高校生になって初めてアルバイトに応募する際、最初の大きな関門となるのが「履歴書の作成」です。「中学校の卒業年月がわからない」「学歴欄には在学中と書くのか」「志望動機や自己PRに書く経験がない」など、記入用紙を前に手が止まってしまう高校生は少なくありません。文部科学省の学校基本統計や各種アルバイト情報機関の調査でも、高校生のアルバイト応募において採否を大きく分ける要因として「書類の丁寧さ」や「シフト希望の明確さ」が常に上位に挙げられています。
採用側の店長や担当者は、高校生に対して職歴や華々しいスキルを求めているわけではありません。見ているのは「基本的なルールを守れるか」「約束したシフト通りに誠実に働いてくれるか」という人柄と熱意です。本稿では、学歴欄の正しい書き方や志望動機の文例、証明写真の撮影マナーから面接当日の手渡し方まで、採用担当者の視点に基づいた実践的なノウハウを解説します。
【用紙選びと準備】高校生が初めて買うべき履歴書と筆記用具の基本ルール

アルバイト応募用の履歴書には複数の規格が存在します。文房具店やコンビニエンスストア、100円ショップの店頭には「JIS規格(一般就職用)」「転職用」「パート・アルバイト用」が並んでいますが、高校生が選ぶべきなのは「アルバイト・パート用」と記載された履歴書です。転職用やJIS規格の履歴書は職歴欄が広く作られており、アルバイト経験のない高校生が使うと空白が目立ってしまいます。アルバイト用であれば、学歴・職歴欄がコンパクトで、シフト希望や自己PR欄が書きやすいレイアウトになっています。
筆記用具は、黒のボールペン(0.5mmまたは0.7mm)を使用します。水に濡れても滲みにくい油性またはゲルインクの水性顔料インクが適しています。消せるボールペン(フリクションタイプ)や鉛筆、シャープペンシルは熱や摩擦で文字が消えてしまうリスクがあるため、公式な書類では絶対に使用してはいけません。万が一書き間違えてしまった場合は、修正ペンや修正テープで消すのではなく、新しい用紙に最初から書き直すのが採用書類における基本マナーです。書き損じを防ぐため、あらかじめ別の紙に下書きを用意するか、鉛筆で薄く下書きをしてから清書し、インクが完全に乾いたあとに消しゴムを丁寧にかける手法が確実です。
【学歴・職歴欄の書き方】「在学中」表記と卒業年度がすぐわかる早見表
高校生が最も間違いやすいのが「学歴・職歴」の記載順と年号の統一です。最初に、一行目の中央に「学歴」と記載し、義務教育の修了である「中学校の卒業」から書き始めるのが標準的なルールです。小学校の入学や卒業まで遡って記載する必要はありません。学校名は「○○中」「○○高」と省略せず、「○○市立○○中学校」「○○県立○○高等学校」のように正式名称で正確に記入します。
高校の学歴は、入学年月を記入した次の行に現在の状況を記します。高校生はまだ卒業していないため、「私立○○高等学校 全日制普通科 在学中」と明記するのが正しい表記です。学歴の記入が終わったら、1行空けて中央に「職歴」と書き、職歴がない場合は次の行の左端に「なし」、その右下に「以上」と右寄せで記入します。元号(令和)で書くか西暦で書くかは、書類全体で統一されていれば問題ありませんが、公的書類では元号表記が一般的に好まれます。
| 学年・ステータス(2026年時点) | 中学校卒業年月 | 高等学校入学年月 | 高等学校現在の表記 |
|---|---|---|---|
| 高校1年生(2010年4月2日〜2011年4月1日生) | 令和8年(2026年)3月 卒業 | 令和8年(2026年)4月 入学 | ○○高等学校 ○○科 在学中 |
| 高校2年生(2009年4月2日〜2010年4月1日生) | 令和7年(2025年)3月 卒業 | 令和7年(2025年)4月 入学 | ○○高等学校 ○○科 在学中 |
| 高校3年生(2008年4月2日〜2009年4月1日生) | 令和6年(2024年)3月 卒業 | 令和6年(2024年)4月 入学 | ○○高等学校 ○○科 在学中(※卒業見込みも可) |
高校3年生の後半で、卒業後も継続して勤務することを前提とした応募の場合は、「在学中」の代わりに「令和9年(2027年)3月 卒業見込み」と記載することもありますが、高校在学中の短期・通常アルバイトであれば「在学中」の記述で十分伝わります。
【写真と服装】スマホ自撮りはNG!清潔感で差がつく証明写真の撮り方
履歴書の第一印象を左右するのが証明写真です。サイズは縦40mm×横30mm(4cm×3cm)の標準規格であり、撮影から3ヶ月以内に撮影した正面・無帽・背景無地の写真を使用します。スマートフォンでの自撮り写真を自宅プリンターで印刷したものは、画質やアングルの観点から採用担当者に悪印象を与えかねないため、スピード写真機(街頭の証明写真ボックス)や写真館で撮影したものを推奨します。
服装は、高校生の場合「清潔感のある学校の制服」または「白無地のシャツ・ポロシャツ」が最適です。制服を着用する場合は、ネクタイやリボンを正しい位置で結び、第一ボタンを留めるなど校則に準じた正しい着こなしを心がけてください。私服で撮影する場合は、派手な柄物やパーカー、Tシャツは避け、無地の襟付きシャツを選ぶのが無難です。髪型は目元や眉が隠れないように整え、長い髪は後ろで束ねることで、表情が明るく誠実な印象に仕上がります。万が一履歴書から写真が剥がれてしまった場合に備え、写真の裏面に「氏名」と「在籍高校名」を油性マジックで小さく記入してから糊付けするのが採用実務上の大切な心得です。
【志望動機・自己PR例文】未経験でも好印象を与える実践パターン
アルバイトの採用担当者が高校生の志望動機でチェックしているのは、「なぜ他店ではなくこの店なのか」という関心度と、「途中で投げ出さずに続けてくれそうか」という継続性です。立地や時給だけを理由にするのではなく、普段から店舗を利用している親しみや、自分の得意分野を絡めて具体的に記載します。
飲食店・カフェ向けの志望動機例文:
「普段から家族や友人と貴店を利用しており、いつも店員さんが笑顔で温かく迎えてくださる姿に憧れ、私もお客様を笑顔にする接客を学びたいと思い応募いたしました。学校では吹奏楽部に所属し、周囲と協力しながら一つの曲を作り上げるチームワークを培ってきました。持ち前の明るさと元気を生かし、ホールスタッフとして丁寧なサービスを提供できるよう努力いたします。」
コンビニ・スーパー・小売店向けの志望動機例文:
「自宅から近く、学業や部活動と両立しながら責任を持って継続して勤務できると考え志望いたしました。貴店は商品の並びが見やすく、スタッフの方々の迅速なレジ対応が印象的です。コツコツと集中して作業に取り組むことが得意ですので、商品の品出しや清掃作業などにも責任感を持ち、正確かつ迅速に業務をこなせるよう貢献したいです。」
自己PRの組み立て方:
自己PRでは、特別な表彰実績がなくても「挨拶ができる」「時間を守る」「3年間部活を継続した」「整理整頓が得意」といった日常の強みで十分です。「私の長所は約束を守ることです。中学・高校の4年間、一度も遅刻や無断欠席をしたことがありません。アルバイトでもシフトの時間を厳守し、任せていただいた仕事に誠実に取り組みます」というように、具体的なエピソードと行動規範をセットで伝えることで、採用側の安心感につながります。
【本人希望欄とその他項目】資格・扶養家族・保護者の同意の正しい書き方
履歴書の後半にある項目も、適当に埋めるのではなくルールに従って記載します。空欄のまま提出すると「記入漏れ」と判断されるリスクがあるため、すべての枠に意図を持って記入することが鉄則です。
免許・資格欄:
英検(実用英語技能検定)や漢検(日本漢字能力検定)の3級以上、珠算検定、パソコン関連の資格を所持している場合は正式名称で記入します(例:「実用英語技能検定 3級 取得」)。特にアピールできる資格がない場合は、空欄にせず「特になし」と中央に記入します。
本人希望記入欄:
「給与は時給1,200円以上希望」といった個人的な条件を書く欄ではありません。学業と両立する高校生の場合、勤務可能な曜日と時間帯、連絡のつく時間帯を明記します。特段の制約がない場合でも「貴社の規定に従います」と記載するのがビジネスマナーです。
(記載例:平日は学校があるため17:00〜21:00、土曜・日曜・祝日は終日勤務可能です。学業の都合上、テスト期間中は事前にご相談させていただきたく存じます。)
扶養家族欄・保護者の同意:
高校生は通常、両親の扶養に入っている立場であるため、配偶者欄は「無」、扶養家族数(配偶者を除く)は「0人」と記入します。また、労働基準法において満18歳未満の年少者の就労には一定の制限が設けられており、多くのアルバイト先で「保護者(親権者)の同意」が大切です。履歴書に「保護者同意欄」が設けられている場合は、必ず保護者に直筆で署名・捺印をもらいましょう。
【提出と面接当日】折れを防ぐ封筒マナーと手渡しの所作
書き終えた履歴書をそのままポケットやカバンに無造作に入れて持参するのは厳禁です。書類が折れたり汚れたりするのを防ぐため、A4サイズが入る透明なクリアファイルに挟み、白無地の封筒(角形A4号または角型2号)に入れます。封筒の表面左下に赤ペンで「履歴書在中」と四角い枠線で囲んで記入し(最初から印字されている封筒を使っても可)、裏面左下に応募者の「郵便番号・住所・氏名・在籍高校名」を黒のペンで丁寧に記載します。
面接当日に手渡しする場合、封筒の口に糊付け(のりづけ)をする必要はありません。面接室に入室し、担当者から「履歴書を拝見できますか」と声をかけられたら、封筒からクリアファイルを取り出し、封筒の上に重ねて相手から文字が読める正面の向きにして両手で差し出します。その際、「こちらが私の履歴書です。本日はよろしくお願いいたします」と一言添えて一礼することで、ビジネスマナーの基礎がしっかりと備わっている印象を与えることができます。
【高校生履歴書書き方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:印鑑(ハンコ)を押す枠がない履歴書でも捺印は必要ですか?
A1:押印欄が設けられていない履歴書であれば、捺印する必要はありません。近年販売されている履歴書の多くは押印欄が廃止されています。ただし、用紙に「印」マークや押印用の円枠がある場合は、枠の中央にかすれや滲みがないよう認印を真っ直ぐ丁寧に押してください。
Q2:部活動や委員会に入っていなかった場合、自己PRには何を書けばいいですか?
A2:部活動の経験がなくても全く問題ありません。「趣味で続けている読書やイラスト制作における集中力」「日頃から友人の話をじっくり聞く傾聴力」「学校を休まず通い続けている健康管理力」など、日常生活や得意な科目、家庭での役割を題材にして、誠実さや継続力をアピールすれば十分に高評価を得られます。
Q3:校則でバイトが原則禁止されている高校の場合、履歴書にどう書くべきですか?
A3:履歴書自体に校則について書く必要はありませんが、学校の許可証が必要な場合は、応募前に必ず学校側から「アルバイト許可証」を取得しておく必要があります。許可なく働いて後から発覚した場合、学校からの指導だけでなく勤務先にも迷惑がかかるため、面接時に「学校の許可を得て応募しています」と口頭で伝えられる状態にしておきましょう。
まとめ:誠実さと丁寧さが伝わる書類で第一歩を踏み出そう
高校生のアルバイト採用において、店長や採用担当者が最も重視しているのは、職歴の華やかさではなく「丁寧に取り組む姿勢」と「誠実な人柄」です。誤字脱字のない丁寧な文字、清潔感のある写真、空欄のないしっかり埋められた記入欄は、それだけで「約束を守り、責任感を持って仕事をしてくれる人物」という大きな安心感を採用側に与えます。
初めての履歴書作成には戸惑うことも多いですが、早見表で年号を確認し、自分の言葉で働く意欲を伝えれば、採用への距離はぐっと縮まります。本稿で紹介した手順とマナーを一つずつ確認しながら、自信を持って面接へ臨んでください。