「なばため」と「なまため」は、別々の名字なのでしょうか。
答えは、必ずしもそうではありません。同じ漢字表記でも、家によって読み方が異なる場合があるというのが実情です。
生田目は「なばため」と「なまため」の両方で読める
「生田目」という漢字を見ると、「生」を「なま」と読むことから「なまため」と読む人もいます。
一方、栃木県益子町の地名「生田目」は「なばため」です。この地名に由来する名字の読み方として「なばため」が伝わっています。
つまり、次のように整理できます。
- なばため: 益子町の生田目という地名に結び付く伝統的な読み方。
- なまため: 「生」の字の読み方に沿った名字の読み方。
- 共通点: どちらも「生田目」という同じ漢字表記で成立する。
「なまため」は間違った読み方というわけではありません。名字の読み方は家ごとに受け継がれているため、漢字だけで正誤を決めることはできないのです。
読み方が変わると別の名字になる?
ここも注意したいところです。
例えば「生田目(なばため)」と「生田目(なまため)」は、漢字が同じでも読み方が異なります。
一方、「生田目」と「生天目」は漢字そのものが異なりますが、どちらも「なばため」と読むことがあります。
したがって、名字を分類するときには、次の3つを区別する必要があります。
1. 漢字が同じで読み方が異なるケース
2. 漢字が異なっても読み方が同じケース
3. 漢字も読み方も異なるケース
この区別をしないまま名字の人数や由来を調べると、別の名字の情報を混同してしまう可能性があります。
【実在する著名人】生田目・生天目・那波多目を持つ人物

「なばため」という読み方は、スポーツや声優、日本画の分野でも確認できます。
特に2026年は、日本画家の那波多目功一氏の訃報によって、この名字が改めて注目される出来事もありました。
生田目翼:北海道日本ハムファイターズの投手
1995年2月19日生まれ・茨城県出身
北海道日本ハムファイターズ所属の投手。右投右打。2018年ドラフト3位で指名された。
生田目翼選手は、「生田目」を「なばため」と読む代表的な人物です。
NPB(日本野球機構)の公式選手情報では、出身校は水戸工業高校、流通経済大学、日本通運。2018年のドラフト3位で北海道日本ハムファイターズに入団した経歴が確認できます。
名字の読み方を調べている人にとっては、実際の著名人の名前から読みを確認できる例の一つです。
生天目仁美:読み方を知る手掛かりになる声優
8月4日生まれ・神奈川県出身
賢プロダクション所属の声優。『ドキドキ!プリキュア』の相田マナ/キュアハート役などで知られる。
生天目仁美さんも「生天目」を「なばため」と読む人物です。
所属事務所の賢プロダクション公式プロフィールには、名前の読み方や出身地、経歴、代表作が掲載されています。
特に『ドキドキ!プリキュア』での相田マナ役は、代表的な出演作の一つです。
「生天目」という表記が実際に「なばため」と読まれることを知るうえで、分かりやすい実例です。
那波多目功一:2026年に逝去した日本画家
1933年11月8日〜2026年7月1日
茨城県出身の日本画家。日本芸術院会員、文化功労者。
那波多目功一氏は、「那波多目」という珍しい4文字の名字を持つ日本画家です。
日本美術院の公式経歴によると、1950年に再興第35回院展で初入選。その後、堅山南風や松尾敏男に師事し、日本画家としての実績を重ねました。
主な経歴を整理すると次のとおりです。
- 1950年: 第35回院展に「松山」で初入選。
- 1984年: 「うすれ日」で日本美術院賞(大観賞)を受賞。
- 1995年: 第80回院展で文部大臣賞を受賞。
- 1999年: 「富貴譜」で内閣総理大臣賞を受賞。
- 2000年: 日本芸術院賞を受賞。
- 2002年: 日本芸術院会員に任命。
- 2008年: 旭日中綬章を受章。
- 2024年: 文化功労者に選出。
- 2026年7月1日: 逝去。
これらは日本美術院、日本芸術院、茨城県近代美術館などの公的・公式資料で確認できる経歴です。
日本芸術院の会員記録にも、氏名の読み方は「なばため こういち」と記載されています。
また、日本美術院は2026年10月19日、那波多目氏のお別れの会が終了したことを公式に報告しました。
この人物の存在は、「那波多目」という表記が単なる名字辞典上の珍しい候補ではなく、実際に著名な人物が使用してきた名字であることを示しています。
ただし、同じ読み方や表記の一部が共通しているからといって、著名人同士や益子町の旧家との血縁関係まで証明されるわけではありません。個々の家系については別途、歴史資料による確認が必要です。
【プロの結論】なばためという珍しい名字を正しく理解する3つの視点
名字の研究では、読み方・漢字・地名の3つを切り離さずに考えることが大切です。
今回の「なばため」には、名字の成り立ちを理解するための要点が3つあります。
1. 読み方の中心にあるのは益子町の生田目
「生田目(なばため)」という地名が、名字のルーツを考えるうえで重要な手掛かりになっています。
地名から名字が生まれることは、日本の姓氏の歴史では珍しいことではありません。土地を所有した人物や、その地域に住んでいた一族が地名を名乗ることで、現在まで名字が伝わるケースがあります。
生田目についても、1564年の文書に地名を名乗ったとみられる人物が登場することが、歴史を考える材料になります。
2. 珍しい読み方と珍しい漢字表記は別の問題
「生田目」は名字全体の推計人数では約5,300人です。
この数字だけを見ると、極端に少ない名字とはいえません。しかし、全国的に分布が均等ではなく、福島県・茨城県・栃木県に多いという地域的な特徴があります。
また、「那波多目」のような表記は推計約20人とされ、非常に珍しい名字です。
つまり、「なばため」という読み方全体が珍しいということと、個々の漢字表記の人数が少ないということは、分けて考える必要があります。
3. 家系を調べるなら漢字だけで判断しない
自分の家系や先祖に「なばため」という名字がある場合、名字辞典だけでルーツを確定することはできません。
より詳しく調べるなら、次の資料が役立ちます。
- 戸籍や除籍謄本などの家族関係を示す記録
- 菩提寺に残る過去帳
- 地域の郷土史や村の記録
- 古文書に記載された土地や人物の名前
- 地域の図書館や自治体が所蔵する歴史資料
特に、栃木県益子町とのつながりを調べる場合は、現在の住所だけでなく、過去の居住地や先祖の記録を照合することが大切です。
名字の共通性はルーツを探る手掛かりにはなりますが、血縁関係を証明するものではありません。
この点を理解しておけば、珍しい名字の由来を調べる際にも、誤った家系の結び付けを避けられます。
【なばための読み方・由来】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:なばためと読む名字は全部で何種類ありますか?
A1:名字事典では、生田目・生天目・青天目・生畑目・名畑目・天生目・天女目・那波多目の8種類が掲載されています。
Q2:生田目は「なまため」と読んでも正しいですか?
A2:はい。「生田目」には「なばため」と「なまため」の両方の読み方があります。個人の正式な読み方は本人や家族に確認するのが確実です。
Q3:なばためという名字の由来は栃木県ですか?
A3:代表的な由来として、栃木県芳賀郡益子町の生田目という地名があります。旧生田目村は歴史資料にも記録されています。ただし、すべての同姓の家系が同じ経緯で成立したと断定することはできません。
まとめ:なばための名字は地名と漢字の変遷が鍵
「なばため」は、生田目をはじめとする8種類の漢字表記を持つ、地域的な歴史と深く結び付いた名字です。
そのルーツを考えるうえで重要なのが、栃木県益子町に残る生田目という地名です。旧生田目村は江戸時代の記録にも登場し、1564年の文書には地名を名乗ったとみられる人物も確認されています。
また、「なばため」と「なまため」は同じ漢字で使われることがあり、読み方だけで名字の由来を決め付けることはできません。
2026年現在も、生田目翼選手、生天目仁美さん、故・那波多目功一氏など、さまざまな分野でこの読み方を持つ人物が確認できます。
珍しい名字の魅力は、漢字の不思議さだけではありません。その背景には、土地の歴史や人々の移動、家ごとに受け継がれてきた読み方があります。「なばため」という4音の名字を入り口に、地域の歴史までたどってみると、日本の名字文化の奥深さが見えてきます。