青色1号(ブリリアントブルーFCF)は、清涼飲料水やキャンディー、冷菓などに鮮やかな青色を付けるために使用される合成着色料です。日本では食品添加物として使用が認められており、厚生労働省と消費者庁が公表した2024年版「第10版食品添加物公定書」にも成分規格や使用上の取り扱いが収載されています。
気になるのは、青色1号に発がん性があるのか、長期間食べ続けても問題ないのかという点でしょう。WHOとFAOの合同専門家会議JECFAは2017年に一日摂取許容量(ADI)を再評価し、体重1kg当たり0~6mgという基準を設定しました。2026年11月時点でも、この評価が同物質の最新のJECFA評価として掲載されています。
【青色1号とは?】ブリリアントブルーFCFの正体と食品添加物としての役割

青色1号は、食品の見た目を調整するために使われる合成着色料です。正式な食品添加物名は「食用青色1号」、一般名は「ブリリアントブルーFCF(Brilliant Blue FCF)」といいます。
日本の食品添加物の分類ではタール色素に属し、トリフェニルメタン系の化学構造を持つ水溶性の色素です。CAS登録番号は3844-45-9、国際的な食品添加物番号はINS 133です。
青色1号の基本情報
- 日本での名称:食用青色1号
- 一般名:ブリリアントブルーFCF
- 英語表記:Brilliant Blue FCF
- CAS番号:3844-45-9
- INS番号:133
- 用途:食品の着色
- 分類:合成タール色素
- 分子式:C37H34N2Na2O9S3
青色1号の主な役割は、食品に鮮やかな青色を付けることです。保存料や甘味料とは異なり、食品の腐敗を防いだり、甘みを加えたりする目的では使用されません。
また、青色1号にはアルミニウムレーキと呼ばれる形態もあります。これは色素をアルミニウム塩などと組み合わせて水に溶けにくくした製剤形態で、通常の青色1号とは物理的な性質や使用方法が異なります。
消費者が原材料表示を確認する際には、青色1号そのものだけでなく、青色1号アルミニウムレーキも関連する着色料として理解しておくとよいでしょう。
【どんな食品に使われる?】青色1号の使用食品と日本の使用基準
青色1号は、食品に青色や青紫色の印象を与えるために使用されます。特に、水に溶けやすく、鮮明な発色を得やすいことから、飲料や菓子類などの着色に利用されています。
青色1号が使われる代表的な食品
WHOのJECFA関連資料では、ブリリアントブルーFCFの使用例として、シリアル、ケーキ、カップケーキ、キャンディー、チューインガム、乳製品、製菓用デコレーション、フレーバーウォーター、冷菓などが挙げられています。
日本国内でも、日立ハイテクの分析技術資料では、清涼飲料水やキャンディーが食用青色1号の使用例として紹介されています。
具体的には、次のような商品カテゴリーで使用される可能性があります。
- 青色や青紫色の清涼飲料水
- キャンディーや砂糖菓子
- チューインガム
- アイスクリームやシャーベットなどの冷菓
- ケーキや洋菓子の装飾部分
- 製菓用の着色材料
ただし、これらは使用例であり、すべての商品に青色1号が含まれているわけではありません。実際に使用されているかどうかは、個々の商品に記載された食品添加物表示で判断する必要があります。
第10版食品添加物公定書に記載された使用禁止食品
青色1号は日本で使用できる食品添加物ですが、どのような食品にも自由に添加できるわけではありません。
2024年版の第10版食品添加物公定書では、食用青色1号について、使用してはならない食品が具体的に列挙されています。食用青色1号アルミニウムレーキにも同様の制限があります。
主な使用禁止食品は次のとおりです。
- カステラ、スポンジケーキ
- きなこ
- 魚肉漬物、鯨肉漬物、食肉漬物
- こんぶ類、わかめ類
- しょう油、みそ
- 食肉、鮮魚介類(鯨肉を含む)
- 茶、のり類
- マーマレード
- 豆類、野菜
- めん類(ワンタンを含む)
ここで注意したいのは、これらが「青色1号を使用してはならない食品」であって、「食べると青色1号による健康被害が発生する食品」という意味ではないことです。
例えば、しょう油やみそに青色1号を添加することは禁止されていますが、これは着色料の使用に関する規制です。しょう油やみそそのものを避けなければならないという意味ではありません。
また、日本の規制は海外の使用基準と同一ではありません。海外で認められた食品カテゴリーや最大使用量を、そのまま日本国内の基準として扱うことはできません。
【青色1号と青色2号の違い】成分・用途・ADIを徹底比較
青色1号と青色2号は、どちらも日本で使用が認められている青色系の食品添加物です。しかし、名称が似ているだけで、化学的な性質や国際的な評価番号は異なります。
特に、青色1号はブリリアントブルーFCF、青色2号はインジゴカルミンという別々の色素です。安全性評価を比較する際にも、この違いを理解しておく必要があります。
| 比較項目 | 青色1号 | 青色2号 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 食用青色1号 | 食用青色2号 |
| 一般名 | ブリリアントブルーFCF | インジゴカルミン |
| 英語名 | Brilliant Blue FCF | Indigo Carmine |
| CAS番号 | 3844-45-9 | 860-22-0 |
| INS番号 | 133 | 132 |
| 化学的分類 | トリフェニルメタン系 | インジゴ系 |
| JECFA評価年 | 2017年 | 2018年 |
| JECFAのADI | 0~6mg/kg体重/日 | 0~5mg/kg体重/日 |
| 日本での用途 | 食品の青色着色 | 食品の青色着色 |
出典:WHO・FAO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の評価データベース、厚生労働省・消費者庁の食品添加物関連資料。
ADIが異なる理由
JECFAが設定したADIは、青色1号が体重1kg当たり0~6mg、青色2号が体重1kg当たり0~5mgです。
この数字だけを見ると青色1号のほうが多く摂取できるように感じますが、ADIの大小だけで添加物の安全性を順位付けすることは適切ではありません。
それぞれ異なる化学物質であり、毒性試験の結果、無毒性量、不確実係数などを踏まえて個別に評価されているためです。
海外の名称には注意が必要
もう一つ知っておきたいのが、国際的な化学物質の別名と日本の食品添加物番号が必ずしも一致しないことです。
WHOのJECFAデータベースでは、ブリリアントブルーFCFの別名として「C.I. Food Blue 2」が掲載されています。一方、日本の食用青色2号はインジゴカルミンです。
このような名称の違いがあるため、海外資料を読む場合は名称だけで判断せず、CAS番号やINS番号まで照合が必要です。
【青色1号の安全性と発がん性】JECFAの評価と人体への影響
青色1号について調べる人が最も気にするのは、発がん性や長期的な健康への影響でしょう。
この問題を考えるうえで重要なのが、WHOとFAOが合同で運営するJECFA(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)の評価です。JECFAは食品添加物の毒性や摂取量を科学的に検討する国際的な専門家委員会です。
2017年のJECFA評価でADIは0~6mg/kg体重に設定
JECFAは2017年の第84回会合で、ブリリアントブルーFCFの安全性を再評価しました。
評価の基礎となった長期毒性試験では、ラットを用いた試験から、無毒性量(NOAEL)として体重1kg当たり1日631mgが確認されました。
一方、体重の減少や雌の生存率低下が認められた高用量群の摂取量は、体重1kg当たり1日1,318mgでした。
JECFAは、動物と人間の違いや個人差を考慮するため、不確実係数100を適用。その結果、青色1号のADIを0~6mg/kg体重/日と設定しました。
ADIとはAcceptable Daily Intakeの略で、日本語では一日摂取許容量と呼ばれます。人が生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと考えられる一日当たりの摂取量を意味します。
体重別に見る一日摂取許容量
ADIを体重に当てはめると、次のようになります。
- 体重20kg:120mg/日
- 体重30kg:180mg/日
- 体重50kg:300mg/日
- 体重60kg:360mg/日
- 体重70kg:420mg/日
例えば体重60kgの成人の場合、ADIは360mg/日という計算になります。
ただし、この数字は食品に含まれる青色1号の濃度や、実際に摂取する食品の量を示すものではありません。また、毎日この量を摂取することを推奨しているわけでもありません。あくまで長期的な安全性評価に用いられる指標です。
JECFAは発がん性をどう評価したのか
WHOが2019年に公表した「WHO Food Additives Series 75」には、第84回JECFAによるブリリアントブルーFCFの毒性評価が収録されています。
同資料では、マウスやラットを用いた複数の長期毒性試験が検討されています。長期間の摂取試験では、青色1号に起因する腫瘍の増加を示す一貫した証拠は認められませんでした。
加えて、JECFAは利用可能な試験結果に基づき、ブリリアントブルーFCFについて発がん性および遺伝毒性の懸念はないと結論付けています。
したがって、2026年時点で確認できるJECFAの評価から、青色1号を通常の食品添加物として摂取することが発がんにつながると判断する根拠は示されていません。
ただし、これはあらゆる条件でリスクが完全にゼロであるという意味ではありません。科学的な安全性評価は、試験結果と想定される摂取量を組み合わせて判断するものです。
子どもへの人体への影響は?
JECFAの2017年評価では、子どもの摂取量についても検討されています。
保守的に見積もった子どもの食事由来の摂取量は、体重1kg当たり1日5mgと推定されました。これは設定されたADIの上限である6mg/kg体重/日を下回っています。
JECFAは、この推定に基づき、子どもを含む各年齢層について、食事からのブリリアントブルーFCF摂取は健康上の懸念を生じないと判断しました。
なお、この5mgという数値はJECFAが用いた保守的な食事由来の曝露推定値であり、日本の子どもの平均摂取量を測定した結果ではありません。
子どもは大人より体重が軽いため、体重当たりの摂取量を考えることが重要です。着色料の有無だけで食品の安全性を判断するのではなく、食生活全体のバランスも考慮する必要があります。
【食品添加物表示の見方】青色1号を避けたい場合の確認方法
青色1号をできるだけ摂取したくない人にとって、最も実用的なのが食品表示の確認です。
日本では、食品添加物は原則として使用した物質名を表示することになっています。また、着色料のように用途名の併記が必要な添加物については、使用目的と物質名を組み合わせて表示します。
青色1号の表示例
一般的には、次のような表示を確認します。
- 着色料(青色1号)
- 着色料(青1)
- 食用青色1号
加工食品の場合、添加物は容器包装の一括表示欄に記載されます。「添加物」という独立した欄が設けられている場合もあれば、「原材料名」の後にスラッシュなどで区切って表示される場合もあります。
例えば、原材料名欄に「砂糖、果汁/酸味料、着色料(青色1号)」と記載されていれば、青色1号が添加物として使用されていることが分かります。
表示の順番は、原則として食品中の添加物に占める重量の割合が高いものからです。ただし、表示順だけで青色1号の具体的な含有量を判断することはできません。
青色1号を避けたい人の判断基準
青色1号の摂取を控えたい場合は、次のような方法が現実的です。
- 購入前に原材料名と添加物欄を確認する。
- 青色1号、青1、ブリリアントブルーFCFなどの名称を確認する。
- 着色料不使用の商品を選ぶ。
- 同じ種類の商品でも原材料表示を比較する。
- 輸入食品の場合は、現地の添加物名称や番号も確認する。
なお、「天然着色料」と表示されている食品が、必ずしも合成着色料を使用した食品より安全というわけではありません。天然由来か合成由来かだけで安全性を判断することはできず、物質ごとの評価が必要です。
また、食品添加物の表示には、加工助剤やキャリーオーバーなどの例外があります。使用された添加物がすべてのケースで必ず表示されるわけではない点も知っておきたいところです。
【2026年最新】青色1号をめぐる国内外の規制と評価の現状
2026年11月時点で、日本の青色1号に関する基本的な規制を確認するうえで中心となる資料は、厚生労働省と消費者庁が公表した2024年版の第10版食品添加物公定書です。
第10版には、食品添加物の成分規格、製造基準、使用基準、表示基準などが収載されています。青色1号についても、成分規格や使用禁止食品に関する取り扱いが確認できます。
一方、国際的な安全性評価では、WHOのJECFAデータベースが重要な資料です。同データベースは2026年6月の第102回会合までの情報を収載していますが、ブリリアントブルーFCFの最新評価年は2017年です。
つまり、2026年に入ってから青色1号のADIが新たに変更されたという状況ではありません。2026年時点でも、2017年に設定された0~6mg/kg体重/日というADIが掲載されています。
ここで押さえたいのは、国際評価と国内規制の役割が異なることです。JECFAは国際的な科学的安全性評価を行い、日本では国内の食品衛生関連法令や公定書に基づいて使用条件や表示方法が管理されています。
そのため、海外で使用が認められていることだけを根拠に、日本国内でも同じ食品に同じ条件で使用できると判断することはできません。
【青色1号に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:青色1号は体に悪い食品添加物ですか?
A1:日本で使用が認められている食品添加物です。JECFAは2017年にADIを0~6mg/kg体重/日と設定し、子どもを含む各年齢層の食事由来の摂取について健康上の懸念はないと評価しています。ただし、ADIを超える摂取を目指す必要はありません。
Q2:青色1号には発がん性がありますか?
A2:WHOが公表したJECFAの毒性評価では、動物試験などの利用可能なデータに基づき、青色1号について発がん性や遺伝毒性の懸念はないと結論付けています。通常の食品摂取によって発がんするという科学的根拠は示されていません。
Q3:青色1号と青色2号はどちらが安全ですか?
A3:青色1号はブリリアントブルーFCF、青色2号はインジゴカルミンという異なる物質です。JECFAのADIはそれぞれ6mg/kg体重/日と5mg/kg体重/日です。ADIの数字だけで、どちらか一方が必ず安全と判断することはできません。
まとめ:【プロの結論】青色1号は規格・使用基準・摂取量で判断する
青色1号(ブリリアントブルーFCF)は、清涼飲料水やキャンディー、冷菓などの着色に使用される食品添加物です。日本では使用が認められている一方、カステラ、しょう油、みそ、野菜、豆類など、使用が禁止されている食品も具体的に定められています。
安全性については、2017年のJECFA評価でADIが0~6mg/kg体重/日と設定され、発がん性や遺伝毒性についても懸念はないと判断されています。子どもを含む各年齢層の食事由来の摂取についても、健康上の懸念はないという評価です。
プロの視点で最も重要なのは、青色1号という名称だけで食品の危険性を判断しないことです。
食品添加物の安全性は、物質ごとの毒性評価、実際の摂取量、使用基準、成分規格を総合して考える必要があります。ADIはそのための科学的な判断基準であり、食品を選ぶ際の参考になります。
青色1号を避けたい人は、原材料表示で「着色料(青色1号)」や「青1」を確認するのが確実です。一方、特に摂取を制限する必要がない人は、国内の使用基準を守って製造された食品について、過度に不安を感じる必要はありません。
2026年時点でも、青色1号は国内で使用が認められた着色料であり、国際的な安全性評価と日本の使用基準の両方に基づいて管理されています。科学的な評価と食品表示を正しく理解することが、納得できる食品選びにつながります。
主な根拠資料
- 厚生労働省「第10版食品添加物公定書」(2024年)
- WHO・JECFA「Brilliant Blue FCF」評価データベース
- WHO「Safety evaluation of certain food additives」(WHO Food Additives Series 75)
- 消費者庁「食品添加物表示」
- 消費者庁「食品添加物の成分規格・分析資料」