女子800mの日本記録は、1分59秒52です。記録保持者は久保凛(くぼ・りん)選手で、2025年7月5日に東京・国立競技場で開催された第109回日本陸上競技選手権大会の女子800m決勝で樹立しました。日本女子として初めて1分59秒台前半に到達し、約20年間破られなかった杉森美保の記録を更新する歴史的な走りでした。
2026年9月25日時点でも、この記録は日本陸上競技連盟の公式記録として維持されています。2026年6月13日の第110回日本選手権では、久保が2分01秒54で優勝し、女子800mの3連覇を達成しました。自己の日本記録には届かなかったものの、国内トップの実力を改めて示しています。
【まず答え】女子800mの日本記録は1分59秒52!保持者は久保凛

女子800mの日本記録は1分59秒52。保持者は大阪府の東大阪大学敬愛高校出身で、現在は積水化学に所属する久保凛です。
記録が生まれたのは2025年7月5日。第109回日本陸上競技選手権大会の女子800m決勝で、久保は自ら先頭を引っ張る積極的なレースを展開しました。
この結果、従来の日本記録を更新しただけでなく、大会新記録、U20日本新記録、U18日本新記録も同時に達成。国内の女子800mにおける新たな基準を打ち立てました。
日本陸上競技連盟の公式選手プロフィールでも、1分59秒52が久保の自己ベストおよび日本記録として掲載されています。
記録の基本情報を整理すると、次のとおりです。
- 種目:女子800m
- 日本記録:1分59秒52
- 記録保持者:久保凛
- 樹立日:2025年7月5日
- 大会:第109回日本陸上競技選手権大会
- 会場:東京・国立競技場
- 所属:積水化学
- U20日本記録:1分59秒52
特に注目したいのは、久保がこの記録を高校3年生のときに達成したことです。シニアの国内トップ選手が競い合う日本選手権で、若い選手が自らレースを組み立て、日本記録を更新した点に大きな意味があります。
【記録更新の経緯】杉森美保の2分00秒45から久保凛の1分59秒52へ
現在の日本記録を理解するには、久保凛が登場する前の女子800mの歴史を振り返る必要があります。
長く日本記録を保持していたのは杉森美保です。2005年6月5日、日本選手権で2分00秒45をマークしました。この記録は日本女子としての高い水準を示すもので、後続の選手たちが長年追いかける目標となりました。
2024年7月15日、日本女子初の1分台へ
大きな転換点となったのが2024年7月15日です。奈良県長距離強化記録会の女子800mで、当時高校2年生だった久保凛が1分59秒93を記録しました。
これは日本女子として初めての1分台突入でした。杉森美保が保持していた2分00秒45を0秒52更新し、約19年間動かなかった日本記録を塗り替えています。
加えて、この1分59秒93はU20日本記録やU18日本記録も更新する快挙でした。久保は2024年の日本選手権でも優勝しており、国内のトップ選手として急速に存在感を高めていました。
2025年7月5日、1分59秒52で再び日本新記録
2024年の記録更新から約1年後、久保はさらに自己ベストを縮めます。
2025年7月5日の第109回日本選手権で、1分59秒52をマーク。前年の自身の日本記録1分59秒93を0秒41更新しました。
日本陸連の大会後のコメントによると、久保は前半から自分のペースで先頭を引っ張り、後半も速度を落とさないことを意識していました。本人も、前半から積極的にレースを進めるプランを実行できたことに手応えを示しています。
この記録更新の流れを整理すると、次のようになります。
- 2005年6月5日:杉森美保が2分00秒45を樹立。
- 2024年7月15日:久保凛が1分59秒93で日本女子初の1分台を達成。
- 2025年7月5日:久保凛が1分59秒52をマークし、日本記録を再更新。
- 2026年6月13日:久保凛が2分01秒54で日本選手権3連覇。
杉森の記録を約19年ぶりに破り、さらに翌年に自分自身の記録を更新したことが、久保のキャリアにおける大きな転換点となっています。
【日本歴代ランキング】女子800m日本歴代10傑を一覧で紹介
女子800mの日本歴代ランキングを見ると、久保凛の1分59秒52がトップに位置しています。2位は杉森美保の2分00秒45、3位は北村夢の2分00秒92です。
月刊陸上競技の日本歴代ランキングを参考に、上位10人をまとめました。
| 順位 | 選手名 | 記録 | 樹立日 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 久保凛 | 1分59秒52 | 2025年7月5日 |
| 2位 | 杉森美保 | 2分00秒45 | 2005年6月5日 |
| 3位 | 北村夢 | 2分00秒92 | 2017年9月10日 |
| 4位 | 塩見綾乃 | 2分01秒01 | 2025年8月13日 |
| 5位 | 久保瑠里子 | 2分01秒90 | 2011年8月6日 |
| 6位 | 西村美樹 | 2分02秒10 | 2003年6月8日 |
| 7位 | 田中希実 | 2分02秒36 | 2021年9月20日 |
| 8位 | 渡辺愛 | 2分02秒39 | 2024年10月15日 |
| 9位 | 丹野麻美 | 2分02秒64 | 2009年10月4日 |
| 10位 | 川田朱夏 | 2分02秒71 | 2018年5月3日 |
歴代ランキングから見える女子800mの進化
ランキングで目を引くのは、1位と2位の差です。
久保の1分59秒52と杉森の2分00秒45の差は0秒93。800mという比較的短い中距離種目では、1秒未満の差でも選手の順位を大きく左右します。
また、4位には塩見綾乃がランクインしています。2025年8月13日に2分01秒01をマークしており、久保だけでなく、国内の複数の選手が高い水準で競い合っていることが分かります。
歴代ランキングを見る際には、年間ランキングと日本歴代ランキングを混同しないことも大切です。年間ランキングは特定のシーズンの成績を比較するものですが、日本歴代ランキングは過去を含めた自己最高記録を比較するものです。
【2026年日本選手権】久保凛は2分01秒54で3連覇を達成
2026年の女子800mで大きな注目を集めたのが、6月12日から14日まで愛知県のパロマ瑞穂スタジアムで開催された第110回日本陸上競技選手権大会です。
6月13日の女子800m決勝で、久保凛は2分01秒54を記録して優勝しました。2024年、2025年に続く3連覇です。
決勝の上位結果は次のとおりです。
- 1位:久保凛(積水化学)2分01秒54
- 2位:塩見綾乃(岩谷産業)2分01秒67
- 3位:勝くるみ(筑波大学)2分03秒77
久保と塩見の差はわずか0秒13。最後の直線まで競り合う展開となり、久保が終盤の勝負を制しました。
日本記録に届かなかった理由は?
2025年の日本記録1分59秒52と比較すると、2026年の優勝タイム2分01秒54は2秒02遅い記録です。
ただし、これだけで久保の競技力が低下したと判断するのは適切ではありません。800mはレース展開やペース配分、選手同士の位置取りによって記録が変わる種目です。
日本陸連が公開した2026年大会後のコメントでは、久保はシーズン序盤から調子が上がらず、不安を抱えていたことを明かしています。また、予選で最後の200mに課題を感じたことから、決勝ではレースプランを変更しました。
「前半と後半をイーブンで走り、前半のリズムを保ち、後ろでリラックスして走る」
これは決勝に向けた久保自身のレースプランについての発言です。前年のように自ら先頭を引っ張るのではなく、集団の中でリズムを保ち、終盤の勝負に備える戦略を選びました。
その結果、塩見との接戦を制して優勝。日本記録を更新するレースではなかったものの、状況に応じて戦術を変え、勝ち切る能力を示しました。
2分01秒54はアジア大会派遣設定記録も突破
2026年日本選手権の女子800mには、アジア大会派遣設定記録として2分01秒67が設定されていました。
久保の2分01秒54はこの基準を0秒13上回っています。2位の塩見綾乃も2分01秒67で設定記録をクリアしました。
日本陸連の大会発表では、久保は2026年の名古屋アジア大会に向けた代表内定選手として紹介されています。日本選手権3連覇だけでなく、国際大会を見据えた競技力の確認という意味でも重要なレースでした。
【ラップタイム分析】久保凛の日本記録は200mごとにどう走った?
女子800mは、400mトラックを2周する種目です。単純に速く走るだけではなく、最初の400mと後半の400mをどう配分するかが記録を左右します。
久保凛が1分59秒52を記録した際の200mごとの通過タイムは、日本陸連の記録分析記事で次のように紹介されています。
- 最初の200m:28秒50
- 400m通過:58秒60(次の200mは30秒10)
- 600m通過:1分28秒76(次の200mは30秒16)
- 800mゴール:1分59秒52(最後の200mは30秒76)
前半58秒60、後半60秒92のレース構成
このラップを分析すると、前半400mが58秒60、後半400mが60秒92です。前半と後半の差は2秒32でした。
特に注目したいのは、400mを通過してからのペースです。残り400mの区間も大きく失速することなく、30秒台前半の200mを続けています。
最初の200mで28秒50という速い入りを見せながら、後半まで30秒台のペースを維持したことが、1分59秒台の記録につながったと考えられます。
なお、これらの200mごとの数値は、日本陸連の解説記事に掲載された100mごとの手動計時を含む参考データから整理したものです。公式のフィニッシュタイムである1分59秒52とは区別して見る必要があります。
世界記録・アジア記録と日本記録を比較
日本記録の水準を国際的に見ると、女子800mにはさらに高い記録が存在します。
- 世界記録:1分53秒28
- アジア記録:1分55秒54
- 日本記録:1分59秒52
世界記録は1983年7月26日にチェコスロバキアのヤルミラ・クラトフビロバが樹立したものです。アジア記録は中国の劉東が1993年に記録した1分55秒54です。
日本記録とアジア記録の差は3秒98、世界記録との差は6秒24あります。
女子800mで世界のトップレベルに到達するには、単に日本記録を更新するだけでなく、後半の速度維持や国際大会特有の競り合いへの対応など、さらに高い水準が大切です。
【プロの結論】女子800mの日本記録更新に必要なものと久保凛の今後
女子800mの日本記録が1分59秒52まで伸びた背景には、久保凛の個人能力だけでなく、日本女子中距離界全体の競技水準の向上があります。
杉森美保の2分00秒45が約19年間維持されていたことを考えると、2024年の久保による1分59秒93は大きな歴史的転換点でした。さらに2025年には1分59秒52まで記録を伸ばしています。
日本記録更新を評価する3つのポイント
1. 400m通過時のスピード
800mでは前半のスピードが重要ですが、最初の400mで力を使い切ると後半の失速につながります。久保の日本記録では58秒60で400mを通過し、後半も大きな崩れを防いでいます。
2. ラスト200mの粘り
最後の200mは疲労が蓄積した状態で走るため、フォームとスピードを維持する力が大切です。久保の2026年日本選手権での勝利も、終盤の競り合いを制したことがポイントでした。
3. レース展開に応じた戦術変更
日本記録を出した2025年は先頭を引っ張る積極策でしたが、2026年は集団の後方でリラックスして走る作戦を採用しました。状況に応じて異なるレースを組み立てられることは、国内大会だけでなく国際大会でも重要な能力です。
よくある誤解:2026年の2分01秒54は日本記録なのか?
答えは違います。2分01秒54は2026年日本選手権の優勝記録であり、日本記録ではありません。
日本記録は引き続き1分59秒52です。大会優勝記録、シーズンベスト、自己ベスト、日本記録はそれぞれ異なる意味を持っています。
また、2026年の日本選手権で2分01秒54だったからといって、久保の自己ベストが2分01秒54に変わったわけでもありません。過去に記録した1分59秒52は引き続き有効です。
今後の日本記録更新を評価する際には、単発の大会結果だけでなく、年間を通した安定性、前後半のラップ、国際大会での競争力を合わせて見ることが重要です。
女子800m日本記録に関するよくある質問(FAQ)
Q1:女子800mの日本記録は何分何秒ですか?
A1:1分59秒52です。久保凛が2025年7月5日の第109回日本選手権で樹立しました。
Q2:女子800mの日本記録保持者は誰ですか?
A2:久保凛です。2008年生まれで、積水化学に所属しています。日本記録のほか、U20日本記録も保持しています。
Q3:杉森美保の旧日本記録は何秒でしたか?
A3:2分00秒45です。2005年6月5日の日本選手権で樹立され、2024年7月15日に久保凛が1分59秒93を記録するまで約19年間維持されました。
Q4:久保凛が初めて日本記録を更新したのはいつですか?
A4:2024年7月15日です。奈良県長距離強化記録会で1分59秒93を記録し、日本女子初の1分台を達成しました。
Q5:2026年日本選手権の女子800mの優勝タイムは?
A5:久保凛が2分01秒54で優勝しました。2位は塩見綾乃の2分01秒67、3位は勝くるみの2分03秒77です。
Q6:女子800mの世界記録とアジア記録は?
A6:世界記録は1分53秒28、アジア記録は1分55秒54です。日本記録の1分59秒52は、世界記録より6秒24遅い水準です。
Q7:女子800mのU20日本記録も久保凛が保持していますか?
A7:はい。2025年7月5日に樹立した1分59秒52は、シニアの日本記録とU20日本記録の両方に該当します。
まとめ:女子800m日本記録は久保凛の1分59秒52!次の記録更新にも期待
2026年9月25日時点の女子800m日本記録は、久保凛が2025年7月5日に樹立した1分59秒52です。
約19年間破られなかった杉森美保の2分00秒45を2024年に更新し、翌2025年にはさらに0秒41縮めました。日本女子初の1分台突入から、1分59秒52という新たな日本記録の確立まで、久保は女子800mの歴史を大きく動かしています。
2026年6月の日本選手権では2分01秒54で3連覇を達成。自己記録には届かなかったものの、塩見綾乃との接戦を制し、勝負強さと戦術面での成長を示しました。
今後注目したいのは、日本記録のさらなる更新だけではありません。世界記録1分53秒28やアジア記録1分55秒54との距離をどこまで縮められるか、そして国際大会でどのような結果を残すかです。
女子800mは、前半のスピードと後半の持久力がぶつかる非常に奥深い種目です。久保凛を中心とした日本女子中距離界が、次にどのような記録を生み出すのか、今後のレースにも期待が高まります。
(出典: 女子800m日本記録(Yahoo!ニュース))