「葬送(そうそう)」とは、亡くなった人を送り出し、弔い、最後の別れを告げるまでの一連の営みを指す言葉です。一般的には葬儀や葬式と同じような意味で使われますが、厳密にはそれぞれ指す範囲が異なります。葬儀が宗教的な儀式を中心とするのに対し、葬送は故人を送り出す行為や、それに伴う儀礼、火葬、埋葬、供養までを含む広い概念として理解できます。
2026年の日本では、家族葬や一日葬、直葬・火葬式など、葬送の形が多様化しています。厚生労働省の人口動態統計や2026年の葬儀全国調査からも、葬儀の規模や費用、家族との関わり方が変化している実態が見えてきました。言葉の本来の意味から日本の葬送文化の歴史、通夜・告別式・火葬の流れ、宗教による違い、現代の葬送事情まで整理します。
【意味を整理】葬送とは?葬儀・葬式との違いをわかりやすく解説

葬送は「そうそう」と読み、亡くなった人を葬るために墓所まで送り届けることを意味します。「葬」は遺体を葬ること、「送」は送り出すことを表しています。
小学館の『デジタル大辞泉』では、葬送を遺体を葬るために墓所まで送ることと説明しています。また、『精選版 日本国語大辞典』には、972年の文書や『源氏物語』における用例が収録されており、古くから使われてきた言葉であることがわかります。
現在は、墓所までの移送という狭い意味だけでなく、亡くなった人を弔い、社会や家族との別れを行い、最終的に送り出すまでの一連の儀礼を表す言葉としても使われています。
葬送・葬儀・葬式は何が違う?
3つの言葉は重なる部分が多く、日常会話ではほぼ同じ意味で使われる場合もあります。しかし、言葉の中心となる意味には違いがあります。
- 葬送:故人を送り出す行為や、その過程全体を表す言葉。
- 葬儀:故人を弔うために行う宗教的・社会的な儀式。
- 葬式:葬儀を一般的に表す言葉で、通夜や告別式などを含めた一連の式を指す場合もある。
たとえば、僧侶による読経や焼香を伴う仏教式の儀式は「葬儀」と呼ばれます。その儀式に加え、故人を見送るための準備や火葬、納骨、供養までを広く捉えれば「葬送」という言葉が適しています。
葬送と埋葬の違い
葬送と埋葬も混同されやすい言葉ですが、意味は異なります。
葬送は故人を弔い、送り出す一連の行為です。一方、埋葬は遺体を土中に葬ることを意味します。
厚生労働省が所管する「墓地、埋葬等に関する法律」第2条では、埋葬を死体を土中に葬ること、火葬を死体を葬るために焼くことと定義しています。火葬後の遺骨を墓地に納める行為は、法律上は焼骨の埋蔵に当たります。
つまり、埋葬は葬送の一部分に関係する行為であり、葬送全体と同じ意味ではありません。
葬送儀礼とは何か
葬送儀礼とは、死者を弔い、送り出すために行われる宗教的・社会的な作法や行事の総称です。
代表的なものには、次のような儀礼があります。
- 通夜:故人との別れを惜しみ、最後の夜を過ごす儀礼。
- 納棺:遺体を棺に納める儀礼。
- 葬儀:宗教的な教えや作法に基づいて故人を弔う儀式。
- 告別式:参列者が故人に最後の別れを告げる場。
- 火葬・収骨:遺体を火葬し、遺骨を拾い上げる行為。
- 法要・供養:亡くなった人を偲び、祈りや追悼を続ける営み。
葬送儀礼には、亡くなった人を弔うだけでなく、遺族や親しい人が死を受け止め、別れを共有する役割もあります。
【歴史と由来】日本の葬送文化はどのように変化してきたのか
日本の葬送文化は、古代から現代まで、宗教や社会制度、家族のあり方に影響されながら変化してきました。現在一般的に見られる仏教式の葬儀も、日本古来の葬送習俗に仏教の教えや儀礼が重なって形成されたものです。
古代:日本固有の葬送習俗と古墳時代
日本では仏教が広まる以前から、死者を弔うための独自の習俗が存在していました。
『古事記』には、アメノワカヒコの葬送に関する記述があります。喪屋を設け、鳥たちにそれぞれの役割を与え、八日八夜にわたって歌舞を行ったとされています。
古墳時代には、権力者のための大規模な古墳が築かれ、埋葬施設や副葬品を通して当時の死生観を知ることができます。遺体をどのように扱い、死者をどのような存在として捉えるかは、時代や地域によって異なっていました。
飛鳥・奈良時代:仏教の影響が広がる
仏教が日本に伝来すると、葬送のあり方にも大きな影響が及びました。
神社本庁の神葬祭に関する解説によれば、702年に行われた持統天皇の大喪では仏教色が強まり、その後の天皇の葬儀にも仏教式の要素が取り入れられていきました。
奈良・平安時代には、皇族や貴族の葬送に仏教が深く関わるようになります。ただし、この段階で全国の一般庶民が現在のような仏教式葬儀を行っていたわけではありません。
中世:仏教式葬儀と死者供養の広がり
中世になると、仏教寺院や宗教者が葬送に関わる機会が増え、死者供養の習慣も広がりました。
読経や年忌法要、墓への納骨、供養塔の建立など、亡くなった人とのつながりを保つための実践が発展します。貴族や武士の葬送文化が、時代とともに地域社会や庶民にも浸透していきました。
国立歴史民俗博物館の研究論文でも、中世における死者供養の普及には、遁世僧や宗教者による布教、極楽浄土信仰、年忌法要の広がりなどが関係したと整理されています。
江戸時代:檀家制度によって仏式葬儀が定着
江戸時代に入ると、徳川幕府の寺請制度によって、人々は地域の寺院に所属する仕組みが整えられました。
この制度は、仏教寺院と一般家庭との関係を強め、葬儀や先祖供養を寺院が担う社会的な基盤になりました。現在の菩提寺や檀家という関係にも、この歴史が影響しています。
明治時代以降:葬送の多様化と近代化
明治時代には神道式の葬儀である神葬祭が一般に認められ、仏教以外の宗教による葬送も制度的に整えられていきました。
さらに近代以降は、告別式や葬祭業の発展、祭壇を中心とした葬儀の普及などを通じて、現在の葬送の形式が形づくられました。
戦後は都市化や核家族化が進み、地域や親族が共同で葬儀を支える従来の仕組みも変化しました。全日本仏教会が紹介する葬送儀礼の研究でも、都市への人口移動や少子高齢化、家族関係の個人化が、家族葬や直葬などの広がりと関係していると分析されています。
【葬送の流れ】通夜・告別式・火葬から供養までを解説
日本で一般的に行われる葬送は、亡くなった直後の対応から葬儀、火葬、納骨、法要へと進みます。ただし、宗教や地域、葬儀の規模によって順番や実施内容は異なります。
1. 臨終・死亡確認と遺体の搬送
医師による死亡確認の後、遺体を自宅や葬儀施設などの安置場所へ搬送します。
病院で亡くなった場合は、病院から葬儀社や搬送業者を紹介されることもあります。搬送先や葬儀の形式、依頼する業者などを家族で相談する段階です。
2. 安置と葬儀の打ち合わせ
遺体を安置した後、葬儀の日程や会場、宗教形式、参列者の範囲などを決めます。
仏教式の場合は、菩提寺や僧侶への連絡も必要になることがあります。葬儀社との打ち合わせでは、基本料金だけでなく、搬送費、安置費、棺、祭壇、飲食費、返礼品などの費用を確認します。
3. 納棺
納棺は、故人の遺体を棺に納める儀礼です。宗教や地域によって作法は異なりますが、故人の身支度を整え、家族が最後の別れをする大切な時間となります。
故人が愛用していた品物などを納める場合もありますが、火葬できる品物には制限があるため、事前に葬儀社や火葬場へ確認する必要があります。
4. 通夜
通夜は、葬儀の前夜に故人を偲び、別れを惜しむために行われる儀礼です。
仏教式では僧侶による読経や焼香が行われることが一般的です。参列者が集まり、故人との思い出を語り合う場にもなります。
本来は親族や親しい人が中心となる儀礼でしたが、現在では通夜に多くの弔問客が訪れるケースもあります。全日本仏教会も、通夜が主要な弔問の場になっている傾向を紹介しています。
5. 葬儀・告別式
葬儀は、宗教的な教えに基づいて故人を弔う儀式です。告別式は、参列者が故人に最後の別れを告げる社会的な儀礼として位置づけられます。
仏教式では読経や焼香、神道式では祭詞奏上や玉串奉奠、キリスト教式では祈りや聖書朗読、賛美歌などが行われます。
葬儀と告別式は連続して行われることも多く、一般的な案内ではまとめて「葬儀・告別式」と表記されます。
6. 出棺・火葬・収骨
告別式を終えると、棺を火葬場へ運ぶ出棺が行われます。火葬後は、遺族や親族が遺骨を拾い上げる収骨を行うのが一般的です。
火葬については、法律上の決まりもあります。「墓地、埋葬等に関する法律」第3条では、原則として死亡後24時間を経過する前に火葬や埋葬を行うことを禁止しています。
また、火葬は許可された火葬場で行う必要があり、市区町村長から火葬許可証の交付を受ける仕組みです。
7. 納骨・法要・供養
火葬後の遺骨は、墓地や納骨堂などに納めます。納骨の時期は家庭や宗教、地域の慣習によって異なり、四十九日法要などに合わせる場合もあります。
仏教では、四十九日、一周忌、三回忌などの法要を通して故人を供養します。宗派によって教義や儀礼の考え方は異なります。
葬送は火葬が終わった時点ですべてが終わるわけではありません。遺族が故人を偲び、思いを受け継いでいく供養も、広い意味での葬送文化を構成しています。
【宗教による違い】仏教・神道・キリスト教の葬送儀礼を比較
葬送の形式を大きく左右する要素の一つが宗教です。日本では仏教式の葬儀が広く行われていますが、神道やキリスト教など、それぞれの宗教には独自の死生観と儀礼があります。
宗教による違いを理解するうえでは、単に焼香をするか献花をするかだけでなく、死者をどのような存在として捉え、どのような形で送り出すのかを知ることが大切です。
宗教別の葬送儀礼と特徴
| 宗教・形式 | 主な儀礼 | 葬送の考え方・特徴 |
|---|---|---|
| 仏教 | 読経、焼香、戒名・法名、法要 | 仏の教えに基づいて故人を弔い、供養する。宗派によって儀礼や死生観が異なる。 |
| 神道 | 神葬祭、祭詞奏上、玉串奉奠 | 故人の御霊を祀り、祖先とのつながりを大切にする日本固有の宗教儀礼。 |
| キリスト教 | 祈り、聖書朗読、賛美歌、献花 | 神への祈りを中心に、故人の人生を振り返り、復活や永遠の命への希望を共有する。 |
仏教の葬送儀礼:読経・焼香・戒名と供養
仏教式の葬送では、僧侶による読経や焼香が中心的な儀礼となります。
葬儀では、故人を仏教の教えに基づいて送り出し、遺族や参列者が祈りを捧げます。戒名や法名、法号などの呼び方は宗派によって異なり、意味や授与の考え方にも違いがあります。
焼香にも宗派による違いがあります。全日本仏教会の解説によれば、焼香の回数は1回から3回まで宗派によって異なります。参列時には、葬儀を執り行う寺院や遺族の案内に従うとよいでしょう。
また、仏教の葬送では、葬儀だけでなく、その後の法要や先祖供養も大切にされます。
神道の葬送儀礼:神葬祭と玉串奉奠
神道式の葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」と呼ばれます。
神葬祭では、故人の御霊を慰め、祖先とのつながりを大切にする儀礼が行われます。主な作法は、神職による祭詞奏上や参列者による玉串奉奠です。
仏教式の焼香とは異なり、神道では玉串を神前に捧げます。拝礼の際には、音を立てない「しのび手」を用いる作法もあります。
神社本庁の解説では、神葬祭は日本古来の葬儀を土台として整えられた儀礼と説明されています。
キリスト教の葬送儀礼:祈りと賛美歌による見送り
キリスト教式の葬送では、神への祈りを中心とした礼拝が行われます。
一般的には、聖書朗読、祈祷、賛美歌、説教、献花などが取り入れられます。教派によって前夜式や葬送式、葬儀ミサなどの名称や進行が異なります。
日本聖公会東京教区の解説では、葬送式や通夜の祈り、逝去者記念聖餐式などが紹介されています。葬儀後に日を改めて納骨や埋葬の儀式を行う場合もあります。
キリスト教では、死を神のもとへ帰ることや復活への希望と結びつけて捉える考え方があります。そのため、葬儀は故人を偲ぶと同時に、神への祈りを捧げる礼拝としての意味を持っています。
なお、同じ宗教でも宗派や教会によって儀礼は異なります。葬送を行う際には、故人や遺族の信仰、所属する宗教施設の作法を確認することが大切です。
【葬送の種類】一般葬・家族葬・一日葬・直葬の特徴と選び方
葬送の形は、参列者の範囲や儀式にかける時間、宗教的な作法などによって分類できます。代表的なものが一般葬、家族葬、一日葬、直葬・火葬式です。
一般葬:親族や友人、仕事関係者など幅広く見送る
一般葬は、親族だけでなく、友人、知人、近隣住民、仕事関係者など、幅広い人々が参列する形式です。
通夜と葬儀・告別式を行い、故人と関わりのあった多くの人が最後の別れを告げられます。
参列者が多い場合には、会場や飲食、返礼品などの準備が必要になります。一方で、故人と関わりのあった人々が一度に弔問できるため、葬儀後に個別の弔問対応をする負担を抑えられる場合があります。
家族葬:親族や親しい人を中心に行う
家族葬は、家族や親しい友人など、限られた人々を中心に行う葬儀です。
一般葬と同じように通夜や葬儀・告別式を行うこともできますが、参列者の範囲を限定する点に特徴があります。
少人数で落ち着いて別れの時間を過ごしたい場合には適しています。ただし、家族葬だから必ずしも費用が安くなるとは限りません。
葬儀後に参列できなかった人から弔問を受けたり、香典を辞退したことで遺族側の負担が増えたりするケースもあります。故人の交友関係や遺族の意向を踏まえた判断が必要です。
一日葬:通夜を省略して葬儀と告別式を行う
一日葬は、一般的に通夜を行わず、葬儀・告別式と火葬を中心に一日で進める形式です。
遠方から参列する親族や高齢の遺族にとって、複数日にわたる葬儀の負担を減らしやすい特徴があります。
ただし、通夜を省略しても、会場使用料や火葬費用、宗教者への謝礼などが発生するため、総額を確認する必要があります。
直葬・火葬式:通夜や告別式を行わず火葬を中心にする
直葬は、通夜や一般的な葬儀・告別式を行わず、遺体を火葬場へ運んで火葬する形式です。火葬式とも呼ばれます。
宗教的な儀式を簡略化したい場合や、参列者が少ない場合、経済的な負担を抑えたい場合などに選ばれています。
ただし、直葬でも遺体の搬送や安置、納棺、火葬の手配などは必要です。また、菩提寺がある場合は、事前に住職へ相談することが望ましいでしょう。
葬送の形式と埋葬方法は別に考える
混同されやすいのが、葬儀の形式と遺骨の納め方です。
一般葬や家族葬、一日葬、直葬は、故人を見送る葬儀の進め方を表しています。一方、一般墓、納骨堂、樹木葬、合祀墓などは、火葬後の遺骨をどのように供養・管理するかに関係する選択肢です。
そのため、家族葬を行った後に樹木葬を選ぶことも、直葬の後に納骨堂を利用することもできます。
葬儀の形式と埋葬方法を別々に考えることで、費用や宗教、将来のお墓の管理まで含めて判断しやすくなります。
【2026年最新】日本の葬送事情と費用の実態、失敗しない選び方
2026年の葬送を考えるうえで重要なのが、死亡者数の動向、家族葬の定着、葬儀費用、業者選びをめぐる問題です。
2025年の死亡者数は約159万人、2026年も葬送需要が続く
厚生労働省が2026年9月30日に公表した2025年人口動態統計の確定数によると、2025年の死亡数は1,589,533人でした。前年より15,845人減少し、5年ぶりの減少となっています。
一方、2026年10月23日公表の人口動態統計速報では、2026年1月から8月までの死亡数は1,025,118人でした。前年の同じ期間と比較すると54,161人、率にして5.0%の減少です。
これらは公表時点での確定数と速報値であり、年間の死亡数を直接比較するものではありません。ただし、日本では年間150万人を超える死亡が続いており、葬送や供養を支える仕組みは多くの家庭に関わる社会的な課題となっています。
2026年の葬儀全国調査では家族葬が47.0%
株式会社鎌倉新書が2026年5月12日に公表した「第7回お葬式に関する全国調査」では、家族葬が実施された葬儀の47.0%を占めました。
この調査は、2024年3月から2026年3月までの間に喪主または喪主に準ずる立場を経験した40歳以上の男女2,000人を対象に、2026年2月27日から3月3日までインターネットで実施されたものです。
調査結果を詳しく見ると、家族葬が最多である一方、一般葬も約3割を占めています。一日葬や直葬も一定の割合で選ばれており、葬送の小規模化だけでなく、形式の多様化が進んでいることがわかります。
- 家族葬:47.0%(940人)
- 一般葬:30.2%(604人)
- 一日葬:11.9%(238人)
- 直葬・火葬式:10.8%(216人)
2024年の前回調査と比較すると、家族葬は50.0%から47.0%へ微減しました。一方、一日葬は10.2%から11.9%、直葬・火葬式は9.6%から10.8%へ増えています。
家族葬が主流であることに変わりはありませんが、すべての人が同じ規模の葬儀を望んでいるわけではありません。故人の交友関係や遺族の希望によって、適した形式は異なります。
2026年の葬儀費用はいくら?形式別の金額
同調査による葬儀費用の総額は、96.73万円でした。内訳は基本料金72.02万円、飲食費11.67万円、返礼品費13.03万円です。
葬儀形式別の総額は次のようになっています。
- 一般葬:122.01万円
- 家族葬:96.39万円
- 一日葬:74.43万円
- 直葬・火葬式:49.56万円
なお、同調査では第7回までの結果を中央値で再集計しています。これらは調査対象者の回答に基づく参考値であり、すべての葬儀に当てはまる料金ではありません。
地域、葬儀社、参列人数、宗教者への謝礼、会場、安置日数などによって実際の費用は変わります。特に、僧侶へのお布施や火葬場の費用など、プラン料金に含まれない項目には注意が必要です。
葬儀の事前準備をしていない喪主は63.8%
2026年の全国調査では、喪主の63.8%が葬儀の事前準備をしていなかったと回答しました。
また、葬儀業者を選ぶ際、87.1%が他社との比較検討を行わず、1社のみ、または見積もりを取らずに決定していました。
最も困ったこととして挙げられたのは「お布施の相場・マナーがわからない」という問題で、346件でした。葬儀の知識やマナーがわからないという回答も259件ありました。
身近な人が亡くなった直後は、精神的な負担が大きく、冷静に費用やサービスを比較することが難しくなります。事前に葬儀の希望や予算を話し合っておくことには、実務面でも大きな意味があります。
2026年も葬儀費用のトラブルに注意
国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、2025年度に寄せられた葬儀サービスに関する相談は917件でした。
相談内容のうち「高価格・料金」に関する割合は52.6%に達しています。2019年度の33.2%と比べても高い水準です。
相談事例には、広告で家族葬の料金が50万円と表示されていたにもかかわらず、追加費用などによって最終的な契約額が200万円を超えたケースや、一日葬の広告料金と実際の契約金額に大きな差が生じたケースなどがあります。
加えて、2026年9月18日には消費者庁が株式会社金宝堂に対して景品表示法に基づく措置命令を行いました。
同社の「小さな森の家」というブランドの家族葬サービスでは、テレビCMで「家族葬10万4,500円~」と表示していましたが、消費者庁の公表資料によると、サービスの提供には、わずかな場合を除き30万8,000円以上の費用が必要でした。消費者庁は、実際よりも著しく有利な価格であると誤認させる有利誤認表示に該当すると判断しています。
この措置命令は、葬儀業界全体の料金が不適正であることを意味するものではありません。しかし、広告に記載された最低価格だけで葬儀社を判断することの危険性を示す事例です。
葬送で後悔しないための5つの判断基準
葬送の形式を選ぶときは、費用の安さだけでなく、故人と遺族の希望、宗教、葬儀後の供養まで含めて考えることが大切です。
- 故人の希望:生前に希望していた葬儀の規模や宗教、見送り方を確認する。
- 参列者の範囲:親族だけでよいのか、友人や仕事関係者にも参列してもらうのかを決める。
- 宗教・菩提寺との関係:宗派や寺院との付き合い、戒名や法要の希望などを確認する。
- 費用の総額:基本料金だけでなく、追加料金や飲食費、返礼品、宗教者への謝礼も確認する。
- 葬儀後の供養:墓地や納骨堂、樹木葬など、遺骨をどこでどのように供養するかも考える。
特に葬儀社との契約では、複数人で打ち合わせを行い、明細付きの見積書を受け取ることが重要です。国民生活センターも、サービス内容と料金の確認、見積書の受領、必要に応じた消費生活センターへの相談を呼びかけています。
料金や契約内容に不安がある場合は、消費者ホットライン188に相談することもできます。
【よくある質問】葬送の意味や葬儀との違いに関するFAQ
Q1:葬送とは簡単にいうと何ですか?
A1:葬送とは、亡くなった人を弔い、最後の別れを告げて送り出す一連の営みです。狭い意味では遺体を墓所まで送ることを指しますが、現在は葬儀や火葬、埋葬、供養などを含む広い意味でも使われます。
Q2:葬送と葬儀の違いは何ですか?
A2:葬儀は故人を弔うために行う宗教的・社会的な儀式です。葬送は葬儀だけでなく、故人を送り出すまでの過程全体を表す、より広い概念として使われます。
Q3:葬送と葬式は同じ意味ですか?
A3:日常会話では似た意味で使われますが、厳密には異なります。葬式は葬儀を一般的に表す言葉で、葬送は故人を弔って送り出す行為全体を表す言葉です。
Q4:葬送儀礼には何が含まれますか?
A4:通夜、納棺、葬儀、告別式、出棺、火葬、収骨などが代表的です。加えて、宗教や家庭の慣習によって納骨、法要、追悼なども関係します。
Q5:仏教の葬送では何を行いますか?
A5:一般的には僧侶による読経や参列者の焼香、葬儀、火葬、収骨などを行います。その後、四十九日や一周忌などの法要を通して故人を供養します。儀礼の詳細は宗派によって異なります。
Q6:直葬と家族葬はどう違いますか?
A6:家族葬は参列者を家族や親しい人に限定する葬儀形式です。通夜や告別式を行う場合もあります。直葬は通夜や一般的な葬儀・告別式を省略し、火葬を中心に行う形式です。
Q7:葬送と埋葬はどう違いますか?
A7:葬送は故人を弔い、送り出す一連の営みです。埋葬は法律上、遺体を土中に葬ることを指します。火葬後の遺骨を墓地に納める行為は、法律上は焼骨の埋蔵に当たります。
Q8:葬送の費用は2026年現在いくらですか?
A8:鎌倉新書の2026年全国調査では、葬儀費用の総額は96.73万円でした。形式別では一般葬122.01万円、家族葬96.39万円、一日葬74.43万円、直葬・火葬式49.56万円です。地域やサービス内容によって実際の費用は異なります。
まとめ:葬送とは故人を送り出し、残された人が思いを受け継ぐ営み
葬送とは、亡くなった人を弔い、最後の別れを告げて送り出す一連の営みです。葬儀や葬式と似た意味で使われますが、葬儀は儀式、葬式は一般的な呼び方、葬送はそれらを含む広い概念として理解すると違いが明確になります。
日本の葬送文化は、古来の習俗に仏教や神道などの宗教的な考え方が重なり、時代とともに変化してきました。通夜、告別式、火葬、収骨、納骨、法要などの内容も、宗教や地域、家庭によって異なります。
2026年の葬儀事情では、家族葬が47.0%を占める一方、一日葬や直葬なども選択肢として定着しています。葬儀費用や参列者の範囲、宗教的な作法、葬儀後の供養まで、家族の事情に合わせて選べる時代になりました。
【プロの結論】葬送を考えるうえで大切なのは、葬儀の規模や費用だけで故人への弔いの深さを判断しないことです。大勢の人が参列する一般葬にも、家族だけで静かに見送る葬儀にも、それぞれの意味があります。大切なのは、故人の生き方や希望を尊重し、残された人々が納得できる形で別れの時間を持つことです。
葬送は、亡くなった人を送り出すためだけの儀式ではありません。故人との思い出を振り返り、その人が残したものを受け継いでいくための、社会と家族にとって大切な文化でもあります。
主な参照資料: 厚生労働省、消費者庁、国民生活センター、全日本仏教会、神社本庁、国立歴史民俗博物館、株式会社鎌倉新書の2026年公表資料。