ペルー南部の広大な砂漠に、ハチドリ、サル、クモ、コンドル、人物などの巨大な絵が描かれている。上空から眺めると驚くほど精巧な姿を現す「ナスカの地上絵」は、発見から約100年が経過した現在も、世界中の研究者を引きつけている考古学上の大きな謎だ。
しかし、2026年の研究状況を見ると、その謎は少しずつ解き明かされている。特に注目されるのが、山形大学ナスカ研究所と米IBMによるAIを活用した調査だ。2025年7月には新たに248点の地上絵が発見されたと発表され、動物や人物などを描いた具象的な地上絵は合計893点に達した。加えて、絵の配置と小道の関係から、巡礼や共同体の儀礼、情報伝達に使われた可能性も浮かび上がっている。
ナスカの地上絵は誰が描いたのか。何のために作られ、なぜ約2000年もの間、砂漠に残り続けているのか。最新の考古学研究とAI調査の成果をもとに、その正体を整理する。
【基本情報】ナスカの地上絵とは?いつ作られたのか

ナスカの地上絵とは、南米ペルー南部の乾燥した台地に描かれた巨大な地上絵の総称である。
主な分布地域は、首都リマから南へ約400kmに位置するナスカ台地とフマナ平原周辺。ユネスコの世界遺産登録名称は「ナスカとパルパの地上絵」で、登録されたのは1994年だ。
世界遺産の公式資料によると、地上絵が描かれた時期はおおむね紀元前500年から紀元後500年。対象地域には約450平方キロメートルにわたって地上絵が広がり、動物、植物、幾何学模様、直線など多様な図柄が確認されている。
代表的な地上絵には何がある?
代表的な図柄には、次のようなものがある。
- ハチドリ: 長いくちばしと細長い翼を持つ鳥の姿。
- サル: 長く渦を巻く尾が特徴的な図柄。
- クモ: 複数の脚を広げた姿が描かれている。
- コンドル: 大きな翼を広げた鳥の図柄。
- 人物像: 人間や神官を思わせる姿を表現したもの。
- 幾何学模様: 直線、三角形、台形、渦巻きなどの図形。
特に有名な動物の地上絵は、航空機から見ると全体像を把握しやすい。一方、地上に立つと線の一部しか見えないものもある。
この視点の違いが、長年にわたり「なぜ人間が簡単には全体を確認できないほど巨大な絵を描いたのか」という疑問を生み出してきた。
1920年代に研究が始まった
ナスカの地上絵は、古代から地域に存在していたが、近代的な考古学研究が進んだのは20世紀に入ってからだ。
1926年には、ペルーの考古学者トリビオ・メヒア・セスペと米国の人類学者アルフレッド・L・クローバーらによる体系的な調査が始まった。その後、1930年代に航空機による観察が広がり、地上絵の全体像が世界的に知られるようになった。
つまり、地上絵が発見されたのは1920年代以降だが、制作されたのはそれより約2000年前である。この2つの年代を混同しないことが、ナスカの歴史を理解するうえで重要になる。
【誰が描いた?】古代ナスカの人々と地上絵の作り方
ナスカの地上絵を描いたのは、宇宙人や高度な科学技術を持った未知の文明ではなく、古代アンデス地域で暮らしていた人々と考えられている。
ただし、特定の一人の芸術家が設計したわけではない。複数の世代や共同体が、信仰や社会活動と結びついた制作を継続した結果、現在の景観が形成されたと考えられている。
制作に関わったのはパラカス文化とナスカ文化
ユネスコの資料では、地上絵の文化的な背景を大きく次の時期に分類している。
- パラカス期:紀元前400~200年ごろ
- ナスカ期:紀元前200年~紀元後500年ごろ
これらは地域の文化的な変遷を示す年代区分であり、すべての地上絵が同じ時期に制作されたわけではない。
古代の人々は、農耕や牧畜、交易などを営みながら、独自の宗教観や自然観を育てていた。乾燥した海岸地域では水が生活と農業を左右する重要な資源であり、山や水源に対する信仰も文化的背景の一部だった。
ナスカの地上絵の作り方は意外にもシンプル
巨大な絵を作るには、特殊な機械や空からの設計図が必要だったように思える。しかし、基本的な制作方法は驚くほど合理的だ。
基本的な工程は次のとおり。
1. 描きたい図柄の形や大きさを決める。
2. 地表を覆う赤褐色の石や砂利を取り除く。
3. 下にある明るい色の土を露出させる。
4. 取り除いた石を線の外側に配置し、輪郭を目立たせる。
地表には酸化や風化によって暗い色になった石が存在する。その表面を取り除くと、下から明るい色の地面が現れるため、周囲との色の違いによって線や図柄が浮かび上がる。
直線を作る場合には、木製の杭とひもを使って方向や幅を調整する方法も考えられている。実際に、制作技術を考えるうえで参考となる木製の杭などの考古学的資料も報告されている。
つまり、ナスカの地上絵の驚異は、未知の技術を使ったことではない。
限られた道具で、巨大な図柄を正確に配置し、共同体の活動として完成させたことにある。
【最大の謎】ナスカの地上絵は何のため?巡礼路と儀礼の関係
ナスカの地上絵をめぐって、最も議論されてきたのが制作目的だ。
これまで、天体観測、暦、農業、水源の把握、宗教儀礼、巡礼路、芸術表現など、さまざまな説が提案されてきた。
しかし、2024年に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された山形大学とIBMの共同研究は、地上絵の大きさや配置、周辺の道との関係に着目し、目的を考える重要な手掛かりを示した。
注目すべきなのは、巨大な線タイプと小型の面タイプでは、描かれている対象や分布場所に明確な違いがあることだ。
線タイプは共同体の儀礼に使われた可能性
線タイプは、長い線を使って動物などの輪郭を表現した大型の地上絵だ。
2024年の研究では、線タイプの具象的な地上絵50例が分析され、そのうち約64%が野生動物を描いていた。
また、これらの図柄は直線や台形からなる大規模な幾何学的ネットワークの近くに分布していた。
研究チームは、この配置が共同体レベルの儀礼活動と関係していた可能性を指摘している。
特に重要なのが、神殿や聖地へ向かう巡礼路との関係だ。
巨大な動物の図柄が巡礼路の出発点や終着点に位置していたとすれば、単なる装飾ではなく、人々が集まり、儀礼を行う場所として機能した可能性がある。
面タイプは小道を通る人々へのメッセージだった?
一方、面タイプは、地表の石を取り除いたり、石を積み上げたりして形を作る比較的小型の地上絵だ。研究論文ではレリーフタイプとも呼ばれる。
こちらには、人間、リャマなどの家畜、首級を持つ人物など、人間の活動に関係する図柄が多い。
2024年のPNAS論文によると、面タイプの地上絵は平均約9メートルで、曲がりくねった古代の小道から平均約43メートルの範囲に分布していた。
この距離なら、道を歩く人が地上絵を目にすることも十分に考えられる。
研究チームは、面タイプが個人や小集団に向けた情報伝達の役割を持っていた可能性を示している。
例えば、家畜に関する情報や、人身供犠に関係する信仰・活動などを表現していたという解釈だ。
線タイプと面タイプの違い
| 比較項目 | 線タイプ | 面タイプ |
|---|---|---|
| 大きさ | 平均約90m | 平均約9m |
| 主な図柄 | 野生動物 | 人間・家畜・首級など |
| 分布場所 | 大規模な直線・台形のネットワーク付近 | 曲がりくねった小道の近く |
| 主な利用主体の推定 | 共同体 | 個人・小集団 |
| 有力な役割 | 共同体の儀礼 | 情報伝達・社会活動の共有 |
数値と分類は2024年のPNAS掲載研究に基づく。すべての地上絵に一律に当てはまる分類ではない。
この研究から見えてくるのは、ナスカの地上絵が一つの目的だけで作られたものではなかった可能性だ。
大きな絵は共同体の儀礼に、小さな絵は日常的な移動や情報伝達に関係していた。地上絵を個別の作品として見るだけでは分からなかった意味が、その配置を調べることで見え始めている。
【2026年最新】山形大学とIBMのAI調査で248点を新発見!具象画は893点に
ナスカの地上絵研究に大きな変化をもたらしたのが、人工知能を活用した航空写真の解析だ。
中心となっているのは、山形大学ナスカ研究所とIBM Researchの共同研究。日本側では、アンデス考古学や文化人類学を専門とする坂井正人教授が研究を主導している。
2024年には303点の新しい地上絵を確認
2024年9月24日、山形大学はIBMとの共同研究成果を発表した。
AIを活用した調査によって、わずか6か月の現地調査で303点の新たな具象的地上絵を発見したという内容だ。
当時までに確認されていた具象的な地上絵は430点。303点の追加によって、既知の数は733点へと増加した。
この研究成果は、2024年9月に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。
AIの導入によって、地上絵を発見する効率は従来の16倍に高まったと山形大学は説明している。
2025年7月に248点を追加発表
さらに2025年7月28日、大阪・関西万博2025のペルー館で、山形大学とペルー側による共同記者会見が開催された。
ここで発表されたのが、2023年と2024年のAI支援調査による新たな248点の発見だ。
特に重要なのは、248点すべてが動物や人物の絵ではないという点である。
内訳は次のとおり。
| 新発見の分類 | 点数 |
|---|---|
| 人間を描いたもの | 41点 |
| 斬首の場面 | 31点 |
| リャマ | 21点 |
| その他の動物 | 66点 |
| 留めピン状の図柄 | 1点 |
| 幾何学図形 | 81点 |
| その他 | 7点 |
| 合計 | 248点 |
このうち、動物や人物などを描いた具象的な地上絵は160点。既存の733点に追加され、具象的な地上絵の総数は893点となった。
新発見の図柄には、ネコ科動物、魚、猛禽類、トウモロコシとキツネなど、多様なモチーフが含まれている。
AI調査の経緯と2026年までの研究動向
| 時期 | 出来事 | 研究上の意味 |
|---|---|---|
| 1926年 | 体系的な考古学調査が始まる | 近代的な研究の出発点 |
| 2024年9月 | AI支援調査で303点を発見 | 具象画の確認数が733点に増加 |
| 2025年7月 | 新たに248点を発見と発表 | 具象画が計893点に到達 |
| 2026年5月 | ナショナルジオグラフィックがAI研究を特集 | 小道と地上絵の関係が国際的にも紹介される |
| 2026年10月 | 山形大学が最新研究を扱う公開講座を案内 | AI調査や「見る・歩く・読む」という解読視点を紹介 |
2026年の動向で注目したいのは、発見数を増やすだけでなく、地上絵の意味を読み解く方向へ研究の重点が移っていることだ。
山形大学は2026年10月に「ナスカの地上絵を読み解く」という全3回の公開講座を案内した。古代アンデス社会の背景、衛星画像・航空写真・AIを使った調査、地上絵と小道の配置を手掛かりにした解読を扱う内容となっている。
11月1日、8日、15日の開催が予定され、研究を主導する坂井正人氏が講師を務める。2026年の研究テーマが、地上絵を単なる巨大な絵としてではなく、人々の行動や社会との関係から理解する方向にあることが分かる。
AIが見つけたのは、まだ全体の一部
AIによる発見は、完成した地上絵を自動的に確定する仕組みではない。
まず航空写真などから地上絵の可能性がある場所を抽出し、研究者が候補を選定する。その後、実際に現地を歩き、ドローン撮影なども利用して確認する。
2024年の研究では、AIが1309件の有望な候補を特定し、その約4分の1を現地調査した結果、303点の新しい具象的地上絵が確認された。
また、2025年の山形大学発表では、AIが特定した候補のうち500点以上が未調査とされていた。
つまり、893点という数字は研究の終着点ではない。現地での確認が進めば、さらに地上絵の数が増える可能性がある。
【なぜ消えない?】約2000年間も地上絵が残った驚きの自然条件
ナスカの地上絵を見た人が抱くもう一つの疑問が、「なぜ雨や風で消えずに残っているのか」という問題だ。
普通の地面に描いた線なら、雨が降ったり風で砂が動いたりすることで、長い年月の間に形が崩れてしまう。
ところがナスカ台地では、地上絵の多くが長期間にわたって保存されてきた。
理由1:世界でも特に乾燥した地域にある
最大の理由は、ナスカ台地の気候にある。
この地域はペルー南部の乾燥した海岸地帯に位置し、年間降水量が非常に少ない。
ユネスコも、ナスカとフマナ平原の極端な乾燥環境が地上絵の保存に大きく貢献してきたと説明している。
水による侵食が少ないため、地表に刻まれた線や図柄が長期間残りやすい。
理由2:暗い石を取り除くことで明るい地面を露出させている
ナスカの地上絵は、一般的な絵画のように顔料を塗って作られたものではない。
地表の暗い石を取り除き、下にある明るい土を見せることで図柄を作っている。
そのため、色を塗った部分が剥がれ落ちて消えるという構造ではない。
地表の風化した砂利を除去して明るい地盤を露出させる制作方法そのものが、長期間の保存につながっている。
理由3:農耕地として利用されにくい環境だった
ナスカ台地の地上絵が残った背景には、人間の土地利用も関係している。
乾燥した台地は大規模な農耕に適しておらず、一般的な農地のように頻繁に耕されたり、土地が改変されたりする機会が比較的少なかった。
PNASの研究でも、ナスカ台地が洪水の影響を受けにくく、農業に適さない環境だったことが長期保存の要因として説明されている。
ただし、永久に消えないわけではない
ここで注意したいのは、ナスカの地上絵が完全に自然災害や人間活動から守られているわけではないことだ。
ユネスコによると、南パンアメリカン・ハイウェイの建設によって一部の線や図柄に損傷が生じている。
また、2026年5月のナショナルジオグラフィックの記事では、偶発的・意図的な破損に加え、気候変動に伴う鉄砲水のリスクも紹介された。
2025年には、ペルー政府がナスカの考古学保護区の範囲を約5600平方キロメートルから約3200平方キロメートルへ縮小したことも報じられた。
この変更に対して保全関係者から懸念が示された一方、ペルー文化省は最新の考古学調査に基づく調整であり、ユネスコ世界遺産の指定や緩衝地帯には影響しないと説明している。ユネスコは境界変更についてペルー当局に追加情報を求めるとしていた。
約2000年間残ったからといって、これから先も必ず残るとは限らない。地上絵の保存は、発見や解読と同じくらい重要な課題になっている。
【プロの結論】ナスカの地上絵の謎と真相を整理!宇宙人説や天体観測説は本当か
ナスカの地上絵については、宇宙人が描いた、宇宙船の着陸場所だった、古代の巨大な天文台だったなど、さまざまな説が語られてきた。
しかし、2026年までの考古学研究を整理すると、重要なのは、こうした説を一つの答えにまとめてしまわないことだ。
宇宙人が描いたという説に証拠はある?
宇宙人説が広がった理由は、巨大な図柄が上空から見ると非常に分かりやすく、人間が地上から全体を把握しにくいことにある。
しかし、地上絵の制作方法は、地表の石を取り除くという古代の人々が実行可能な技術で説明できる。
加えて、木製の杭やひもを使った測量方法も考えられており、未知の文明や地球外生命体の介入を持ち出さなくても、制作過程を説明できる。
現在の考古学研究において、宇宙人が制作したことを裏付ける確かな証拠は確認されていない。
天体観測・暦として使われた説は否定された?
天体観測説は、ナスカの地上絵研究の初期から注目されてきた。
太陽の動きや季節の変化を地上の線と結びつけ、農業の時期を判断するために利用したという考え方だ。
ユネスコの世界遺産資料でも、天文学と関連した儀礼的機能があった可能性が紹介されている。
ただし、すべての線が特定の天体や星座に対応していると証明されたわけではない。
2024年のPNAS論文も、地上絵の目的として天文・暦、農業・灌漑、移動・コミュニケーション、芸術表現など複数の仮説を整理している。
そのうえで、線タイプと面タイプの違いを分析し、儀礼と情報伝達という異なる役割を示している。
地上絵は一つの目的ではなく、複数の役割を持っていた可能性
ここが、2026年時点で最も注目すべき研究上のポイントだ。
例えば、巨大な動物の地上絵が共同体の儀礼に関係していたとすれば、そこには信仰や集団の結束を確認する意味があったのかもしれない。
一方、小道沿いの小さな人物や動物の地上絵は、日常的にその場所を通る人々に何らかの情報を伝える役割を担っていた可能性がある。
2025年の248点の新発見では、小道ごとに人身供犠、野生の鳥、家畜などのテーマが見られた。
これは、図柄の意味を個別に考えるだけではなく、周囲の地上絵との組み合わせや、歩く人々の視点から考える必要があることを示している。
ナスカの地上絵の情報を見極める3つの基準
インターネット上にはさまざまな解釈が存在するが、研究の信頼性を判断する際には、次の3点が参考になる。
1. 発見された事実と解釈を区別する
248点が発見されたことは山形大学の公式発表で確認できる事実だ。一方、それらが何のために描かれたかは、配置や図柄から導かれた考古学的な解釈である。
2. 図柄だけでなく周囲の環境を見る
動物の絵だけを見て意味を決めるのではなく、小道、幾何学模様、遺物、地形との位置関係を確認することが重要だ。
3. AIの検出結果と現地確認を区別する
AIが見つけた候補は、そのまま確定した遺跡ではない。現地調査によって地上絵であることを確認する必要がある。
この3点を押さえると、センセーショナルな説と実際の考古学研究を区別しやすくなる。
【よくある質問】ナスカの地上絵の謎に関するFAQ
Q1:ナスカの地上絵は誰が描いたのですか?
古代ペルー南部で暮らしていたパラカス文化やナスカ文化などの人々が、長い時間をかけて制作したと考えられている。特定の一人ではなく、複数の世代や共同体が関わったとみられる。
Q2:ナスカの地上絵はいつ作られたのですか?
代表的な地上絵は紀元前500年から紀元後500年ごろにかけて制作されたとされる。ただし、地上絵の種類や使用時期には違いがあり、一部はさらに後の時代まで利用された可能性が研究されている。
Q3:ナスカの地上絵はなぜ消えないのですか?
降水量が非常に少ない乾燥した気候と、暗い表面の石を取り除いて明るい地面を露出させる制作方法が主な理由だ。ただし、洪水や道路建設、人間による破損などの危険は残っている。
Q4:2025年に発見された248点はすべて動物の絵ですか?
違う。248点のうち160点が動物や人間などの具象的な地上絵で、残りには幾何学図形などが含まれる。発見後、具象的な地上絵の総数は893点になった。
Q5:ナスカの地上絵は宇宙人が描いたのですか?
宇宙人が描いたという科学的な証拠は確認されていない。石を取り除く制作方法や古代の測量技術によって、人間が制作できたと考えられている。
Q6:ナスカの地上絵は何のために作られたのですか?
有力な解釈は、共同体の儀礼や巡礼、信仰に関係していたというものだ。また、小型の地上絵には、道を通る人々への情報伝達という役割があった可能性も指摘されている。
まとめ:ナスカの地上絵の謎はAIと考古学で解明が進む
ナスカの地上絵は、単に巨大な動物や人物を描いた古代の芸術作品ではない。古代アンデスの人々の信仰、社会活動、移動、共同体の記憶などが反映された文化的な景観と考えられている。
2024年には山形大学とIBMのAI調査で303点、2025年にはさらに248点の新発見が発表された。具象的な地上絵の確認数は893点に達し、従来の研究では見つけにくかった小型の地上絵にも光が当たっている。
特に重要なのは、巨大な線タイプが共同体の儀礼、小型の面タイプが個人や小集団への情報伝達に関係していた可能性だ。これによって、地上絵の目的を一つの仮説だけで説明するのではなく、場所や大きさ、図柄、周囲の道との関係から考える研究が進んでいる。
2026年も、山形大学による研究成果の普及や解読の取り組みが続いている。今後は、AIが抽出した未調査候補の確認に加え、地上絵の配置に隠された物語やメッセージの解読が焦点になる。
ナスカの地上絵の本当の謎は、どうやって巨大な絵を描いたかだけではない。古代の人々が、なぜ砂漠という広大な土地に、これほど多くの図柄を残そうとしたのかという問いにある。
その答えは、空から眺めるだけでは見つからない。地上を歩き、絵の配置を調べ、古代の人々の生活や信仰を読み解くことによって、少しずつ明らかになろうとしている。