猫のおならが増えたとき、最初に取り組みたいのは、食事と生活環境の見直しです。
ただし、ガスの発生を抑えることだけを目的に、栄養バランスを崩したり、自己判断で食事制限をしたりするのは避けましょう。
1. キャットフードを急に変更しない
フードを変更する場合は、以前のフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、段階的に切り替えます。
PetMDが紹介する目安は7〜10日程度です。
急な変更によって腸内環境が変化し、おならや軟便が増えることがあるため、猫の様子を見ながら進めましょう。
すでに下痢や嘔吐などがある場合は、自己判断でフードを変更せず、先に動物病院へ相談してください。
2. 消化しやすいフードを選ぶ
キャットフードの消化性は、猫のお腹の調子に関係します。
フードを選ぶときは、次の点を確認しましょう。
- 猫の年齢や健康状態に合った総合栄養食であること
- 原材料や栄養成分が明確であること
- 食べた後に便の状態が悪化しないこと
- 過去に食べて問題が起きた食材が含まれていないか
- 適切な給餌量を守れること
食物繊維は便通や腸内細菌の働きに関係する一方、種類や量によっては発酵によるガスが増える場合もあります。
また、豆類などの発酵しやすい原材料が含まれているからといって、そのフードが必ず猫に合わないわけではありません。
重要なのは、原材料のイメージだけで良し悪しを判断せず、実際に食べた後の便や体調を確認することです。
3. 早食いを防いで食事環境を整える
食事中に空気を飲み込む量を減らすためには、食べ方の見直しも有効です。
具体的には、次の方法が考えられます。
- 1回の食事量を調整して複数回に分ける
- 早食い防止用の食器を使用する
- 多頭飼育では食事場所を分ける
- 食事中にほかの猫が邪魔をしない環境を作る
- 落ち着いて食べられる静かな場所を用意する
食事を細かく分ける場合も、1日の総給餌量は適切に管理しましょう。
4. おやつや人間の食べ物を見直す
主食だけでなく、おやつやトッピングも消化器の状態に影響します。
特に、普段食べていないものを急に与えたり、乳製品や味付けされた人間用の食べ物を与えたりすることは避けてください。
猫に牛乳を与える習慣がある場合も、乳糖をうまく消化できず、下痢やガスにつながる可能性があります。
おならが増えた時期と、おやつを変更した時期が一致していないか確認することも大切です。
5. 腸内環境を整えることを意識する
猫の腸内環境を考えるうえでは、食事の安定性と適切な栄養管理が基本です。
乳酸菌やビフィズス菌などを含むサプリメント、プロバイオティクスやプレバイオティクスが検討されることもあります。
ただし、すべての猫に同じ製品が適しているわけではありません。
おならが多いからといって、市販の整腸剤や人間用サプリメントを自己判断で与えるのではなく、獣医師に相談して選びましょう。
PetMDの2026年の解説でも、症状や検査結果に応じて獣医師が食事の調整やプロバイオティクスなどを検討すると説明されています。
【要注意】猫のおならと下痢・嘔吐・食欲不振が重なる場合の病気と受診目安

猫のおならについて、特に注意したいのが、ほかの消化器症状を伴っているケースです。
おなら単独であれば食事の影響なども考えられますが、下痢や嘔吐、食欲不振、腹痛などが重なる場合は、消化管に何らかの異常が起きている可能性があります。
おならと下痢が同時に起きる場合
猫のおならと下痢が同時に見られる場合、食事の変更や食物不耐性、腸内寄生虫、感染症、炎症性腸疾患などが考えられます。
下痢は単なる便の変化ではありません。
腸の中を食べ物が通過する速度が速くなったり、水分や栄養素の吸収が十分に行われなくなったりすることで発生します。
その結果、便が水っぽくなるほか、粘液や血液が混じる場合もあります。
コーネル大学獣医学部は、食事の急な変更やストレスによる一時的な下痢がある一方、長引く下痢や繰り返す下痢には、より深刻な疾患が関係する場合があると説明しています。
特に、次のような状態には注意が必要です。
- 水のような下痢を何度も繰り返す
- 血便や粘液便が見られる
- 下痢と一緒に嘔吐する
- 食べる量が減っている
- 体重が落ちている
- 元気がなく、動きたがらない
おならと嘔吐が同時に起きる場合
猫が吐く原因には、毛玉や食事の問題など比較的軽いものから、消化管の炎症、感染症、異物による腸閉塞などまであります。
おならと嘔吐が同時に起きた場合は、単純な食べ過ぎと決めつけないことが大切です。
特に、何度も吐く、吐いたものに血液が混じる、お腹を触ると嫌がる、元気がなくなるといった症状があれば、速やかに動物病院へ相談してください。
コーネル大学獣医学部の猫の嘔吐に関する解説では、週1回を超えて嘔吐を繰り返す場合や、元気消失、食欲低下、血液の混入、下痢などを伴う場合には、早めの診察が勧められています。
おならと食欲不振が重なる場合
猫は体調が悪くても、初期段階では普段とあまり変わらないように見えることがあります。
しかし、食べる量が減ったり、好きなおやつにも反応しなくなったりした場合は注意が必要です。
消化器疾患だけでなく、腎臓や肝臓など、消化管以外の病気によって嘔吐や食欲不振が生じることもあります。
メルク獣医マニュアルの2026年5月更新版でも、消化器疾患の一般的な症状として、下痢、嘔吐、食欲不振、腹痛、腹部膨満、脱水などが挙げられています。
動物病院へ相談するタイミング
おならだけで、普段どおり元気な場合
一時的に臭いや回数が変化しても、食欲、排便、活動量に異常がなく、腹部の痛みもない場合は、食事内容などを確認しながら変化を観察します。
消化器症状や食欲の変化がある場合
- 下痢や軟便を繰り返す
- 嘔吐を繰り返す
- 食欲が低下している
- おならの増加が続いている
- 体重が減っている
- お腹を触ると嫌がる
重い症状が見られる場合
- お腹が著しく膨らみ、強い痛みがある
- 血便や血の混じった嘔吐がある
- 立てない、歩けない、反応が極端に鈍い
- 異物や有害物質を飲み込んだ可能性がある
- 激しい嘔吐や下痢に脱水、衰弱が伴う
症状の強さや年齢、持病によって緊急度は異なります。上記は診断基準ではなく、受診を判断するための目安です。
VCA動物病院の緊急受診案内では、24時間以内に2回を超える嘔吐、食欲不振や元気消失、複数回の軟便・水様便、血便などが受診を検討するサインとして挙げられています。重い衰弱や歩行困難がある場合は救急対応が推奨されています。
また、コーネル大学獣医学部は、下痢が1〜2日を超えて続き、食欲不振、元気消失、嘔吐などを伴う場合には、できるだけ早く動物病院を受診するよう案内しています。
子猫、高齢猫、持病のある猫では、症状が軽く見えても早めに相談することが大切です。
動物病院ではどのような検査をする?
おならが多いという症状だけで、すぐに特定の病気が判明するわけではありません。
獣医師は、食事内容や排便状況、ほかの症状などを確認しながら、原因を絞り込んでいきます。
一般的に確認される内容は次のとおりです。
- いつからおならが増えたか
- キャットフードやおやつの種類
- 食事の変更時期
- 便の色、形、臭い、回数
- 嘔吐や食欲不振の有無
- 体重や活動量の変化
必要に応じて、便検査、血液検査、腹部レントゲン、超音波検査などが検討されます。
PetMDの解説でも、診察では食事歴やおならの頻度、便の変化を確認し、症状に応じて画像検査や寄生虫検査、血液検査などを実施するとされています。
受診時には、便の写真や食べているフードのパッケージ、症状が始まった時期のメモなどを持参すると、診断の手掛かりになります。
【家庭で確認】猫のおならについて記録しておきたいチェックポイント
動物病院へ行く前に、家庭で確認しておくと役立つ情報があります。
特に、おならの回数だけを記録するよりも、食事や排便、行動の変化をまとめておくことが有効です。
次の項目を日常的に確認してみましょう。
愛猫の健康観察チェックリスト
{@body const checks = ["おならが増えた日や時間帯を記録した","臭いが以前と変わったか確認した","キャットフードやおやつの変更を確認した","便の硬さや色、臭いを確認した","下痢や嘔吐がないか確認した","食事量と水を飲む量を確認した","体重や活動量に変化がないか確認した","お腹の膨らみや触ったときの反応を確認した"]}
{@body const [done,setDone] = DIL.useState()}
{done.length}/{checks.length} 項目を確認
{Math.round(done.length/checks.length100)}%
{#each checks as item,i}
{/each}
記録を続けることで、フード変更とおならの増加が関係しているのか、下痢などの症状も同時に起きているのかを把握しやすくなります。
ただし、緊急性のある症状がある場合は、チェックをすべて終える必要はありません。記録よりも受診を優先してください。
【プロの結論】猫のおならは臭いや回数だけで判断しないことが大切
猫のおならは、消化管で発生したガスを排出する自然な生理現象です。
一時的に臭いが強くなったり、食事の後に回数が増えたりすることはありますが、急激な変化やほかの症状が重なる場合は注意が必要です。
特に覚えておきたい判断基準は3つあります。
第一に、普段との違いを見ること。
猫のおならには一律の正常回数がありません。何回出たかだけでなく、いつから増えたか、臭いが変わったか、食事と関係しているかを確認しましょう。
第二に、食事だけを原因と決めつけないこと。
キャットフードの変更や早食いは原因の候補ですが、寄生虫、感染症、腸内細菌の異常、炎症性腸疾患などが関係することもあります。フードを変更しても改善しない場合は、動物病院で原因を調べる必要があります。
第三に、下痢・嘔吐・食欲不振を見逃さないこと。
おならよりも、併発している症状のほうが健康状態を判断するうえで重要な手掛かりになる場合があります。
猫は自分の不調を言葉で伝えられません。だからこそ、日頃の食事や便、行動を観察し、小さな変化に気づくことが健康管理につながります。
【猫のおなら】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:猫のおならは1日に何回くらいが正常ですか?
猫のおならについて、すべての猫に当てはまる確立した1日の正常回数はありません。個体差があるため、普段と比べて急に回数が増えていないかを確認することが大切です。
Q2:猫のおならが異常に臭いのは病気ですか?
臭いが強いだけで病気とは判断できません。食事内容や腸内細菌による発酵が関係する場合があります。ただし、強い悪臭が続く場合や、下痢、嘔吐、腹痛、食欲不振などを伴う場合は動物病院へ相談してください。
Q3:猫のおならが多いときはキャットフードを変えたほうがいいですか?
必ずしも変更する必要はありません。急なフード変更がかえって消化器に負担をかけることもあります。まず食事内容やおやつ、便の状態を確認し、必要に応じて獣医師に相談しましょう。変更する場合は、一般的に7〜10日程度かけて段階的に切り替えます。
まとめ:猫のおならの変化を見逃さず健康管理につなげよう
猫のおならには、食事の変更、早食い、腸内細菌による発酵、消化不良など、さまざまな原因があります。
臭いが強い、回数が増えたという変化だけで病気を判断することはできませんが、下痢や嘔吐、食欲不振、腹部の膨張などが伴う場合は注意が必要です。
日頃からキャットフードの種類や食事量、便の状態を確認し、異変があれば早めに動物病院へ相談しましょう。
愛猫の健康を守るうえで大切なのは、おならそのものをなくすことではなく、いつもと違う変化を見逃さないことです。
主な参考資料:PetMD「Do Cats Fart?」(2026年2月9日更新)、Cornell University College of Veterinary Medicine「Food Allergies」「Diarrhea」、Merck Veterinary Manual「Introduction to Digestive Disorders of Cats」(2026年5月更新)、VCA Animal Hospitals「Diarrhea or Vomiting」。