「今でしょ!」は、最初からテレビCMのために考案されたキャッチコピーではない。林修が予備校の教室で高校生に向けて発した、授業中のひと言だった。
2009年夏、東大受験対策の授業で誕生
発祥は2009年夏の東進衛星予備校における「東大高2・現代文」の授業だ。
林修は2009年から東進ハイスクールの専任講師を務め、東京大学や京都大学を目指す生徒に現代文を教えていた。
当時の授業映像の中に、次の問いかけと回答が残されていた。
いつやるか? 今でしょ!
興味深いのは、林修本人がこの言葉を特別な名言として意識していなかったことだ。
2013年4月のMANTANWEBのインタビューでは、東進のCM制作時に2009年の膨大な授業映像から該当シーンが偶然選ばれたと説明している。
さらに林修は、最初にこの言葉を発したときのことを覚えておらず、自分のことなのにインターネットで調べたというエピソードも明かした。
つまり、現在まで語り継がれる名フレーズは、CM用に演出されたセリフではなく、実際の授業から生まれたものだった。
名言の背景には「生徒を行動させたい」という教育観
もう一つ注目したいのが、林修の著書『いつやるか? 今でしょ!』で紹介されたエピソードだ。
林修は、わかりやすい授業をするだけでなく、生徒自身が勉強に向けて行動を起こせるようにすることが、講師の本来の役割ではないかと考えるようになった。
そのきっかけとして語られているのが、古代ギリシャの弁論家キケロとデモステネスに関する逸話である。
話を聞いた人々が感心するだけで終わるのではなく、実際に行動を起こしたくなる演説こそ価値がある、という趣旨の話だ。
この考え方は、林修の授業スタイルを理解するうえで重要だ。
「今でしょ!」は単に勉強を急かす言葉ではない。知識を得たら、それを行動につなげてほしいという教育者としての姿勢が、その短い言葉に凝縮されている。
この背景は、2013年に言葉が大流行した理由を考えるうえでも興味深い。
【東進CMからトヨタCMへ】2011年から2013年に起きた大ブレイク

2009年の授業で生まれた言葉が、全国的に知られるようになったのは、東進のテレビCMに採用されたことがきっかけだった。
2011年ごろから東進のCMで話題に
東進ハイスクールのCMでは、林修がカメラに向かって問いかけ、力強く「今でしょ!」と答える映像が使用された。
イミダスの時事用語事典によれば、2009年の授業映像がCMに採用され、2011年から放送されたことで話題になった。
映像の印象を強めたのは、林修の独特な表情や身振りだった。
もともと映像授業では、画面の向こうにいる生徒を飽きさせないため、声の強弱や間の取り方、手の動きを意識していたという。
その授業スタイルが、テレビCMでは強烈な個性として映った。
2012年には著書もヒット
2012年3月には、宝島社から『いつやるか? 今でしょ!』を出版。
CMで知られたフレーズが書籍のタイトルにも採用され、2013年4月時点で発行部数は10万部に達していた。
テレビでの知名度と書籍販売が連動し、林修は予備校講師という枠を超えた存在になっていく。
2013年1月、トヨタ自動車のCMでさらに拡散
ブレイクを決定づけた出来事の一つが、2013年1月に始まったトヨタ自動車のCMへの出演だ。
ここでは、おなじみのフレーズが自動車購入に置き換えられた。
「いつ買うか? 今でしょ!」
教育の現場で生まれた言葉が、自動車の広告にも使われたことで、受験生や保護者以外にも認知が広がった。
MANTANWEBの取材では、林修自身も東進のCMが放送されなくなってから約2年後にトヨタからオファーが届いたことに驚いたと振り返っている。
加えて、TBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」への出演などを通じて、半生や考え方が紹介され、テレビタレントとしての知名度も高まった。
注目すべきなのは、CM出演を待つだけではなく、番組スタッフに自身の半生をまとめた資料を渡すなど、テレビ出演の機会を積極的につかもうとしていた点だ。
林修のブレイクは、偶然のCM起用だけで完成したものではなかった。
【林修の経歴・年表】2013年の流行語大賞から現在まで
2013年12月2日、「今でしょ!」は「現代用語の基礎知識」選の2013ユーキャン新語・流行語大賞で年間大賞に選ばれた。
ただし、林修の「今でしょ!」だけが単独で受賞したわけではない。
同年は流行語が豊作だったことから、年間大賞は4語が同時受賞している。
林修のキャリアと主要な転換点
所属事務所のプロフィール、当時の報道、受賞発表資料をもとに整理。
2013年の年間大賞は4語が同時受賞
2013年12月2日に発表された年間大賞は次の4語だ。
- 今でしょ!:林修
- お・も・て・な・し:滝川クリステル
- じぇじぇじぇ:宮藤官九郎、能年玲奈
- 倍返し:堺雅人、TBS「半沢直樹」チーム
いずれもテレビや社会現象を通じて広く知られた言葉だった。
授賞式で林修は、自分の言葉が受賞するとは当初考えていなかったという趣旨のコメントを残している。
特に印象的なのは、受賞理由について語った次の言葉だ。
年齢を超えて背中を押す言葉であることは間違いない。
この発言は、林修自身が「今でしょ!」の価値を単なる面白い決めぜりふではなく、世代を超えて行動を促す言葉として捉えていたことを示している。
【2026年現在】林修のプロフィールと現在のレギュラー番組
2026年現在、林修は61歳。
「今でしょ!」が流行した2013年から13年が経過したが、テレビ出演を続け、教育者としての知識や説明力を生かした活動を展開している。
林修のプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 林修(はやし おさむ) |
| 生年月日 | 1965年9月2日 |
| 2026年11月現在 | 61歳 |
| 出身地 | 愛知県 |
| 身長 | 175cm |
| 最終学歴 | 東京大学法学部卒業 |
| 職業 | 予備校講師・タレント |
| 所属 | ワタナベエンターテインメント |
| 専門 | 現代文 |
| 主な教育活動 | 東進ハイスクール・東進衛星予備校 |
所属事務所の公式プロフィールでは、東進ハイスクールおよび東進衛星予備校の現代文講師として紹介されている。
また、過去には日本長期信用銀行に勤務しており、入行から半年で退職した後、予備校講師へ転身した経歴も掲載されている。
2026年現在の主なレギュラー出演番組
ワタナベエンターテインメントの公式プロフィールに掲載されているレギュラー番組は次のとおり。
| テレビ局 | 番組名 | 主な内容 |
|---|---|---|
| テレビ朝日 | 林修の今知りたいでしょ! | 最新情報・専門知識 |
| ABCテレビ | ポツンと一軒家 | 地域・人物・暮らし |
| MBS | 日曜日の初耳学 | 教育・社会・人物 |
| テレビ東京 | 世の中お金で見てみよう | 経済・お金 |
| フジテレビ | ネプリーグ | クイズ・バラエティー |
| フジテレビ | 週末はウマでしょ! | 競馬情報 |
| 中京テレビ | アプデの森 | 情報・バラエティー |
このラインアップを見ると、林修の仕事が教育番組だけに限定されていないことがわかる。
知識を整理して伝える能力を生かし、クイズ、経済、社会問題、地域の暮らしなど、幅広いジャンルに出演している。
特に「ネプリーグ」では知識を競う出演者として、「ポツンと一軒家」では人や地域の物語に触れる番組の出演者として、それぞれ異なる役割を担っている。
予備校講師として培った説明力を、番組のテーマに応じて使い分けている点が現在の活動の特徴だ。
【林修の今知りたいでしょ!】2026年の放送日と番組内容
2026年現在、林修のテレビ出演を代表する番組の一つが、テレビ朝日の「林修の今知りたいでしょ!」だ。
番組のコンセプトは、視聴者が現在知りたいと思っているテーマを、専門家の解説を通じて深掘りすること。
かつての「今でしょ!」という言葉が持っていた勢いを、今度は知識や情報を届ける番組名に生かしている。
基本的な放送情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 番組名 | 林修の今知りたいでしょ! |
| 放送局 | テレビ朝日系列 |
| 基本放送日時 | 毎週木曜日 午後7時 |
| MC | 林修 |
| 副担任 | 斎藤ちはる |
| 学級委員長 | バカリズム |
| 学友 | 伊沢拓司 |
| 見逃し配信 | TVerなど |
2026年11月の放送予定は?
2026年11月5日時点で番組表に掲載されている次回放送は、次のとおり。
2026年11月12日(木)19:00〜
林修の今知りたいでしょ!2時間スペシャル
「発酵食品の新常識マスター!医師が選ぶ食品」
主な出演者
- MC:林修
- 副担任:斎藤ちはる
- 学級委員長:バカリズム
- 学友:伊沢拓司
- ゲスト:相武紗季、高木雄也、伊集院光
テレビ朝日の番組情報・テレビ番組表掲載情報に基づく予定。
今回のテーマは発酵食品。納豆、味噌、ヨーグルト、キムチ、チーズなどを取り上げ、医師が実際に食べている食品や、健康面での特徴を紹介する内容となっている。
このように、番組では食や健康、最新研究など、日常生活に関係するテーマを幅広く扱っている。
番組の魅力は林修が「教える側」から「学ぶ側」になること
この番組の特徴は、林修が常に専門家として答えを出すのではなく、自ら生徒の立場になって専門家から学ぶ構成にある。
テレビ朝日の2026年10月8日放送回では、体重に関する最新研究や健康の新常識を取り上げ、林修や伊沢拓司らが専門家の解説を受ける内容が放送された。
つまり、林修の役割は知識を一方的に伝えることだけではない。
視聴者と同じ目線で疑問を持ち、専門家の説明を整理し、理解しやすい形で伝えることも求められている。
番組の基本放送枠は毎週木曜午後7時。特番や編成によって放送内容・時間が変わる場合もあるため、最新情報はテレビ朝日の公式番組表で確認したい。
【なぜ今もテレビで活躍できる?】林修のブレイクの理由と現在の評判
「今でしょ!」の大流行から10年以上が経過しているにもかかわらず、林修が複数のテレビ番組で活躍しているのはなぜなのか。
その理由は、流行語の知名度だけでは説明できない。
理由1:難しい内容を短く、わかりやすく説明できる
林修の最大の武器は、情報を整理して伝える能力だ。
現代文講師として、文章の構造や論理関係を読み解く仕事を長年続けてきた。
この経験は、テレビで専門家の話を聞いたり、複雑な社会問題を整理したりする際にも生きている。
特に情報番組や教養番組では、専門的な内容を視聴者が理解できる言葉に置き換える力が重要だ。
林修は、専門家と一般視聴者の間をつなぐ役割を担いやすい人物といえる。
理由2:教育者としての知識とタレントとしての個性を両立
「今でしょ!」が流行した際には、表情や身振りも大きな話題になった。
一方で、テレビ出演が増えた後も、現代文講師としての経歴や知識が活動の土台に残っている。
単なる決めぜりふの持ち主ではなく、実際に授業を担当してきた教育者という背景がある。
そのため、クイズ番組や教養番組に出演した際にも、キャラクターと専門性の両方を生かせる。
理由3:出演する番組のジャンルが幅広い
2026年のレギュラー番組を見ると、教育だけでなく経済、クイズ、地域、競馬など、多彩なジャンルに出演している。
これは、林修が一つの番組のイメージだけに依存していないことを示している。
例えば、経済番組では情報を整理する力、クイズ番組では幅広い知識、人物を扱う番組では相手の話を引き出す力が必要になる。
それぞれ異なる能力を生かせることが、長期的なテレビ出演につながっていると考えられる。
「今でしょ!」だけの人という見方は正しい?
これは、現在の林修を理解するうえで修正したい誤解の一つだ。
確かに、2013年当時はフレーズのインパクトが非常に強く、林修という人物そのものよりも「今でしょ!」の印象が先行した。
しかし、2026年の所属事務所のプロフィールには、7本のレギュラー番組が掲載されている。
その活動内容は、教養、経済、クイズ、情報バラエティーなど多岐にわたる。
現在の林修を評価するなら、2013年の流行語だけでなく、長年続けてきた講師としての実績と、現在の番組で果たしている役割を見る必要がある。
林修の現在の活動を調べるときの判断基準
情報を調べる際には、次の3点を押さえておきたい。
- 出演番組を確認する場合: 所属事務所の最新プロフィールを基準にする。
- 放送日を確認する場合: テレビ朝日の公式番組ページや最新番組表を確認する。
- 過去のCMや受賞歴を確認する場合: 2011年の東進CM、2013年のトヨタCM、同年の流行語大賞という時系列を区別する。
特に、2013年当時の出演番組を2026年現在のレギュラー番組として紹介する古い記事には注意したい。
【林修の「今でしょ!」に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:林修の「今でしょ!」はいつ生まれた?
A1:2009年夏の東進衛星予備校の東大高2・現代文の授業で生まれた言葉です。当時の授業映像が後にCMに採用され、広く知られるようになりました。
Q2:林修の「今でしょ!」は何のCMで有名になった?
A2:最初は東進ハイスクール・東進衛星予備校のCMです。その後、2013年1月にはトヨタ自動車のCMでも「いつ買うか? 今でしょ!」というフレーズが使用されました。
Q3:林修は2013年に流行語大賞を受賞した?
A3:はい。「今でしょ!」が2013年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれました。同年は「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」と合わせた4語同時受賞でした。
Q4:林修は2026年現在、何歳?
A4:1965年9月2日生まれなので、2026年11月現在は61歳です。
Q5:林修の現在のレギュラー番組は?
A5:所属事務所のプロフィールには、「林修の今知りたいでしょ!」「ポツンと一軒家」「日曜日の初耳学」「ネプリーグ」「世の中お金で見てみよう」などが掲載されています。
Q6:「林修の今知りたいでしょ!」は何曜日に放送される?
A6:基本的には毎週木曜日の午後7時からテレビ朝日系列で放送されています。特番などで変更される場合があるため、放送前に最新の番組表を確認してください。
まとめ:林修の「今でしょ!」は一度の授業から生まれ、2026年も続く
林修の「いつやるか? 今でしょ!」は、2009年夏の東進衛星予備校での現代文授業から生まれた。本人が特別な言葉として意識していなかったフレーズが、東進のCMに採用され、2013年のトヨタ自動車のCMを経て全国的な流行語へと成長した。
そして2013年12月2日には、ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞を受賞。教育者としての知名度を超え、テレビタレントとしても大きな転機を迎えた。
2026年現在の林修は61歳。テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」をはじめ、複数のレギュラー番組に出演し、教育、経済、社会、教養など幅広い分野で活躍している。
【プロの結論】 林修の成功を読み解くうえで重要なのは、「今でしょ!」という言葉そのものよりも、その言葉が生まれた背景にある教育者としての姿勢だ。知識を伝えるだけでなく、人を行動させる。その考え方が、CMやテレビ番組という異なるメディアでも通用した理由ではないだろうか。
流行語は一時的に消費されることも多い。しかし林修の場合、言葉のブームをきっかけに、講師としての専門性とテレビでの表現力を結びつけた。2013年のブレイクはゴールではなく、その後の活動を広げる出発点だったのである。