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【結論】みかんの白い筋を食べてもガンにはならない

保坂 匠 保坂 匠 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

最初に知っておきたいのは、みかんの白い筋を食べることと、がんの発症との間に、因果関係を示す科学的根拠は確認されていないという点です。

農林水産省の食品相談情報でも、白い筋は果実の成長に必要な組織として説明されています。毒性のある部分でも、取り除かなければならない危険な部分でもありません。

むしろ、白い筋を取り除くと、そこに含まれている食物繊維やヘスペリジンも一緒に捨てることになります。栄養を幅広く摂取したいなら、食感に問題がない範囲で食べるのがおすすめです。

なぜ「白い筋は体に悪い」という話が広まったのか

考えられる理由の一つは、白い筋の見た目と独特の食感です。果肉に細かく付着しているため、異物や傷んだ組織のように感じることがあります。

また、柑橘類には苦味を持つ成分が含まれていることから、白い部分を取り除いた方がおいしいと感じる人もいます。しかし、苦味や食感の問題と、人体に有害であることは別の話です。

食べるかどうかは好みで決めて構いません。白い筋を取り除く習慣があるからといって、健康上の問題があるわけでもありません。

【正体を解説】みかんの白い筋は維管束?アルベドとの違い

みかん白い筋ガン

みかんの白い部分を正しく理解するには、果実の構造を知る必要があります。

実は、皮をむいたときに見える白い部分は、すべて同じ組織ではありません。房に付着している細い筋と、皮の内側にある白いスポンジ状の部分では、植物学的な役割が異なります。

1. 維管束は水分と栄養を運ぶ通路

農林水産省が令和8年度に更新した「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」という食品相談では、房の背中にある葉脈のような白い筋を維管束と説明しています。

維管束は、植物の内部で水分や栄養分を運ぶ組織です。みかんの場合、果肉に含まれる小さな粒状の部分とつながっており、果実が成長するための重要な役割を担っています。

つまり、あの白い筋は果実の成長を支えていた自然な組織です。異物やカビ、腐敗によって発生したものではありません。

2. アルベドは皮の内側にある白い部分

一方、アルベドは、みかんのオレンジ色の外皮の内側にある白い海綿状の組織です。植物学的には中果皮と呼ばれます。

みかんの皮は大きく分けて、外側のフラベドと内側のアルベドから構成されています。

- フラベド:オレンジ色の外側の皮。色素や香り成分を含む。
- アルベド:皮の内側にある白いスポンジ状の部分。
- 維管束:果実内部で水分や栄養分を運ぶ網目状の組織。
- じょうのう膜:一つ一つの房を包む薄い袋。
- 砂じょう:果汁を蓄えている小さな粒状の果肉。

アルベドと維管束は別の構造ですが、白い筋がアルベドの一部のように見えることもあります。農林水産省の過去の食べ方紹介でも、白い筋を広い意味でアルベドと表現しています。

厳密な構造を説明する場合は、房に付着する網目状の筋を維管束、外皮の内側の白い部分をアルベドと区別すると理解しやすくなります。

【栄養成分】みかんの白い筋にはヘスペリジンと食物繊維が豊富

白い筋を食べるメリットとして注目したいのが、食物繊維とヘスペリジンです。

農林水産省の資料では、みかんの維管束やじょうのう膜には、食物繊維のほか、ヘスペリジンというポリフェノールが含まれていると説明されています。果肉だけを食べる場合とは、摂取できる成分の構成が異なります。

ヘスペリジンとは?ビタミンPと呼ばれる成分

ヘスペリジンは、柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。ビタミンPという名称で紹介されることもあります。

特に、果肉を包むじょうのう膜や白い筋、アルベドなどに多く含まれています。

研究では、ヘスペリジンの抗酸化作用や血管機能への作用などが調べられています。ただし、食品に含まれるヘスペリジンを摂取すれば、がんを予防できると証明されたわけではありません。

健康成分として研究されていることと、特定の病気を防ぐ効果が人間で確立していることは、区別して考える必要があります。

食物繊維は腸内環境を整える栄養成分

みかんの白い筋や薄皮には食物繊維が含まれています。

食物繊維は消化酵素で消化されにくい成分で、便通を整えたり、腸内環境の維持を助けたりする働きがあります。

また、みかんの薄皮や白い部分にはペクチンなどの食物繊維も含まれています。果肉だけを食べるよりも、房を包む膜や筋を一緒に食べることで、これらの成分を摂取できます。

ただし、白い筋を少量食べるだけで、必要な食物繊維を十分に補えるわけではありません。野菜や豆類、海藻なども組み合わせることが大切です。

みかんの部位別・栄養成分と役割の比較

ここまで紹介した成分と果実の構造を整理すると、次のようになります。

部位・成分 主な特徴 健康との関係
維管束(白い筋) 食物繊維、ヘスペリジン 食物繊維やポリフェノールを摂取できる
アルベド(白い内皮) 食物繊維、フラボノイド類 柑橘類に含まれる機能性成分の供給源
じょうのう膜(薄皮) 食物繊維、ペクチン、ヘスペリジン 便通や腸内環境の維持を助ける
砂じょう(果肉) ビタミンC、β-クリプトキサンチンなど 抗酸化作用に関係する栄養成分を含む
β-クリプトキサンチン 温州みかんに特徴的なカロテノイド 生活習慣病やがんとの関連が研究されている

この比較で重要なのは、白い筋に含まれるヘスペリジンと、オレンジ色の果肉に多いβ-クリプトキサンチンを混同しないことです。

どちらも健康研究の対象となっている成分ですが、存在する部位も性質も異なります。

【がん予防の科学的根拠】β-クリプトキサンチンとみかんの関係

みかんとがんの関係を調べるうえで、白い筋以上に研究されてきた成分がβ-クリプトキサンチンです。

β-クリプトキサンチンは、カロテノイドの一種で、温州みかんに特徴的に多く含まれています。みかんの果肉が鮮やかなオレンジ色をしている理由に関係する色素成分の一つです。

β-クリプトキサンチンにはどのような研究がある?

農研機構などが関わった三ヶ日町研究では、静岡県の旧三ヶ日町の住民を対象として、みかんの摂取量や血液中のβ-クリプトキサンチン濃度と健康状態との関係が調査されました。

研究開始時の調査では、対象者1,073人のデータが集められ、みかんの摂取と生活習慣病などのリスクとの関連が検討されています。

β-クリプトキサンチン濃度が高い人では、肝機能障害や動脈硬化、インスリン抵抗性などの指標との間に好ましい関連が見られたと報告されています。

ただし、これらは観察研究を含む結果です。みかんを食べたことが直接的な原因となって病気のリスクが低下したと断定することはできません。

β-クリプトキサンチンは本当にがんを予防するのか

β-クリプトキサンチンについては、肺がんを含むがんとの関連を調べた研究も存在します。

2004年に公表された7つのコホート研究を統合した解析では、約39万9,765人を対象に食事由来のカロテノイド摂取量と肺がん発症リスクが検討されました。

その結果、β-クリプトキサンチンの摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループと比較して肺がんリスクが低い関連を示しました。報告された相対リスクは0.76(95%信頼区間0.67~0.86)でした。

ただし、これは食事調査に基づく観察研究の統合結果です。β-クリプトキサンチンを摂取すれば肺がんを予防できると証明した臨床試験ではありません。また、みかんの白い筋だけを調べた研究でもありません。

2026年5月改訂の国立がん研究センターの評価

がん予防について判断するうえで参考になるのが、国立がん研究センターが2026年5月26日に改訂した「がん予防法の提示」です。

同研究班による日本人対象の研究に基づく評価では、果物の摂取について、食道がんのリスク低下は「ほぼ確実」、胃がんと肺がんは「可能性がある」とされています。

一方、全がんやその他の部位については、現時点で科学的根拠が不十分と評価されています。

ここで注意したいのは、この評価は果物全体に関するものであり、温州みかんだけ、まして白い筋だけにがん予防効果が確認されたという意味ではないことです。

したがって、現時点での科学的な整理は次のとおりです。

- 白い筋を食べるとがんになるという根拠はない。
- みかんにはβ-クリプトキサンチンなどの研究対象成分が含まれる。
- 果物の摂取と一部のがんリスク低下には関連を示す研究がある。
- みかんや白い筋だけでがんを予防できるとは証明されていない。

【食べ方と安全性】白い筋や薄皮は取り除くべき?

白い筋を食べても問題がないのであれば、気になるのは実際にどのように食べるのがよいかという点です。

基本的には、みかんの白い筋も薄皮も、通常の食用として食べられる部分です。栄養をできるだけ残したいなら、過度に取り除かずに食べる方法がおすすめです。

白い筋を取り除くメリットとデメリット

白い筋を取り除く最大のメリットは、食感が滑らかになることです。

一方、丁寧に取り除くほど、維管束やアルベドに含まれる食物繊維やヘスペリジンを摂取する機会も減ります。

どちらが正しいという問題ではなく、食べやすさと栄養面のバランスで決めれば十分です。

薄皮と白い筋は一緒に食べた方がいい?

基本的には、薄皮も白い筋も一緒に食べて構いません。

農林水産省の資料でも、みかんのじょうのう膜や白い筋には食物繊維とヘスペリジンが含まれているため、気にならない人には袋ごと食べることが勧められています。

ただし、硬い薄皮が苦手な人や、食べると胃腸に不快感が出る人は、無理をする必要はありません。食べやすい方法を優先しましょう。

安心してみかんを食べるためのポイント

白い筋そのものを心配する必要はありませんが、食品としてのみかんの状態には気を配りたいところです。

- カビが生えているものや腐敗しているものは食べない。
- 果実に異臭や不自然な変色がある場合は状態を確認する。
- 皮をむく前に手を清潔にする。
- 傷んだ部分が果肉まで及んでいる場合は食べない。
- 食物アレルギーや胃腸の不調がある場合は無理に食べない。
- 糖質の摂取制限がある場合は、果実の食べる量にも配慮する。

特に注意したいのは、白い筋とカビを混同しないことです。みかん本来の白い筋は房に沿って規則的に付着しています。一方、カビは不自然に広がったり、綿毛状に見えたりすることがあります。

見た目だけで判断できないほど傷んでいる場合は、食べないことが安全です。

【プロの結論】白い筋を取るかどうかは栄養と食べやすさで判断する

みかんの白い筋とがんの関係を考える際、最も大切なのは、食品の安全性と栄養成分の研究、がん予防の科学的根拠を混同しないことです。

2026年の農林水産省の説明では、白い筋の正体は維管束です。果実に水分や栄養分を運ぶ組織であり、食物繊維やヘスペリジンを含んでいます。

一方、がん予防の研究で話題になるβ-クリプトキサンチンは、主にみかんのオレンジ色の果肉に含まれるカロテノイドです。白い筋に含まれるヘスペリジンとは別の成分です。

この2つを正しく区別することが、みかんの健康効果を理解する第一歩になります。

食べ方については、次のような判断基準が現実的です。

- 栄養を幅広く摂りたい人:白い筋や薄皮を残して食べる。
- 食感が苦手な人:無理に食べず、取り除いて構わない。
- 胃腸が敏感な人:食べたときの体調を優先する。
- がん予防を意識している人:特定の食品に頼らず、食生活全体や生活習慣を見直す。

みかんは季節の果物として楽しみながら、ビタミンや食物繊維、カロテノイドなどを摂取できる食品です。白い筋をすべて取り除かなければならない医学的な理由はありません。

【みかんの白い筋とがん】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:みかんの白い筋を毎日食べるとガンになりますか?

A1:白い筋を毎日食べることで、がんになるという科学的根拠はありません。通常の食事の範囲で食べる分には、がんを心配して取り除く必要はありません。

Q2:農林水産省はみかんの白い筋を食べても大丈夫と説明していますか?

A2:農林水産省は、白い筋の正体を栄養分や水分を運ぶ維管束と説明しています。また、過去の食べ方に関する資料では、白い筋に食物繊維やビタミンPなどの成分が含まれていることを紹介しています。

Q3:みかんの白い筋とアルベドは同じものですか?

A3:厳密には異なります。房の表面に付着している網目状の筋は維管束で、外皮の内側にある白いスポンジ状の組織がアルベドです。どちらも白い部分として見えるため、混同されることがあります。

Q4:みかんの白い筋にはヘスペリジンが含まれていますか?

A4:含まれています。ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種で、じょうのう膜や白い筋などに存在します。抗酸化作用などが研究されていますが、がん予防効果が確立した成分というわけではありません。

Q5:みかんの白い筋を取ると栄養がなくなりますか?

A5:すべての栄養がなくなるわけではありません。ただし、白い筋を取り除けば、その部分に含まれる食物繊維やヘスペリジンを摂取する量は減ります。果肉にもビタミンCやβ-クリプトキサンチンなどが含まれています。

Q6:みかんの薄皮も食べた方が健康にいいですか?

A6:薄皮には食物繊維やペクチンなどが含まれています。白い筋と同様に、食感が気にならなければ一緒に食べるのがおすすめです。ただし、無理に食べる必要はありません。

Q7:みかんのβ-クリプトキサンチンにはがん予防効果がありますか?

A7:β-クリプトキサンチンと一部のがんリスクとの関連を示す研究はあります。しかし、みかんを食べればがんを予防できると断定できる段階ではありません。国立がん研究センターの2026年の評価でも、果物全体の摂取とがんの関係は部位によって評価が異なっています。

まとめ:みかんの白い筋は無理に取らず安心して食べよう

みかんの白い筋を食べるとガンになるという話には、科学的な裏付けがありません。

農林水産省が2026年度に更新した説明によれば、房に付着する白い筋は、果実に水分や栄養分を運ぶ維管束です。食物繊維やヘスペリジンを含む、みかんの自然な構成部分です。

また、みかんのがん予防との関係で研究されているβ-クリプトキサンチンは、白い筋ではなく、主に果肉に含まれる成分です。研究成果は興味深いものの、特定の食品だけでがんを予防できるという結論には至っていません。

白い筋や薄皮が気にならなければ、そのまま一緒に食べて問題ありません。反対に、食感が苦手なら取り除いても大丈夫です。

白い筋は危険なものではなく、みかんが成長するために必要だった自然の組織です。不必要な不安を持たず、旬のみかんをおいしく楽しみましょう。


主な参考資料・研究機関

- 農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」(令和8年度更新)
- 農林水産省「特集1 みかん・ご存じですか?みかんの選び方・食べ方」
- 農研機構「みかんの機能性と生活習慣病予防効果」
- 国立がん研究センター がん対策研究所「がん予防法の提示」(2026年5月26日改訂)
- 国立がん研究センター「日本人における野菜・果物摂取と全がん罹患リスク」
- β-クリプトキサンチンと肺がんリスクに関する7つのコホート研究の統合解析(2004年)

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連続ドラマと朝ドラの編成・キャスト情報を追うデスク。NHK・民放の公式発表、番組公式サイト、プレスリリースを一次情報として確認し、未発表の情報は記事にしていません。

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