹介では、本編カットのブラッシュアップに加え、新たなシナリオや追加シーン、テレビシリーズでは描かれなかった演奏シーンなどを盛り込むことが説明されている。
長年シリーズを支えてきた制作チームが、劇場作品として物語を完成させる企画だ。
2026年11月5日現在も公式サイトは活発に更新されている。
11月2日には後編の第9週目入場者プレゼントの再配布が発表され、11月3日には11月28日の前夜祭オールナイト上映や11月29日のフィナーレ舞台挨拶に関する情報も公開された。
公開後も上映やイベントが続いていることから、シリーズの完結に向けた展開はまだ続いている。
2. 『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』は京アニの新たな挑戦
もう一つの大きな注目作が『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』だ。
本作は結城弘による小説『二十世紀電氣目録』を原作とし、京都アニメーションのレーベルであるKAエスマ文庫から生まれた作品である。
公式作品情報による主なスタッフは以下のとおり。
- 原作:結城弘
- 監督:太田稔
- シリーズ構成:浦畑達彦
- キャラクターデザイン・総作画監督:岡村公平
- 音楽:湖東ひとみ
- アニメーション制作:京都アニメーション
テレビ放送は2026年7月5日にスタート。ABCテレビ、TOKYO MX、テレビ愛知、BS11で放送され、Netflixでは世界独占配信が行われている。
この作品が注目される理由は、京アニのオリジナル出版レーベルから生まれた物語を、自社のアニメーション制作につなげている点にもある。
原作の発信、映像化、関連商品の企画など、複数の事業を持つ京都アニメーションならではの作品展開といえる。
3. 2025年の『CITY THE ANIMATION』と『小林さんちのメイドラゴン』
2026年の新作だけでなく、前年の作品も現在の京アニの制作力を知る手がかりになる。
『CITY THE ANIMATION』
あらゐけいいちの漫画『CITY』を原作とするテレビアニメ。監督は石立太一、アニメーション制作は京都アニメーションが担当した。
日常の中にある不思議な出来事や、個性的な登場人物たちが織りなすコメディーが特徴だ。公式作品一覧では2025年の作品として掲載されている。
映画『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』
こちらは2025年6月27日に公開された劇場作品だ。
原作はクール教信者。監督は石原立也、脚本は山田由香、キャラクターデザイン・総作画監督は門脇未来が担当し、京都アニメーションが制作した。
物語では、幼いドラゴンのカンナと、その父親キムンカムイを中心に、家族や絆をテーマにしたドラマが描かれる。
この2作品を2026年の新作と混同しないことも大切だ。
京アニの公式作品一覧では、2025年と2026年が明確に分けられている。検索結果だけで情報を判断すると、公開年や制作状況を取り違える可能性がある。
【京アニの今後とよくある誤解】現在の活動を正しく理解するポイント
ここまでの情報から見えてくるのは、京都アニメーションが事件前とまったく同じ状態に戻ったという単純な話ではないということだ。
事件による甚大な被害と、失われた人材や技術の継承という課題は、作品が公開されるようになったからといって消えるものではない。
一方、2025年の複数作品、2026年のシリーズ完結作と新規テレビアニメ、そしてプロ養成塾の募集など、現在の活動には継続性が認められる。
誤解しやすい5つのポイント
| よくある疑問・誤解 | 公式情報に基づく整理 |
|---|---|
| 京アニは現在もアニメを作っている? | はい。2026年も新作の制作・公開を続けている。 |
| 第1スタジオ跡地は自由に訪問できる? | いいえ。会社は訪問自粛を要請し、敷地内への無断立ち入りも禁止している。 |
| 追悼碑は慰霊碑なの? | 宇治市は「慰霊碑ではない」と説明している。 |
| 京アニの実店舗は営業している? | 京アニ&Doショップ!は2022年に閉店。公式通販が案内されている。 |
| 京都アニメーション大賞は開催中? | 2020年8月に休止が告知され、公式案内でも休止中となっている。 |
【プロの結論】京アニの現在を判断する3つの視点
京アニの現在を評価するとき、作品の公開本数だけを見るのでは十分ではない。
注目すべき要点は3つある。
第一に、制作技術を社内に蓄積する仕組み。
企画から撮影まで主要な工程を社内で担う制作体制は、京アニの特徴であり、作品の品質を支える基盤でもある。制作工程の継続とスタッフの育成は、長期的な競争力に直結する。
第二に、作品と人材育成を結びつける仕組み。
プロ養成塾を通じて、アニメーション制作の技術を次の世代へ伝えている点は重要だ。単に現在の作品を完成させるだけでなく、将来の制作を担う人材を育てる取り組みが続いている。
第三に、過去の作品の継承と新しい企画の両立。
『響け!ユーフォニアム』のような長期シリーズを完結へ導く一方、『二十世紀電氣目録』のような新しい物語にも取り組んでいる。
この2つを並行して進める姿勢は、京アニが既存のファンを大切にしながら、新しい視聴者にも作品を届けようとしていることを示している。
今後の動向を判断するなら、単発のニュースやSNSの噂よりも、公式の作品情報、採用情報、プロ養成塾の募集状況、イベント発表を継続して確認するのが確実だ。
京アニの今後を追うなら確認したい情報
- 新作の公開・放送スケジュール
- 公式作品一覧の更新
- プロ養成塾の募集と教育活動
- 京アニショップ!の通販・商品情報
- 事件に関する公式発表と追悼案内
なお、京都アニメーション大賞の休止と、プロ養成塾の募集は別の制度である。大賞が休止中だからといって、クリエイター育成の取り組みまで停止しているわけではない。
【京アニの現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:京都アニメーションは2026年現在も活動していますか?
はい。2026年11月現在もアニメーション制作を続けている。『最終楽章 響け!ユーフォニアム』や『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』などの作品を展開している。
Q2:京アニの第1スタジオ跡地は見学できますか?
一般向けの見学施設ではない。京都アニメーションは、跡地への訪問を控えるよう呼びかけている。敷地内への無断立ち入りも禁止されている。追悼の思いを伝えたい場合は、宇治市の「志を繋ぐ碑」に関する案内を確認したい。
Q3:京アニの追悼碑はどこにありますか?
京都府宇治市の市立「お茶と宇治のまち歴史公園」に設置されている。2024年7月14日に公開された。宇治市は献花や供物を控えるよう案内している。
Q4:2026年の京アニの代表的な新作は何ですか?
『最終楽章 響け!ユーフォニアム』と『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』が代表的な注目作だ。前者は劇場版として2026年4月と9月に前後編が公開され、後者は7月5日からテレビ放送・Netflix配信が始まった。
Q5:『CITY THE ANIMATION』と『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』は2026年の新作ですか?
どちらも2025年の作品だ。『CITY THE ANIMATION』はテレビアニメ、『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』は2025年6月27日公開の劇場映画である。
Q6:京アニショップの実店舗は現在も営業していますか?
「京アニ&Doショップ!」は2022年3月14日に閉店している。オリジナルグッズの購入先として、公式通販サイトが案内されている。
まとめ:京アニは作品づくりと人材育成を続けている
2026年11月現在の京都アニメーションは、2019年の第1スタジオ放火事件によって大きな犠牲を経験しながらも、アニメーション制作を継続している。
宇治市木幡の本社を中心とする制作体制、社内で培われてきた技術、プロ養成塾による人材育成、そして新作の展開。これらが現在の京アニの活動を形づくっている。
特に2026年は、『最終楽章 響け!ユーフォニアム』がシリーズの完結を迎え、『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』という新たな物語も映像化された節目の年だ。
一方、事件から7年が経過しても、犠牲となった人々への追悼と記憶の継承は続いている。第1スタジオ跡地への訪問自粛や「志を繋ぐ碑」の利用案内には、遺族、関係者、地域住民への配慮が込められている。
京アニの現在を知るうえで大切なのは、事件の記憶と、現在進行形の作品づくりを切り離さずに見ることだ。
これまで積み重ねてきた表現技術を守りながら、新しい作品と次世代のクリエイターを育てていく。その歩みこそが、2026年の京都アニメーションを理解するための重要な手がかりとなる。